第38話 王様は相談があるみたいだね

「なに!地下32階層だと!

もうそんなところまで行っておるのか!!ならば好都合、是非頼まれて欲しいことがあるのじゃ」


商工ギルドのギルマスであるショウコウさんに拉致されて王城に連れて来られ、陛下とお話し中の俺、ハヤトです。


ダイヤモンドの地下32階層まで行ったと言ったら王様から何か依頼されそうだ。


「もちろん受けてくれるじゃろのお」


ここでいいえと言える奴、見たいものだ。


「陛下、それに関しては冒険者ギルドに相談頂いた方が良かったのでは?」


「ショウコウよ。それは出来ぬ。


それにどちらかというと、商工ギルドの範疇に近いからな」


「と、仰りますと?」


「実はな、話しと言うのは息子のことなのだ」


「と言うことは、アダム王子のことでしょうか?」


アダム王子だって。ネーム持ちじゃねえかよ。


ドグラスさんとセバスさんと3人目のプレーヤー絡みかーー。


「そうじや。あいつも既に18を過ぎておる。


そろそろ妃を迎えてわしの跡を継ぐための準備をしてもらわないといけないのじゃ。


だがな、ほれ、世間でも噂になっておろう。

アダムは軟弱だとな」


「決してそのような………」


「いや、世辞など不要じゃ。

わしはよく知っておる。


あいつは武よりも商売を好いておるのじゃ。


わしの時代までは、王に必要な素養は何よりも武であった。


だが、周辺諸国と講和が成り立ち、平和な世になった今日、王に必要な素養は商売だと思っておるのじゃ。


これからは武力を競うのでは無く経済力を競うべきなのじゃ」


「それでは、アダム王子は正しく王としての素養をお持ちかと」


「うむ、わしもそう思うておる。

だかな、貴族どもはどう思うだろうな」


分かったよ。今いる貴族達は王と一緒に武力を磨いてきたものばかりなんだろう。


だから、ここでアダム王子を擁立することを反対する者が多いんだろうな。


「なるほど、それでわたし達へのご依頼とは、いかがなものでしょうか?」


「まず1つはあいつが自分で金を稼げるようになることが必要だ。


それと、その金を使ってビスマス帝国の姫と婚姻すること。


ビスマス帝国の皇帝は、先を読むのに長けておる。


彼の頭の中には、商才に長けた王が必要だと考えておることじゃろうて。


あの国は武勇で鳴らした強者が多く、ビスマスがアダムの後見となってくれれば、貴族どもも安心してアダムを推してくれるじゃろう。


そして、そこで目を付けたのがダイヤモンドのダンジョンなのじゃ。


あそこには未知の資源が豊富に埋まっておると聞く。


どうか、あいつを王にしてやってはもらえぬか」


「陛下のお気持ちはよく分かりました。


不肖、ショウコウ、たしかにお受け致します。


なぁ、ハヤト」


「ええ、よろこんでお受けさせて頂きます」


あんな振り方をされたら、こうしか言えないじゃないか!


「ハヤトもこう申しております。おまかせ下さいませ」


「心強いぞ、ショウコウ、ハヤト。


ではまず手始めに、ダンジョンにアダムを連れて行って、ビスマス皇帝も納得する宝を取ってきてくれぬか」


「「へぇ~〜~?」」


「そ、それは、どういったものでしょうか?」


思わず声が裏返ったよ。


まさか、竜の涙とか鬼神の盾とかあるかどうかも分からないようなもんじゃ無いだろうな。


「そうじゃな。ビスマスではミスリルもアダマンタイトも採れると聞く。


ダイヤか何か…いや中途半端な大きさじゃ駄目だな。


ダイヤならば、ソフトボールくらいの原石は必要じゃ。


いくらなんでも、無理難題じゃな」


ため息をつく、陛下とショウコウさん。


ええー、そんなもので良いの?


いっぱいあるけど……

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