第26話 ゲームモードでダンジョン挑戦2

「とりあえずルビーのダンジョンに行ってみようか」


ハルオミの提案に、皆が頷く。


「そうだね。まあ、初攻略は誰かにとられたけど、全く攻略できないってわけでもないだろうしね」


「よし、レッツゴーー」


ユカリの元気な掛け声で俺達パーティーはルビーのダンジョンへと向かった。


「うーーーん、にぎやかだね」


「ああ、前回来た時とはずいぶん違うな」


冒険者目当てに屋台が並んでいただけのダンジョン入口は...宿場町になっていた。


冒険者が主だった客層だったはずなのに、今では鉱石掘り達で賑わっている。


冒険者達もいるにはいるが、どちらかと言えば警備員のような立ち位置みたいだな。


このあたりは、現実モードと同じように変化している。


現実モードでも、俺の持ち込んだ詳細な地図を基に坑道が作られ、危険な場所は塞がれている。


ラスボスを斃したので、魔物の発生はほとんどなく、雑魚程度が時折出没する程度だけど、罠が残っている場所もあるので、常時依頼を受けた冒険者が見回りをして安全を確保してるって聞いている。


25階層のうち、今のところ5階層くらいまでが採掘場になってるんだって。


「とにかく行こう」


ハルオミに促されてダンジョンの中へ...っておいおい、勝手には入れないはずだよ....



入れ..た?あれっ、警備目的の冒険者しか入れないように規制されてたはずだけど。


本来なら入場を確認する職員が止めるはずなんだけど、俺達はなんの言葉も掛けられず中に入ってしまった。


「おおっ!中も鉱石掘りの人足達でいっぱいだな。もっと下まで行こうぜ」


最近は地下のセーブポイントから始めることが多かったから、こんな入口から始めるのは何カ月ぶりだろう。


新鮮な気持ちで、俺達はどんどん下へと降りていった。


「なんだかなあ、通路には明かりが付けられているし、時折行商の屋台もあるしな。

それに案内板があって下の階に降りる道筋まで付いてるぞ」


「そうね、なんだか興醒め。わたしの出番が全く無いじゃない」


「ユカリの出番どころか魔物が出て来ねえよ。これじゃただのハイキングだな」


ブツブツ言いながらも歩いていくと、地下5階層辺りから人がまばらになってきた。


地下鉱山としては、今のところこの辺りが採掘の最深部だからね。


ここから下は、これも常時依頼の冒険者達が罠の解除や魔物の発生個所を塞ぐ依頼を受けて精を出しているところだろう。


「やっとダンジョンらしくなってきたわね」


「相変わらず案内板はあるし、魔物も出てこないけどな」


俺達は既に地下20階層まで攻略してるし、地図も持ってる。


その上案内板まで設置されてるんだから、迷うはずも無く、とっとと地下20階層にあるモンスターハウスへと辿り着いた。


「さぁて、入るとするか」


皆が頷き、モンスターハウスへと突入した。




「モンスターはいなかったな……」


「『求婚の花弁』も無かったわ…」


意気込んで入ったものの、ラスボスが居なくなって魔力が大きく減ったせいか、モンスターハウスには、数匹のはぐれ魔物が居ただけだった。


魔力を糧にしていたであろう『求婚の花弁』も、もちろん消えていた。


そこにあったのは地下21階層への階段のみ。


俺が飛ばされた転移陣すら無かった。


21、22、23、24、そして25階層までなんの問題もなく踏破。


25階層でラス2ボスに遭遇するも、魔力供給が足りないのか、ふらふらの状態で、ハルオミの1振りで呆気なく終了。


当然、ボスに遭遇することもなければ、お宝を手に入れることも出来なかった。


「まぁ、途中で気付いていたけどね」


「でも、転送陣も無いのって悲しくない?」


「しようがないかな。ラスボスが居なきゃ魔力が供給出来ない仕様みたいだし、魔力が無ければ魔法陣も発動しないさ」


ユキヒコの淡々とした解説にユカリとハルオミはちょっとイライラしてる。


マリアはっていうと、『求婚の花弁』を取れなかったのがかなりショックだったみたいだ。


俺は…俺はというと…責任を感じてるよ。


でもさ、知らなかったんだからしようが無いじゃん。


絶対黙ってよ。

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