第430話 それだけで罪になる
そう言いながら私は目の前の椅子を引き座る。
そして私が座ったのを見て、私と一緒に同行してきた神の使徒三名も私に倣って椅子に座った事を確認して私は口を開く。
「我ら聖教国、そして神の使徒でもある搾りかす達をあなた方は捕獲し監禁しているという情報を手に致しました。いったいどういうことでしょうか?搾りかすと言えども我ら神の造りたもうた子達には変わりない。聖教国及び我らが神はあなた方の行為に関して遺憾の意を表明します。すぐに開放していただきたい」
でっぷりと太った身体を揺らしながら神の使徒は目の前の金髪ドリル娘に向けて要求する。
「そもそも我々が捕獲した者共はエルフ国、王国、帝国、への大罪を犯しております。その様な要求が通用するわけがございません。それに、この化け物共の処遇に関しては我がご主人様を通してエルフ国、王国、帝国からしっかりと許可も頂いておりますので化け物と言えど罪人にはその国に沿った償いをさせて頂きます」
しかし、物分かりの悪そうな目の前の秘書奴隷は不敬にもこの私の出した要求を断る。
実に、実に愚かしい事か。
「極めて遺憾である。神は絶対である。その神の使徒を捕獲するどころか、我々が好意から武力ではなく話し合いで穏便に解決しようとわざわざこの未開の地まで足を運んできてやったというのに」
「くどいですね。先ほど申しましたように解放はございません」
思わずキレそうになるのをぐっと堪える。
ここで怒りに任せて潰すのは簡単である。
しかしそれは美しくない。
潰すならば我々にたて突いた事を後悔させ、心の底から神に許しをこう姿を見てから潰すのが理想である。
「では、あなた方は我々神並びにその使徒に対し、敵対的措置を執る。このように解釈させて宜しいので?」
そして私は、これが最終確認であるという事を視線に込め、未だ一言も発言していない金髪ドリル娘に問いかける。
すると、周りにいる奴隷たちが我々を、まるで可哀そうな者を見る様な表情で見つめ始めるではないか。
「その言葉はそっくりそのままあなた方にお返しいたします。あなた方は私たちに敵対するということでお間違いないでしょうか?」
所詮は神の存在すら知らぬ、ただの小娘でしかないのだと、私は彼女たちを、金髪ドリル娘も含めて思わず小ばかにするような視線を向けてしまう。
しかし、それは仕方のない事であろう。
無知と言うのはそれだけで罪になるのだから。
知ってからでは遅い、という事がこの世にはあるという事を彼女たちはまだ知らないのであろう。
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