第13話 秘密結社ブラック・ローズ





 新しくわたくしの奴隷となったメイドの名前はアンナ・ブランストーンという名前の女性であった。


 我がドミナリア家に仕えて早三年も経つという彼女の名前どころかその顔も記憶に無かったわたくしが、いかに今までイカレた思考の持ち主であったかが窺え我が事ながら反吐が出る。


 アンナは腰まで伸ばした赤毛の髪を束ねて頭の後ろで纏めており、顔には眼鏡をかけ身体も出るとこは出て引っ込むところはひっ込んでいて尚且つ顔は整っているという、前世の感覚からすれば出来るクール系美人社長秘書と言った雰囲気を醸し出している女性である。


 そして、そんなアンナも含めてわたくしの仲間は三人に増えた。


 しかし、余りにも少なすぎるとわたくしは思う。


 勿論死亡フラグは回避するように日々行動致しますがそれは所謂待ちの対応であるとわたくしは昨日のイレギュラーなイベント回収展開を経験して強く感じたのである。


 そこでわたくしは思ったのです。


 何故死亡イベントが発生するまで待たなくてはいけないのか、と。


 そもそも死亡フラグの根本からぶち壊してはいけないなどというルールなど無い。


 そこまで考えれば後はやる事は決まった。


 そもそもわたくしはこのクソッタレな運命とやらにかなり腹が立っているのであるのだからぶち壊してやらないなどと言う選択肢がそもそも無いし、クソッタレな神とやらがいるとするならば大人しく従うつもりもない。


 だからこそ仲間が余りにも少なすぎるのである。


「と、いう訳ですので一気に仲間を増やしたいと思いますの」

「「左様で御座いますか」」


 その考えを聞きウルとメイが双子の様に息のあった返事をする。


 アンナはこのドミナリア家に仕えているメイドとは思えない程の美しい微笑みをその表情に宿しながらわたくしの空になったカップに紅茶を注いでくれる。


「と、言う訳でわたくし達秘密結社ブラック・ローズ最初の仕事は奴隷を増やす事。しかし一回一回購入していては遅すぎますし家族にバレるリスクも高くなりますわ」


 わたくしの話を各々真剣に聞いているウルとメイ、そしてアンナがわたくしの「秘密結社」の件で一瞬、ともすれば見逃してしまいそうな程刹那の瞬間「何言ってんだ?このご主人様は?」というような表情をした事をわたくしは見逃さなかった。


 べ、別に良いではないですかっ! カッコいいですわよねっ!? 秘密結社っ!! 前世の感性もカッコいいと言っているのです。


 それは即ちわたくしの魂がそう言っているのです!


「秘密結社……」

「ブラック・ローズ……」

「「カッコいいですっ!お嬢様っ!!」




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