桃太郎の鬼退治作戦 その1
むかーしむかし、とある村での話。その村に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
おばあさんは人使いが1回でも使っちゃった後のシャーペンの消しゴムくらい荒いもので、芝刈りも洗濯もおじいさんに任せっきりでした。
「くっそぉ、あの合コンの余り物同士で結婚して40年仲良しこよしだとしても、こんな扱いは許すまじ卍じゃあ……」
おじいさんが独り言を呟きながら歩くと、いつも通りの川に到着しました。
「ムカつくからばあさんのだけ適当に洗お。あと破れたズボンの穴広げとこ」
おじいさんがバシャバシャ、ビリビリと洗濯をしていると、川上からどんぶらこどんぶらこと腐りかけの桃が流れてきました。
「ん? 桃が流れてきたな。しかもクッセ! ばあさんの寝起きの口みたいな臭いする!」
そしてその桃はおじいさんの脳内に直接話しかけてきました。
〈オイ、ソコノ野郎……我ヲ拾イタマエ〉
「いや口悪ーー! 生まれる前から反抗期じゃねーかああああああ!」
おじいさんは最近、推しの球団が負けまくっている苛立ちから桃を空高く蹴り飛ばしてしまいました。
すると大変、桃が突然光ったかと思うと、中から中年のおっさんが現れました。
「おいクソジジイ! 酒買ってこいつってんだろがああああ!」
「な、何だこいつうううう!」
「大体な、オレがこうなっちまったのもお前らのせいなんだよ! あぁもうムカつくなぁ!」
どうやら桃太郎は中年になってしまったようです。話を聞いていると、なかなかおばあさんが桃を拾ってくれず、その間に歳をとってしまったそうです。
「たしかにあのばあさん、最近川で桃が平泳ぎの練習してるって相談してきてたわい……」
「全然拾わねぇから目の前何往復もしてんのに無視しやがるからこうなったんだ! あぁもう鬼倒しにいかねー」
そう言うと桃太郎は再び桃に戻り、川下の方へと下っていきましたとさ。
つづく!
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