第35話 三者面談
2月末。
クォーツ学園7年生は進路希望調査として三者面談をしていた。
ルビーには祖父のエメラルドが、小次郎には劉備が、チェシャにはビオラが、それぞれ保護者として付き添っていた。
担任のロン先生はクォーツアイランドの重鎮を迎えることも、もう7回目で慣れてきたかと思ったら、全然そんなことはなかった。
「ねえ、何で俺だけ三者面談ハードモードなの⁉ 王とその秘書と島で一番強い奴とか無理じゃん! 7回目でも慣れないよ! ねえ、誰か変わって!」
職員室で発狂しているロン先生を隣の席のスズキ先生が宥めている。
「まあまあ、これも経験ですから」
「スズキ先生は1年生担当だから気が楽ですよね~」
チクチクぐちぐち言っているロン先生に他の先生も言葉をかけている。
「ほら、そろそろ三者面談の時間ですよ」
校長先生が皆に呼びかける。
ロン先生は「はあ」と溜め息を吐きながら教室へ向かった。
残っているのは問題のチェシャ、小次郎、ルビーの3人。
ロン先生は教室の扉を開けた。
「チェシャ―、三者面談、始めるぞ~」
「はいにゃ!」
「よろしくお願いしますね」
席には既にチェシャとビオラが座っている。
(生ビオラさん、やっぱ美人だなあ)
「まずは成績から。実技と理科は良いんだが、他が……」
国語や数学、社会は、お昼寝&お絵描きタイム。
これは7年間変わらなかった。
「チェシャ、ちゃんと授業受けないとダメでしょう」
「う~ん、でももう授業ないにゃあ」
そうなのだ。もう7年生は授業なし、自由登校期間なのだ。
「まあ、で、チェシャは卒業後、何したいんだ?」
「チェシャはルビーと一緒にいるにゃ」
「将来、ルビーの秘書にしようと思ってるのですが、何分、一緒に遊んでるばかり……」
ビオラの苦労が忍ばれる。
「じゃあチェシャは秘書の修行ってことで」
「はい」
「頑張るにゃ」
チェシャはルビーと帰るのか廊下で留まっている。
「ちゃんと寄り道しないで帰ってくるんですよ」
「次、小次郎~」
小次郎と劉備が教室に入ってくる。
「よろしくお願いします」
「よろしく頼む」
(はああああ、生劉備さん、マジでイケメンだなあ)
「小次郎の成績は申し分なし! オール5、おめでとう!」
「頑張ったな」
劉備が小次郎の頭を撫でている。
師弟の絆が見てとれた。
「で、卒業後は何したい?」
「俺はルビーと……」
「ルビーにこだわらなくていい」
「……スピリットファイトに出たい」
「じゃあ去年のメープルと一緒かあ。旅ね」
「そうか。頑張れ」
「はい!」
小次郎も廊下でチェシャとルビーを待っている。
「旅に出るのかにゃ?」
チェシャは耳が良いので教室の中の会話が聞こえる。
「ああ」
「最後、ルビー」
「は~い」
「よう」
「エ、エメラルド様……」
(生エメラルド様、やっぱ慣れねええ)
「まずは成績から。座学オール4、実技オール5!」
「苦手な歴史も4なのか?」
「あ、はい、頑張ってました」
「去年に比べ、頑張った方じゃねえの?」
「座学も何とか寝ずに受けてましたよ」
「よし! 頑張ったな、ルビー!」
エメラルドが、わしゃわしゃとルビーの頭を撫でる。
「で、ルビーは、卒業後は何するんだ? 最終的には王になるんだろうけど。その空白期間は? 帝王学でも学ぶか?」
「今まで言えなかったんだけど、私、旅に出るよ。広い世界を見たいんだ!」
「た、旅?」
「ダイソンに視察に行ったり修学旅行で大和に行ったりして気付いたんだ。私は世界を知らない。世界を自分の足で歩いて見て回りたいんだ」
「そうか。小次郎と一緒か」
「丁度いいじゃねえか。二人で旅に出ろよ」
「スピリットファイトもやりたい!」
「おお、やれやれ」
「じゃあルビーと小次郎は旅と」
すると、教室の扉が開いてチェシャが入ってきた。
「なら、チェシャも旅付いてくにゃ!」
「わあ、チェシャも一緒なら、きっと楽しくなるよ!」
「ダメだ」
エメラルドが厳しく言い放つ。
「えっ、何で?」
「スピリットファイトの規則で、最初から王、神クラスの精霊の同行は認められていない」
チェシャは神クラスである。
「チェシャは、ここで留守番だ」
「嫌にゃ‼」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます