第22話 新しいレストラン

 春休み。

 ルビーと小次郎、チェシャはランチをしに町を歩いていた。

「今日は何処で食べるにゃ?」

「フシギレストランでいいだろ」

「そだね。そんな口になってきた」

 フシギレストランへ着くと、向かいの店に行列が出来ていた。

「何々?」

 ルビーが行列の最後尾の人に何の行列か聞くと、どうやら新しいレストランがオープンしたとのことだ。

「こんな真ん前にレストランかあ。フシギレストランのライバルだね」

「どうする? 行列並ぶか?」

「う~ん、どうしよ」

「私はどっちでもいいにゃ」

 三人が迷っていると、フシギレストランの方から一人の少年が出て来て行列に並んだ。

「あっ、パセリだ」

 パセリはフシギレストランのフシギの息子で、今年クォーツ学園の5年生になる。

「パセリ~、何してるの?」

 パセリはギクリとして、ルビー達の方を振り返る。

「えっと、偵察、です」

「偵察?」

「お父さんから、どんな店か見て来いって言われたんです。朝のニュースでも特集されてたし」

「何か私も気になってきたなあ」

「並ぶかにゃ?」

「うん」


 約一時間して、ルビー達はやっと店に通された。

 そのレストランの名前は「メルルのキッチン」と言って、店主はメルルという女性が務めていた。

 看板料理はオムレツで4人とも、とりあえず、それを頼んだ。

「「「「いただきます」」」」

 とろとろの卵と下のチキンライスを合わせて口に運ぶ。

「お、美味しい~」

「ほのかに香るバターがいい味を出してますね」

「美味いにゃあ」

 小次郎は黙々と食べているが、一口一口を惜しむように口に運んでいる。

「「「「ごちそうさまでした!」」」」

 クォーツアイランドの姫が直々に来ているということで、店主のメルルが挨拶に来た。

「当店の料理はお気に召しましたでしょうか?」

「うん。すっごく美味しかった!」

「それは良かったです」

「そういえば何でフシギレストランの真ん前に店を構えたの?」

「それはですね、良いライバルになるためですわ」

「良いライバル?」

「私は以前、クォーツアイランドを訪れた時、評判のフシギレストランへ訪れました。そこで食べたオムレツの味が忘れられないのです。それで私は同じ料理人として敗北を感じました。それと同時に私はこの味を超えたいとも思いました。それからは料理を学ぶために世界各国を旅しましたわ。そしてフシギレストランのものにも負けない究極のオムレツに辿り着いたのです。私はそのオムレツと共にクォーツアイランドに舞い戻って来ましたの」

「そうなんだ! 確かにフシギレストランのオムレツにも負けてなかったよ。究極のオムレツかも!」

「ふふ、ありがとうございます」

「あの、この事、お父さんにも伝えていいですか? ライバルって」

「ええ。そうして頂けると嬉しいですわ」


 ルビー達はフシギレストランに行って「メルルのキッチン」は、フシギレストランをライバル視していることを伝えた。

「そうか。なら、もっと頑張らないとな!」

「心配じゃないの? お客さん減っちゃうかもとか」

「大丈夫さ! 俺は俺の料理に自信があるからな! 俺の店とメルルの店でクォーツアイランドを、もっと盛り上げていくぜ!」

「た、頼もしい~」


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