一日一編集『打ち間違えが多いのは愛してないから?』

朶骸なくす

夢に森を預けて立ち往生

 この線から出てはいけませんよ

 そう言われて捨てられました

 持ち物は人形と何故かフリルが沢山ついた服でした

 ここの来る前、好きな服はなんですかと言われたので

 お姫様見たいと言ったからでしょう

 正直、怖さより立っている方が辛かったです。

 すぐに足裏が痛くなって

 ふくらはぎ、ふともも、ねつけ

 人形を持っている腕までも辛かった

 線の中ならいいかと、私は座ることにしたのです

 さみしさを感じませんでした

 それが一日の初めて入った人の言いつけでも

 私には、どうでもよかったのです

 今頃、誘拐の金でも交渉しているはず

 でも、探すために何もしないのは禁止じゃなく無駄だから

 警察が裏にいるはずなのになあ

 今度は眠くなって、そう私は線を破り木の根に寄りかかり眠りました

 うとうと、しいていると「仕方ないなあ」と声が聞こえて

 私は身体を持ち上げられ、

「ああ、死ぬんだなあ」と小さく声を出しました

「殺さないよ。きみはね、ご両親に殺されたよ」

 なるほど、なるほど、だから、戻ってきたんですね

「どこに行くの」

「どうしましょうか。僕と心中は嫌でしょう?」

 心中、という言葉は知りませんでしたので、

「それでいいよ」と答えました

 そうしたら、この人はケラケラ笑って

「幼女と心中はないな」と言いました

「この先に閉鎖された宗教施設があるから、そこで生きようか。君は僕の娘ね」

「わかった」

 交渉は終わりまた

 変な宗教施設にて五年

 親が探してるなんてニュースにはありませんでした

 ちなみに宗教っぽいというより厭世を望む人たちの村でした

 みな、目が死んでいて

 しかし誘拐犯はニコニコと私を見ては頭を撫でました

 夢はありません。テレビであるようなやりとりは、ありません

 ここから出ることはないでしょう

 私は、彼が好きだったので、このまま、このまま

 森の中で夢を叶えるなら、立ち往生

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