第17話 4体目の従魔?友?

貴族として順風満帆の船出をした俺は、敵対する貴族もそれなりにいたようだ。

俺の売り出した商品の模造品を作り売り出すも質が悪く売れないと分かると、俺に買い取れと難癖をつけて来た。

「ウチの商品が粗悪だったから買取と迷惑料をよこせだと。」

俺はその商品を見ながら部下に問いただす

「はいそう言って来ています、しかも3つの貴族から。」

困り顔の部下を見ながら紛い物の商品を見て俺はいう。

「無視して良いぞ、当家のものではないと書いて送り返せ。」

と指示して次の動きを見る。


俺が素直に金を出さないことにアイツらは、王国に訴えて俺から権利と金を巻き上げようとして来た。

「何かねそれではセブン子爵が、君達の開発した商品を模倣して暴利を貪っていると言うことかね。」

宰相が伯爵、子爵、男爵の3貴族の訴えを聴き取りながら確認する。

「それでその証拠は何処にあるのかね?」

と問えば貴族らは

「私が部下に作らせたレシピが盗まれたのだ、同じ物が作られて売られていると知りし調べてみればあの成り上がりの子爵と聞いたのだ。」

キンナール伯爵が嘯く。


「では、商品のレシピと作り始めたひずけを確認しよう。」

と宰相が言うと

「レシピは我が家の秘匿すべきものだ、出すわけにはいかぬ。日付は昔からだから覚えておらぬ。」

と答えた、それに対して

「それはおかしな話、部下に調べさせたところキンナール伯爵が言う商品は、ここ半年見かけ出したが全く売れていないと聞いた。売れない商品のレシピがそこまで大切なのですか?」

と宰相が聞けば

「そのような噂は嘘に決まっている。アイツが私の商品の悪い噂を流したから売れなくなったのだ。」

と狼狽えて答え出した。

すると

「ここにセブン子爵のレシピがあります。材料や工程を確認すれば真似をしたかすぐわかりますようね、国王からもその点を厳しき確認するようにと厳命されていますので、レシピを公開してください直ぐに!」

とたたみ込んだ。


「うぐぐぐ、、、、。ワシの思い違いであった。この件はなかったことでよろしい。」

と言うとサッサと部屋を逃げるように出ていった。

「コレで問題は解決だな、セブン子爵。」

と宰相は隣の部屋の扉を開けながら口にした。

「はい、ありがとうございます。このお礼は必ず。」

と答えると

「何、貴殿に貸を作るのは財産といえるから気にすることもなかろう。」

と笑いながら言う宰相。


コレでこの件は終わりを見た、このまま話が拗れれば同じ商品を作っている辺境伯にも飛び火することになった話だ。


その後も些細な話を持ち込んだりケチを付ける貴族はいたが、大半は俺とうまくやることの方が有益だと悟り次第にそのような行為は無くなった。


ーー魔境


ストレスから解放された俺は、気晴らしに魔境に魔物狩りに来ていた。


広大な魔境はその全貌が分からず、魔物のテリトリーすらもよく分かっていない。

俺は立ち寄ったことのない場所に向かうことにした。


そこは巨大な樹々が天をつくように茂り、太陽の光も及ばないような薄暗い森。

そこにいる魔物はアンデットが主だった。

腐りかけたグールから完全なスケルトンまで死者の魔物が彷徨う森、最新部には洋館のような建物が!

そうここのボスモンスターは、ノーライフキングなのだ。

人だった頃の意識を持ち怨みを募らせ闇の最高位まで位を上げた者が、生のない世界を統べていた。


ーー ノーフライキング エステア  side



私がこの魔境に来てどのくらいの月日が経ったのだろう。

私の周りに生を持つものは何一つ存在しない。

故に満たされぬ飢えを皆が共有し、眩しい性の生き物を恋焦がれるのだ。

「もう飽きた!流石に恨みつらみのある人間どもも死に絶え、その縁者や子孫も分からなくなるほどの時間がたった。我の望みは・・次に繋がる死のみ。しかしそれは叶わぬこと、しかれば今一度食事がしてみたい、美味いものが・・・。」


未練だけが大きくなる変わり映えしない毎日、そんなある日その男が現れた。

「キング、生あるものがこの魔境に入って来ました。」

と言うグールの1人、ここにまでやって来れる人族がいるのか?

「それは何人で来ている?」

「は!1人でございます。」

「バカを申すな、この死の森にたどり着きまでに幾つもの魔境が存在するのだぞ。例え勇者といえども1人ではたどり着けまい。」

そう言ったがなぜか胸騒ぎがしたワシは、魔法で侵入者を探した。

「いた!まだ年若い人族の男?いや、禍々しい方どの魔力を内包している。こやつは人なのか?魔法と言われた方が納得できるが魔法といえど単身ではここにはこれまい。」

さらに興味を惹かれたワシはスケルトンナイトを差し向けた。

スケルトンにも位がある、ただの骨、武器を持つだけの骨、武器を操れる骨、スキルを持って武器を使い切る骨騎士、そしてその上がスケルトンナイトだ。

人族でいえば騎士団長格だ。

そのスケルトンナイトが5体、男の前に姿を現し切り掛かる。

しかし男がいつ動いたかも分からずスケルトンナイトは倒された。

「何!グールどもよ行け!」

グール100体が剣を持って切り掛かる、疲れと痛さ知らずのグール普通だったら勝てるはずもない数。

しかし男の前では何も出来ずに素通りされた後倒されている。


「デュラハンよそなたが向かえ!」

スケルトンホースにまたがる鎧武者の死者に命じる。

「はっ!必ずこの手で。」

と答えると小脇に抱えた頭を首の上に。


「おお今度はデュラハンか?首がついている!」

「我はデュラハン、主人の名で貴様を倒しに来た。如何に強き者であろうと生者を通すわけにはいかぬ。」

と言うと騎馬武者は大剣を抜き構えた。


俺は自分で鍛えた刀を抜きと同じく構え、対峙する。

時間が流れて、スケルトンホースが戦慄く!

「イザ!」

掛け声と共にデュラハンが向かってくる、俺は動かない。

デュラハンの大剣が俺の頭に降ってくる、まだ動かない。

俺の身体が真っ二つに切り裂かれたかと思うほどのタイミングで俺は動く、デュラハンの両腕を切り飛ばしスケルトンホースの首を切り飛ばす。

すれ違いざまに地面に倒れ込むデュラハン、無念そうに振り向いたその頭を俺の剣が唐竹に割る。

「見事!」

最後の言葉が聞こえて倒れるデュラハン。


すると、空間が歪み禍々しい存在が現れた、ノンライフキング「不死王だ」。

「貴様の向き的は何か?」

「俺の目的は信頼できる友が欲しい。」

「え!・・信頼できる・・友?・・馬鹿じゃねえのか。この調子で倒していけばこの魔境の魔物は全て死に絶えて友どころじゃないだろうが。」

と俺を叱りつけた。

「ならどうすれば良いんだよ?襲いかかる魔物を倒さずに友になれと?」

「いや、そうではない。襲ってくるものは退けて問題ないが・・どんなものがお前の目的だ?」

「ん!そうだな。強くて頭が良くて・・裏切らないやつかな。」

「そんな奴がそこらにいるわけなかろう。それにお目は何処から来たんだ?」

「俺はこの魔境の北側の森を抜けた人族の国から来た。お前は不死王のようだが・・話が通じる。俺の友にならんか?」

「我は・・・少しばかりこの生活に飽きていたが・・しかし我が人族に向かえば・・争いが起こるぞ。」

「それはお前の正体がばれたらだろ、変身や人化は出来んのか?」

「いや人化なら・・コレならどうだ。」

と言うと青年のような姿に変化した。

「その姿は元のお前の姿なのか?」

「ああそうだ数百年前の我の姿だ。人族の世界に再びか・・それも良いかもしれんな。お前の名はなんだ?」

「俺はセブン、世界を渡って来たものだよ。」

と言うと

「勇者関係か、しかしその禍々しいばかりに魔力は・・魔王の可能性も・・使徒ではなかろうな。」

とぶつぶつ言う不死王に

「お前の名は?昔の名でいいぞ。」

「ん!俺の名か、確か・・セルビー=コンスタントだったかな。セルでいい。」

「セルか、俺はセブンでいい。では俺の城に移動しよう。」

と言うと俺は転移魔法を発動したのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る