第5話 舞踏剣
剣を握っただけで、感じ取った。
この剣をもし最高神にかすめでもすれば、奴は死ぬと。
俺はずっと考えていた。
どうして自分は1000年前のあの時、奴に勝てなかったのか。
ステータス? 違う、そんな事で負けたというのならば、瑠璃と一緒に戦った時点で勝てた筈だ。
では何か、それは既知である事。
「最高神、お前は1000年前俺に既知だと勝ち誇った」
『『懐かしいね。ああそうさ、君の事はなんでも知っている』』
「そうかそうか……、じゃあ俺がいつその腕斬ったか分かるか?」
『『何……ィ゛ッ!?』』
おかしいなと思った。
未来が見えていると言うのならば、不可解な瞬間がありすぎる。
奴は確かに悪魔王たちの作戦をことごとく潰した。
しかしそれは知っていたからでは無い、あくまでもそれを裏回る作戦を用意していただけ。
そしてもう一つ。
最高神に対してダメージが通った瞬間、それは奇襲した時。
もっとわかりやすく言おう。
ただ単純に素早いだけの攻撃をした時。
この事から、俺は一つの結論に辿り着いた。
「なあ最高神、お前は今の全てが見える。[鑑定]の数次元上の力で敵の事を読んでたんだよな?」
『『……だとしたら、だとしたらどうするっていうのさ。それが分かったなら諦めろよ、君の行動はお見通しなんだよ?』』
「なあ、そういうのはもう一本の腕ちゃんと守ってから言えよ」
『『は? ……は? は??????』』
「未知との遭遇だ、喜べ最高神。最高の研究を始めようじゃないか」
最高神が激昂して突撃するが、意味がない。
次の瞬間、奴の体はサイコロステーキになる。
「おいおい、俺はただ瑠璃とダンスを踊っているだけだぞ。余波でボロボロになるなんて、おませさんか?」
『『[渦][渦][渦][渦][渦][渦][渦][渦][渦][渦][渦][渦][渦][渦][渦][渦][渦][渦][渦]…………ッ!!!』』
「無駄だ」
全てが、一瞬にして消える。
最高神をも巻き込み、斬撃は加速を増す。
それが最高地点に到達した時、最高神の姿は最早無かった。
「……やったか?」
わかりやすいフラグを立ててみる。
1...2...3...4...5...。
試しに一分待ってみても何も起こらない。
……あまりにも呆気ない。
悪魔王達の作戦が完璧過ぎただけだろうか?
きっとそうだろう。
そうに決まって——
『はい、10分! 全部見えてるんだから君のスキルだって分かってるに決まってるだろう?』
「……だよなぁ」
再臨の効果時間が溶ける。
意識は段々と薄れ、視界がぼやける。
飛行状態は解除され、ゆっくりと落ちて行く。
『『器の頭が悪かったね、最初からブッパなんて、おばかさんなのかな?』』
最高神は敢えて手出しをしない。
この穴に落ちて死ぬのを待っているのだ。
なるほど頭がいい、確かにダメージ吸収は落下ダメージによる死亡に対しての吸収が無い。
こちら側の切り札を、完全に無効化して殺せているわけだ。
完璧だ。
あまりにも完璧だ。
完璧すぎる。
「完璧に、作戦通りだ」
『『え?』』
「[原悪解放][ルシファー]」
瞬間、多賀谷亮の意識が完全に落ちる。
「さて、ラウンド2だ、最高神」
相対した本体と思われる最高神の腕は、再び吹き飛んだ。
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