第5話 捜索任務②
「どうして亮君を狙ってるのかな?」
「奴が悪魔だからだ! 貴様こそ何故奴を庇う! 蘇生スキルは絶対存在である神に準ずる力、即ち貴様は天使と言う事になる! 悪魔の味方をするなど許されぬぞ!!」
「私は亮君を悪魔だと思ったこともないし、神様の使徒になった覚えも無いけど?」
「それは悪魔の力に違いない! しかし私のような天使には奴の禍々しさがふつふつと伝わってくる」
「私達の記憶を弄って、一人の人間を抗えなくした状態で殺そうとした癖に、天使なんてよく言えるね。私には貴方が悪魔に見えるよ」
「天使の私に……悪魔だと……ッ!! あの惨劇を起こした最底辺の存在と一緒にするなァァァァァ!!」
「[命焔乃……」
「[降臨光降ろし]」
瞬間、極限まで密集された光が落ちる。
技を構えた凛に避ける余裕は無く、それは直撃する。
そうして勝利を確信した天使の下半身が消し飛んだ。
「チッ! [神の加護]」
瞬間、天使の下半身は再生する。
「……ハァハァ、厄介な事をしてくへたな……、まあいい、[中止]! コレで死んだはずだ……」
「死んだ? そんな訳ないでしょ」
「……何故だ、何故スキルが機能している!!」
「それは対象が存在しないからだよ」
「何を言って……!!」
「私のスキル[蘇生]は憑代を設定してそれを破壊して憑代の半径5m圏内の好きな地点に体を再構築するスキル。だからスキルを授かった当初はお守りとかを憑代にしてた」
「その方法では一度の蘇生で憑代用の道具がなくなる、貴様の今までの行動に説明がつかないぞ!!」
「これはスキルが覚醒する前の話、覚醒して追加された効果は存在している事を条件とし、憑代の時間設定を無いものとする事、何がすごいのか、それはね……[蘇生]」
「っ?!」
瞬間、世界は10秒前からの風越凛を忘れる。
「これがスキルの効果、天使さん、私のスキルの効果知ってる?」
「知るわけが無いだろう、貴様はこの私を挑発しているのか! やはり貴様から殺す!」
「過去の自分は、現在には存在しなくて、過去には無限に存在する。言うなれば残機無限って事! [蘇生]」
瞬間、世界は5秒前からの凛を忘れた。
「まあ使うたびに過去に自分が死んでる事になるから周りのみんなの記憶飛んじゃうんだよね、0.1秒前も対象に出来るから大したデメリットじゃないんだけど」
「貴様はなんの話をしているんだ!」
「君にとっては訳がわからなくて混乱してるんだろうね、大丈夫、その混乱すぐに取り除いてあげるよ。[蘇生]」
そうして世界は凛を忘れる。
その秒数は、 20秒。
蘇生までは死体は残る事になっている、凛はこれまでのパターンを見て天使は必ず死体の前で待っていると読んだ。
だから凛は蘇生地点を自身が20秒前に居た地点から1mに設定した。
そしてその予想は当たった、天使は先程まで[蘇生]の効果によって破壊された凛の死体があった場所を眺めるように佇んでいた。
突如凛の死体が消えた事に天使は驚き、天使は完全な隙を見せた。
凛の転移した場所は、その隙を付ける絶好の場所であった。
「奥義、[
文字通り魂の爆発、[命焔乃一撃]と違い、死と引き換えに発動する禁忌中の禁忌。
それは凄まじい爆発音と共に、その空間を支配した。
「まあ、私は死なないんだけどね」
凛がその場を立ち去ろうとした瞬間、ダンジョン内で『ゴォン!』と大きな揺れが起きる。
「……今の何? あれ、天使さんが居た場所に何か……え、これって!?」
それは、砕け散った赤いエクリア。
赤いエクリアには二種類の効果のどちらかしかない、一種は使用者を狂戦士にするエクリア。
そしてもう一つは、ダンジョンを強制的にAランクに引き上げる効果。
「さっきの揺れは間違いない、今ここは、Aランクダンジョンになってる!! 早く隊長に伝えないと……」
そう意気込んだ所で、それを阻むように足音が何重にも重なり聞こえ始める。
既に囲まれてしまっているらしい。
「これを持ってたって事は、どう頑張ってもこれは発動してたっぽいね……。それにしても流石Aランクダンジョン、モンスター多いねぇ……」
凛は目を閉じて深呼吸をし、パッと目を開ける。
「[魂爆]」
その余りの威力に、モンスターは全て蹴散らされる。
しかしまだまだ補充はあるとでも言うかのように、モンスターがゾロゾロと近づいてくる。
「今追いつくから、待っててね、亮君、隊長! [魂爆]」
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