第127話 まどかの休日

「まどかさん! 今日はよろしくお願いしますっ!」

「は、はい……よろしくお願いします。凛ちゃん」


 今日はまどかとアキラの妹、凛の2人はダンジョンへ来た。

 ダンジョンと言ってもアキラの部屋のダンジョンではなく、入場料のかかる国営ダンジョンだ。


「わたし……ダンジョン初めてなんです!」

 緊張とワクワクの凛。


 入場手続きをする2人。

 今回はまどかもレンタルの武器を使う。


「まどかさん、いつものカッコいい剣は使わないんですか?」

「はい。今日はそんなに高いレベルにはいかないので」


 国営ダンジョンには様々なレベルがある。

 今日は初心者向けの国営ダンジョン、レアアイテムを使うと嫌でも目立ってしまう。

 それに初ダンジョンの凛と一緒だ。せいぜいレベル1か2のダンジョン。レンタルの武器で充分だった。


 凛の分の入場料も払ってあげるまどか。

「ま、まどかさん! そんな、悪いですよ……」

「良いんですわ。気にしないでください」

 初心者向けの安いダンジョンとは言っても、中学生の凛にとっては入場料はなかなか痛い出費だ。


「あ、ありがとうございます……」

 凛はまどかにペコリと頭を下げる。


「いえいえ」

 それに、まどかは今やトップ配信者でトップ冒険者。

 資産は唸るほどあるのだ。


 ◇


 2人はレベル2のダンジョンに入ることにした。

 国営ダンジョンは入場料を払い、扉をくぐるとダンジョンに繋がる。


「うぁー……これがダンジョン……配信で見たまんまですね!」

 人生初めてのダンジョンに感動している凛。ゴツゴツとした壁や床を興味深そうに触っている。


「ふふ……」

(私も初めてダンジョンに行った時は、感動したなぁ……)

 凛を見て、昔の自分を思い出すまどかだった。


「さあ、凛ちゃん。楽しんでばかりもいられませんわ! ここはダンジョン、モンスターが襲ってきますよ!」


「は、はい! 先生!」


「せ、先生……? 悪い気はしないわね……」


『ガサガサッ!』

 近くで音がする。モンスターの羽音だ。


「ひっ! モ、モンスターですか!?」

 慌てる凛。


「現れたみたいですわね。さあ、凛ちゃん。剣を構えてください!」

「は、はい!」

 凛の憧れの冒険者はまどか。もちろんレンタルした武器は剣だ。


 暗闇の中からモンスターが襲いかかる。

 コウモリのモンスターだ。


「キャーッ!」

 向かってくるモンスターに凛はブンブンと剣を振り回す。

 当然、そんな攻撃がモンスターに当たる事はなく、凛の頭にコウモリは止まる。


「キャーッ!!!」

 パニック状態になる凛。


「フフ……凛ちゃん。動かないでください」

「え、えっ!?」

 まどかは剣を抜く。

 凛の目には見えないスピードで、頭に止まるモンスターを真っ二つに斬る。


「す、すごい……まどかさん!」

 間近で見るトップ冒険者の太刀筋に興奮する凛だった。


「ふふっ。凛ちゃん! 怖いからといってモンスターから目を離したらダメですわ! しっかりとモンスターを見て剣を振りましょう」


「は、はい! 先生!」


 こうして2人のダンジョン冒険が始まった。






★★★★★★★★★

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