第23話 召喚獣

「はぁはぁ……よし! それではダンジョンガチャ行ってみましょうか!」




『アキラちゃんねる』ではダンジョンガチャはまだザコアイテムしか出ていない。


 レアアイテムを引く配信はやはり盛り上がる。


 低レベルダンジョンだから仕方ないのだが、そろそろ視聴者を楽しませるアイテムが欲しいところだ……




 倒されたボスは消え去り、いつものようにガチャガチャが現れる。




 しかし、今回のガチャガチャは今までとは違った!




「なんだこれは!?」


 初めての出来事に驚くアキラ。




 現れたのは虹色に輝くガチャガチャだ。


 ダンジョン内にレインボーの光があふれている。


 ただ事でないのは一目で分かった。




 ◆コメント欄◆




【名無し おお! レインボーガチャ!】






【名無し これは珍しいな。滅多に出てこないぞ?】






【名無し レインボーガチャはレア度★★★★☆以上のアイテムが確定らしいぞ?】






【名無し レベル6のダンジョンでレインボーか! すごいぞ、これは!】




 この虹色のガチャは、数百分の一の確率で現れるレアアイテム確定のレインボーガチャだった。






『レインボーガチャ!? 噂には聞いたことありますが……やりましたね!』




「すごい! どんなアイテムが……? そ、それでは、回していきたいと思います!」




 アキラは気合を入れ、レインボーガチャを回す。


 レアアイテム確定ということもあって、視聴者も固唾をのんで見守る。




 あたりがレインボーに光り輝く。


 いつもとは違うド派手なレアアイテム確定演出だ。




『ガチャ!』




『召喚獣の指輪 レア度★★★★☆』




 ◆コメント欄◆




【名無し うおおおお!】






【名無し 召喚獣きたー】






【名無し これは激レアだな……召喚獣っていったらモノによっては買ったら数百万だぞ?】






『召喚獣!? すごい! 激レアですよ!』




「数百万円!? うおぉぉお! やったぜ!」




 大興奮のアキラと花子。




『アキラちゃんねる』の初レインボーガチャは激レアアイテムの召喚獣だった。






 アキラの目の前に光に包まれた『召喚獣に指輪』が現れる。




「なるほど、この指輪で召喚獣を使うんですね……」




『さっそく召喚してみましょうよ! 噂ではドラゴンだったり、フェンリルなんかもいるみたいですよ!』




「ドラゴンにフェンリル!? それはすごい……それでは……さっそく……『召喚』!」




 期待を込めて召喚獣を召喚するアキラ。




 光り輝く指輪から召喚獣が現れ、あたりを飛び回る。




「こ、これが召喚獣! ……思ったより小さいな……」




 現れたのは拳サイズの召喚獣。


 見覚えのある黒い昆虫。




『これは……カブトムシですかね……?』




 ◆コメント欄◆




【名無し カブトムシか……】






【名無し よりによってザコ召喚獣かよ】






【名無し うーん……レインボーガチャの一番ハズレって感じ……】






【名無し カブトムシなんかどうでもいい! 花子さんを映せ!】






「カブトムシか……こんなチビじゃ戦うことも難しそうだな……」




 初めてのレインボーガチャだったが、残念な結果に終わってしまった『アキラちゃんねる』であった。




 ◇




 ダンジョンをクリアしロビーに戻る二人。




「せっかくのレインボーガチャだったの…残念でしたね……」




「うん……召喚獣っていうとカッコイイけど……コイツに何ができるんだ?」




 手のひらに乗るカブトムシを眺めるアキラ。


 見た目は普通のカブトムシと変わらない召喚獣だ。




「ん? ……いいこと思いつきましたよ!」




 何かを閃く花子。




「ドローンカメラが欲しいって言ってたじゃないですか?


 このカブトムシに小型カメラを持たせて、飛び回ってもらうのはどうですか!?」




「なるほど! いいアイデアだ!」




 さっそくカブトムシにカメラを装着する。


 小さいカブトムシだが、カメラを持って飛び回ることは出来そうだ。 




 アキラたちの周りを飛び回るカブトムシ、カメラでは迫力満点の空撮が撮れている。




「いいですね! 今度からはこの子にカメラマンをやってもらいましょう!」




「そうだね! そうなると……いよいよ花子さんも配信者デビューかな?」




「そ、それは……どうでしょうか……?」




 召喚獣のうまい使い方を見つけた二人だった。

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