第130話 黒歴史だらけだからな

 この『黒歴史のカツラ』をかぶるべきなのだろうか?


 まあ、せっかくできたんだし、一回くらいは試してみるか。


 カツラをかぶった。


 うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?


 な、なんなんだ、これは!?


 全身に力がみなぎってくるぞ!?


 すごすぎるだろ!?


 ということは、やはり俺の黒歴史の量は多いのだろうか?


 まあ、いろいろと仕出かしているから多いのだろうなぁ……


 ああ、なんだか頭が痛くなってきた……



「「「フッサァアァァァアアァアァァァァアアアァァァァアァァッ!!!!!」」」


 突然、頭上から叫び声が聞こえてきた。


 えっ!?

 これってまさか!?


 上を見ると、長くて太い白い髪の毛のようなものが多数飛んでいた。


 あいつは『聖毛ふさふさフッサー』じゃないか!?


 なんであいつがここにいるんだ!?


 しかも、数が多いぞ!?


 なんであんなにいるんだ!?


 まさか、これも黒歴史のカツラの効果なのか!?



「「「フッサァァァアァァァアアアァァアァァァアアァァッ!!!!!」」」


 聖毛ふさふさフッサーたちが叫びながら、どこかに飛んで行った。


 おい、お前ら、どこに行くんだよ!?



「「「フッサァァアァアァァアアァァアァァァアァァァァッ!!!!!」」」


「な、なんだこいつはウササッ!?」


「やめてウササッ!? ぎゃあああああああああああああああああああああああっ!!!!!」


「ひぎゃあああああああああああああああああああああああっ!!!!!」


 どうやら聖毛ふさふさフッサーたちが、シロ三角ウサキグルミたちを襲っているようだ。


 やはりあいつらも毛の多いヤツから襲っていくのか!?



 うっ!?

 もう腹が減ってきたぞ!?


 本当に消耗が激しいな!?


 とりあえず『雨のあと、曇りになって、雪が降り、また曇りになって、カツラが降ってくるような感じの味』を飲もう。


 うーむ、相変わらず、微妙な味だなぁ。



「「「フッサァァアァァアアァァァアアアァァァァアァァァァッ!!!!!」」」


 えっ!?

 ドアが勢いよく開くような音がしたぞ!?


 あいつら、部屋を出て行ったのか!?


 どこに行く気なんだ!?



 どうやら聖毛ふさふさフッサーたちは、全員ここを出て行ったようだ。


 さて、これからどうしよう?


 今なら聖毛ふさふさフッサーたちのおかげで、混乱しているかもしれないし、ここを出てみようかな?


 そうするか。


 では、飲むゼリーをタライフライに載せられるだけ載せようか。



 よし、完了!

 では、出発だ!!



 倉庫と思われる部屋を出た。


 下り階段の近くに、白いウサキグルミが二体倒れているぞ。


 あいつらも聖毛ふさふさフッサーたちにやられたみたいだな。


 他は誰もいないな。


 聖毛ふさふさフッサーたちは、どこに行ってしまったのだろうか?


 とりあえず、先に進もうか。



 おっ、上り階段を見つけたぞ。


 この階に出口らしきものはなかったし、行ってみるか。



「「フッサァァァアァアァアアァァァァァアアアァァァァッ!!!!!」」

「ぐぎゃあああああああああああああああああああああっ!!!!!」

「ぬわああああああああああああああああああああああっ!!!!!」

「「フッサァッ!! フッサァァァッ!!! フッサァァアァァッ!!!!!」」

「や、やめ、ああああああああああああああああああああああっ!!!!!」

「ひっ、ひぃっ、ひぎゃあああああああああああああああああっ!!!!!」


 うわぁ……

 階段の上から、聖毛ふさふさフッサーたちの声と悲鳴が聞こえてくるぞ……


 いったいどんな状態になっているのだろうか?


 行ってみれば分かることか。



 上階にやって来た。


 床に、さまざまな色のウサキグルミたちが大量に倒れている。


 トラのようなものや、ゴリラみたいなものもいる。


 これはひどい……


 まるで地獄絵図だな。



 広い通路が一直線に伸びている。

 その先にT字路があるようだ。


 天井は、かなり高い。

 ここもタライフライが、余裕をもって飛べるくらいの広さがあるな。


 通路の奥から、聖毛ふさふさフッサーたちの声と悲鳴が聞こえる。


 どうやらかなり混乱しているようだな。


 今のうちに出口を探そう。



「あっ!?」


「あっ、清酒魔王転がしの勇者でアール!?」

「あっ、大勇者・スペシャルブレンド!?」

「あっ、超究極超極大勇者!?」


 魔王ドーパギ・ジィゼダー、大魔王ダオワベーヴォ・ベルズ、超大魔王ゼゾカードピド・ハイエーマと出くわしてしまった!?


 ドーパギたちはお供のウサキグルミたちとともに、聖毛ふさふさフッサーたちと戦っているようだ。


「いろいろとやってくれたようだな、大勇者・スペシャルブレンド!」


「やはり侮れない存在だね! というか、なんなんの、その変な格好と乗り物は!?」


「それに、この聖毛ふさふさフッサーの群れはなんなのでアールか!?」


「そんなの、おしえるわけないだろ!」


「おのれ、清酒魔王転がしの勇者めでアール!!」



「「「フッサァァアァアァァァッ!!!」」」

「くっ、おのれ、面倒な連中でアール!」

「巻き付くな! 血を吸おうとするな!!」

「邪魔だよ! 消えてよ!!」


 ドーパギたちと聖毛ふさふさフッサーたちは、互角の戦いを繰り広げているようだな。


 さて、どうするか?

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