第7話 神様達と異世界
見た目の感じがよく爽やかな好青年と透き通るような肌と柔らかい笑みの絶世の美女の2人は神様なのだろう。
まあ、そのうち分かるだろうし、まずは話を聞いた方がいいと思い、顔を上げ口を開いた。
「神様と女神様ですか?
お二方のお願いを受けることにします!」
「おぉ、ありがとう!
俺達に出来るVIPスキル待遇で、新しい人生を過ごせることを約束しよう」
「ありがとう。
私は女神のリノンです。
私からは、読み書き言葉の自動変換、草集めと賢者を授けます」
「俺は神のロア。
俺からは、特殊想像生成と無限の魔力を授けてやろう。
魔力は多いに越したことはないからな。
月が必死に稼いでいたお金は、この世界のお金に換金しておいたぞ。だがその金はある出来事の後に入れておく。
あと、これはある御方からの加護だ!
その御方は……会えば分かるはずだぞ」
ある御方?
加護?
オデコに何かしたよね。
読み書き、言葉の自動変換はすごくありがたい。
草集めと賢者も嬉しいな。
でも、特殊想像生成って何を生成するのかしら?
「神様、特殊想像生成とは何かを生成することが出来るのですか?」
「月が言葉にした物全てだ。
あとは、思い浮かべた物を生成することも出来る」
おぉぉ、それって凄くない?
50億ある貯金に、なんでもありの苦労無しの人生じゃん!
「建物も食べ物も……ですか?」
「あぁ、何でも生成出来るぞ。
俺達のお願いを聞いてくれる報酬なんだ。
VIP待遇は当たり前だ」
ドキドキする鼓動とワクワクする胸がワルツしているかのように踊っている。
私にとって人生で一番嬉しい出来事だわ。
神様と女神様の方を向き、口角を上げた私はニコリと微笑んだ。
「神様、私は異世界へ行けることにワクワクしていますし、便利なスキルを授かったことにも感謝しています」
「はははっ、そうか。
今から行く世界は【クローリア】だ。
直ぐではないが、ある御方がいるはずだ」
「転生し、時間が経ってからのお楽しみですよ。
あなたはローバル国の侯爵家の娘として生まれ変わります。
現在で3歳になりました」
「3歳! あのぅ、私がいきなり転生したとして、その子に何か影響などはないのですか?」
「ルルナ・エメルロ侯爵家の長女には生まれつき心臓が弱く魔力も無い、小さな命が消えてしまう前にルルナさんの身体に入ってもらいたいのです。体に入ると2つの魂が融合します。
月さんとルルナさんは一体化しますが、悪い影響などは無いので安心して下さい。
そして、神獣の主に選ばれた月さんに、この世界で生きてほしいのです!
初めは物凄く辛いと思いますが、ルルナの体が光った時に、ルルナの中に入ることを忘れないで下さい」
神様と女神様に深々と頭を下げられ、まぁ、断わる理由なんて全くないし……。
「分かりました。
ルルナと私に影響がないのなら良かったです」
神様は頭に手を置き、申し訳なさそうに話した。
「それと……だな。
クローリアで不穏な動きがある。
それを、あの御方と見極めて、どの国に結界が必要なのかを決めて張り、世界を守って欲しい!」
神様と女神様は「そろそろ時間だな」「そろそろですよ」と微笑みながら魔法陣を出した。
これってかなり重要な役割じゃない!
はぁぁぁ、仕方ない。乗り掛かった舟だ、頑張って新たな人生を楽しみながら、見極めれば良いんだよね。
「やってみます。
でも、あの国が滅んでしまった!
ってなっても文句を言わないでくださいよ?」
「大丈夫だ。それを決めてくれる御方がいるから。
同じことを言うが、初めはかなり辛いだろうが耐えてくれ。自由になる日が必ず来る、だからその時まで……頼む!」
耐えることには慣れてるのもあるが、きっと大丈夫。
だって私の新しい人生は、異世界・魔法・ファンタジーなんだよ!!
ワクワクが止まらない。
暖かい風がフワリと通り過ぎると。
(おぉっ!)
周りが光りだした。
「良い人生を!
クローリアをお願いします」
「頑張れよ!!」
今の私はフヨフヨした玉だが、神様と女神様に分かるように玉がお辞儀をして感謝した。
「はい。たくさんのスキルをありがとうございます。
行ってきます!」
─そして、現在に至る―
「痛っ!」
打った頭を撫でながら、起き上がり。少し考えてから歩き出した。
神様と女神様からのスキル……ハズレなのかな?
でも、あのローブの鑑定士は「聞いたことないスキル」って言っていたから、強さとか分からないんだよ。
それにしても、3歳の時に起きたあの大事故でルルナの体に入って、完全に魂が融合したんだ、異世界って凄いな。
それに、今の状況が自由になったってことで良いんだよね。
「あっ!」そんなことより、この世界を見極めないといけない。私に何が出来るのかは分からないけど頑張ってみよう。
子供の体だからなのか、歩き疲れたな。今日はここで寝よう。
なぜ、転生した時の記憶が無くなっていたのかな。
崖から馬車が落ちたときに、何らかの衝撃で一時的に無くしていた可能性もあるよね。
そういえば、ある御方からの加護って何だったんだろう?
明日は早朝から移動しないとだから、早く寝よ。
私は、走り疲れていたのか、神様から授かったスキルのことをすっかり忘れていた。
「スキルのこと忘れてた!
ベット出てこい!!」
ドォォン!
「マジで出た。うわぁ、ふかふかお布団だ、天国みたい」
私は、大きな欠伸をしたあと、眠りへと落ちた。
朝日に起こされ、小川で出発の準備を整え魔法で身体を浮かせ「浮遊!」先を急いだ。
「楽ちんだぁ……」
休んでる暇なんてないけど、なれない魔法を使って疲れちゃった。
私は絶対に国境を越えてやる!
山頂で見ると国境が見える。と、思ったが見えなかった。
あんなに頑張って浮いて来たのに。
浮いても国境までは凄く遠いってことなんだ。
グッと、唇を噛み締め。
再び浮いて進み続けた。
まだ私は頑張れる。
こんなところでなんて死なないんだから!
国境ではなく、街に到着?
ここは国境……じゃ……ない。
地に降り立ち。さまようように、街をフラフラと歩き。
ルルナは虚弱体質だから、すぐに体が疲れちゃう。体力をもどるように頑張ろう。
それにしても、身体も筋肉痛と疲労で今にも倒れそうかも。
「お嬢ちゃん?
お母さんとはぐれたのかい?
顔色が悪いけど大丈夫?」
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