第27話茜の提案

 俺の顔は無事か?母親からビンタの嵐を受けた俺は待合室の椅子に座り頬を優しく擦る。俺にビンタをかますだけかました母さんは真冬先輩と病院の喫茶店へと向かった。怪我した俺を置いて…せぬ!


「ここにいらっしゃいましたのですね松山様?」

「来たでゴザルよ!」


「愛美先輩に茜先輩。わざわざ来てくれたんですか?」


「勿論ですわ!」

「勿論でゴザルよ!」


「ありがとうございます」


「左手が使えないと何かと不憫だろうと思いまして急ぎ参りましたわ」

「何でも言うと良いでゴザル!」


「お心遣い感謝しますが大丈夫ですよ。気持ちだけで十分です。ところでアイツ等はどうなりましたか?」


「それこそ気にする事は御座いませんわ。二度と会う事はありませんのでご心配無く…」


「えっ…?」


「外国の刑務所に入ったでゴザルよ!日本ではあの者の父親の息がかかってるやからが居るかも知れないでゴザルから!それに治療費等は全て気にしなくて良いでゴザルよ!」


「その通りですわ。ごゆっくり養生なさって下さいまし。後程のちほど治療費等のお金は先方から預かり、わたくしの顧問弁護士が松山様の方にお渡しに行かれますのでどうかお気になさらずに…」


「…何から何までありがとうございます。愛美先輩、茜先輩」


「それよりもでゴザルよ?」


「何か気になる事でも?」


「思春期の男子が左手が不憫では1人でのは無理でゴザルよな?」


「えっ…今、何とおっしゃいました?」


「うん?だから1人でのは不憫でゴザルよな?と、言ったでゴザル。だから拙者が手伝うでゴザルよ♡」


「はい!アウト─────────!」


「うん?何ででゴザル?」


「いや…何故そこで茜先輩が疑問系なんですか?」


「いえ、茜の言う通りです!」


「はぁ───────っ!愛美先輩迄何言ってんの?ここは病院なので失礼ですがお二人共1度脳の検査をされた方が良いかと…」


「松山様は分かっておられません…」


「…何を?」


「左手が使えない事の不憫さを…」


「いや、不憫なのは十分分かっていますが…」


「甘いでゴザルよ!考えるでゴザルよ!ぶっちゃけると豊和殿の部屋の本棚にある幼馴染みモノのエロ本を見て致す時に右手に棒を握るでゴザルよな?さすれば左手でページを捲るでゴザルな!左手が使えないという事は良いところで止めないといけなくなるでゴザルな?ところがでゴザル。拙者が手伝う事によってそれが解消されるでゴザル。だからWin-Winの関係でゴザル♡」


「ゴザル♡じゃな──────────い!全部聞かなければ良かったわ!何で俺は途中で話を止めなかったんだ?ってそんな事より茜先輩、アンタ真っ昼間から何言ってんだ?マジで!それに何で本棚の本の事を茜先輩が知ってるでゴザルか?じゃない。知ってるんだ?前提もおかしいだろぉー!」


「忍びだからでゴザル?」


「…何故また疑問系なんだよぉー!」


「茜の言う事はもっともです。溜めすぎても体に悪いかと思われますわ」


「………大丈夫です」


が合ったでゴザル!」


「………」


「コラ!アンタ達、怪我してる豊和を困らせてるんじゃないわよ!」


そこに現れたのは美麗先輩。少し呆れながら問題の2人を見ている。良いタイミングで来てくれたものだ…。感謝します美麗先輩!


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