第14話通学中
幸子と深雪に手を引かれながら学校へと向かう。朝から告白されて、挙げ句キス迄されてしまった。しかも唇にだ。今も唇には
「…ちゃん、もぅ~!豊ちゃん!」
「…っ!?」
「豊和ちゃんと聞いてた?」
「…悪ぃ、聞こえてなかった。ちょっと待ってくれ。コーヒー飲んでシャッキッとするから!」
俺は自動販売機でコーヒーを買い少しでも心を落ち着ける事にした。そんな簡単に落ち着く訳は無いけど考える時間が少しでも欲しいからだ。
カシュッ!ゴクッゴクッ…
「もぅ~!ちゃんと聞いててよ!」
「ねぇねぇ、豊和!」
(ピキィーン!そうだ、良い事思い付いた!)
「?」
「私の唇の感触どうだった?」
「ブゥ────!ゲホッゲホッ!お、おま…えは…ゲホッ」
「あっ、ついでに私の唇の感想もお願いね」
「…お前等なぁ~、ゲホッゲホッ!」
─「大丈夫豊和君?」
「「あっ…中野さん」」
「!?(遥だとぉー!)」
俺に駆け寄り可愛い熊のハンカチを取り出して優しく拭いてくれてるのは遥だった。参ったな。昨日の事もあり気まずい…。
「あっ、こっちにも掛かってるよ。染みになるからジッしててね!」
「…ああ、うん」
「ところで豊和君に聞いておきたい事があるんだけど良いかな?」
「…何を?」
「唇の感触って何かな?かな?」
幸子と深雪の方へ視線を向けると2人は知らんぷりしてやがるぅ!くぅ~!お前等のせいだからな、この状況!遥から何か圧を感じて目を合わせられない。ハァ~、どうすっかなぁ~!
「いや…遥、あのな、その何でも…わっ…」
チュッ♡チュッチュッ♡
ネクタイを不意に引っ張られ視界には目を
「「…中野さん、やり過ぎぃ!!」」
「んっ…豊和君…私達キス…しちゃったね?フフッ…」
「…あ、あのなぁ…」
「それで私達の唇の感触どうだった?」
「「流石ね、中野さん!!」」
「遥でいいよ!2人共。それでどうなのかな?豊和君♡」
「「どうなの??」」
「…3人共凄く柔らかくてドキドキしてる」
「「「そ、そうなんだ…」」」
「照れるんなら聞くんじゃないよ、全く、俺の方が恥ずかしいわ!」
「ボクも仲間に加えてくれるかい?」
視線を声がした方へと向けるとそこには唯が立っている。相変わらずのイケメン女子。立っている姿がやけに様になっている。
それにしても幸子も深雪も遥ももう少し自分を大事にして欲しいと切に願う。女の子の唇は安く無いのだから…。
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