最終章 音楽を守る為に
第21話「戦士散る……」
いよいよノイズとの最終決戦が始まろうとしていた。
だがその前に茂は辰哉と太一、そして栞を集め音楽の戦士である事をちゃんと説明する場を設けた。
「って訳なんだ……」
「信じられねぇ……」
「まさか……俺達が知らない間にそんな戦いがあったなんて……」
「今まで黙っててごめん。でもそもそもは秘密にしなきゃいけなかったから……本当ごめん」
「ああ、もういいよ!決まりなら仕方ないって」
「ああ、それに……ちゃんと話してくれただろ?」
「お前ら……やっぱ最高だぜ!!」
そう言って茂は辰哉も太一に抱き着く。
「うわっ!?辞めろって気持ち悪い!?」
「離せ……離せ……」
「だってお前ら話せって言っただろ?」
「そっちじゃない!!」
「あーあ……何やってんの……」
栞は呆れて見ている。
「あーもう!暑苦しい!いい加減離れろよ!!」
辰哉と太一が茂を引き剥がす。
「まぁ……話を聞いて納得はしたぜ……でなけりゃお前があの王堂さんと知り合いな訳ねぇもんな」
「ああ……うん……」
「王堂さんの事……残念だったな……」
「うん……それに……多分これからもノイズとの戦いは激しくなる……そうなると満足に練習も出来ないかも知れない……」
「まぁ、それは仕方ないよ。世界を守る方が重要だもんな!」
「ああ、その代わり世界と音楽をしっかり守ってくれよ!」
「おう!」
そう言って茂達はグータッチをする。
その頃、ノイズのアジトでは……。
ベルアゼスが何やら考え事をしていた。
「……」
「ベルアゼス様、どうなさいました?」
そうゼレーバが話し掛けて来た。
「ん?ああ、ゼレーバか……いや、ちょっと昔の事を思い出してな……」
「昔の事?」
「ああ……それより何か用か?」
「あっ、はい……ミューズを狙うにはやはり何かで誘き出すしかないと思いまして……」
「うむ……確かに……奴は中々表には出て来ないからな……」
「そこで思い付いたのですが……」
ゼレーバはベルアゼスに作戦を説明。
「面白い、やって見ろ」
「はっ!」
そして新庄は骨折を見て貰う為、病院を受診していた。
レントゲン写真を見ながら医師に説明される。
「この様に新庄さんの右腕は完全に複雑骨折です」
「治療にはどの位掛かりますか?」
「この状態ですと2ヶ月は掛かると思って下さい……」
「2ヶ月……そうですか……」
「入院はしなくて大丈夫ですが、しばらく通院はして下さい。それと日常生活ではカルシウムをなるべく摂る様にして頂ければ少しは治りが早いと思います」
「分かりました」
「ではお大事に」
「ありがとうございました」
新庄は病室を出る。
「2ヶ月か……そんなにのんびりしてられない……」
「あなた!」
診察室から出て来た新庄に付き添いで来ていた桃香が声を掛ける。
「ああ……待たせたな」
すると海人が……。
「パパ……だいじょうぶ?」
「ああ、大丈夫だよ。でもしばらく抱っこは出来ないから我慢してくれな」
「うん……」
「もう良いんでしょ?買い物して帰りましょう」
「ああ……会計だけしてくるから待っててくれ。それと……悪いが俺は本部に行きたい。買い物は2人で行って来てくれるか?」
「分かったわ」
そう言うと新庄は会計を済ませ桃香の運転で本部に向う。
音曽根楽器店の前で車を降りる新庄。
「じゃあ、報告とか済ませたら帰るからな」
「うん。あまり動き回っちゃダメよ」
「ああ、分かってるよ。じゃあ、気を付けて行けよ」
「うん、じゃ……」
車を走らせ買い物に行く桃香と海人。
「さて……誰が居るかな……」
新庄は音曽根楽器店から本部に入って行く。
「フフフッ……見つけたぜ……」
ドレイクがその様子を監視していた。
デパートで買い物をして車に戻る桃香と海人。
「さぁ海人、今日はパパを元気付ける為にご馳走作るからね!海人も楽しみにしててよ」
「うん!」
「待ちな……」
「きゃっ!?」
桃香と海人の前にドレイクが現れた。
新庄はミューズに怪我の状態を報告していた。
「そうですか……すみません私のせいで……」
「いえそんな事ないですよ……ただ……こんな状況で戦えないのがアイツらに申し訳なくて……もう俺が居なきゃクインテットストライクも使えないし……」
「大丈夫ですよ。ビート達も頑張ってくれていますし、フェローチェは体を治す事に集中して下さい」
「ありがとうございます……」
そこへ、新庄のスマホに電話が掛かって来た。
桃香からの着信だった。
「あっ、失礼……」
「どうぞ」
新庄は電話に出る。
「もしもし?桃香?どうした?」
「フェローチェ……貴様の妻と子どもは預かっている……」
「!!その声……ドレイクか……どういう事だ!?」
「ああ……2人を返して欲しければミューズと交換だ」
「そんな……ふざけるな!!」
「よ〜く考えな……また掛け直す」
そう言ってドレイクは電話を切ってしまった。
「おい!おい!」
「フェローチェ……ドレイクって……まさか……」
「桃香と海人が人質に……」
「分かりました。私が行けば良いんですね!」
「それはダメです!奴らはミューズさんの命を狙ってるはずだ……神の楽譜を消し去る為に……」
「でも!私が行かなくては桃香さんと海人君が……御家族を助けたく無いんですか?」
「それは……勿論助けたいですよ……でもその為にミューズさんを犠牲になんて……」
「……他の戦士達に手を借りましょう。私もただやられるつもりは無いですよ」
「ミューズさん……すみません……」
そして、ミューズの連絡により、茂、彰、琴音、裕二が集められた。
「皆さん、集まって頂き感謝します。どうか力を貸して下さい」
「勿論!俺達で桃香さんと海人君を助けましょう!」
茂がそう言うと……。
「ああ、元より奴らは潰す」
「新庄さんの家族まで巻き込むなんて許せない……」
「新庄さん、あなたは怪我してるんだ。ここは俺達に任せて下さい。必ず奥さんと海人君は助けて見せますから!」
「皆……ありがとう」
新庄は4人に深々と頭を下げた。
「よし、行こう」
そして、茂達4人の戦士とミューズはドレイクに連絡。
ドレイクが指定した場所に向かった。
「フンッ、まさかそっちから連絡して来るとはな。関係ない一般人を助ける為に命を投げ出す覚悟が出来たか?ミューズ」
「勘違いしないで!私達は桃香さんと海人君を助けて、あなたを倒しに来たの!」
「ほぉ……」
「皆、行くぜ!!」
茂達はそれぞれ楽器を呼び一斉に『変身』
ビートとボイスがドレイクに挑む。
ドレイクも応戦。
2人を相手にその強さを発揮する。
「クソッ……やっぱコイツ強い……」
「一気に勝負を決めるぞ!」
その間にブリッランテとフォルテは桃香と海人の救出な向う。
しかし、ブリッランテとフォルテにはジーグが待ち構えていた。
「おっと、行かせないよ?2人共」
「ジーグ……そこをどけ!」
「フフッ……ヤダね」
「このっ!!」
ブリッランテがジーグに挑む。
「お前ごときがムキになるなよ?何をしたって俺には勝てないぜ?」
「くっ……」
フォルテもジーグに攻撃し、ブリッランテを援護する。
その隙に新庄が縛られている桃香と海人に近付き助けに行く。
「パパ!」
「しっ!見つかるだろ」
「あなた……助けに来てくれたのね……」
「当たり前だ……待ってろ今解いてやる」
新庄は2人を縛っている縄を解こうとするが、片腕の為中々解く事が出来ない。
新庄が縄を解くのに集中していると背後からゼレーバが現れる。
「はっ!あなた!」
桃香が気付き新庄に教えると……。
新庄は振り向く。
「くっ……ゼレーバ……」
「フフフッ……家族を救う為にそんな怪我をしてまでやってくるなんて、健気だねぇ……直ぐに楽にしてやるよ」
ゼレーバは右手から光弾を放つ。
「ぐはっ!?」
「あなたー!!」
桃香は叫んだ。
桃香の叫びで他の戦士達も気付く。
「何っ!?」
新庄は口から血を吐きその場で倒れ込む。
「新庄さん!?」
ビートが叫ぶ。
「戦いに集中しろー!!」
ドレイクが攻撃をしてくる。
「くっ……邪魔だー!!」
ビートは『ロックスターフォーム』にチェンジ。
必殺技『クライマックスブレイク』を放つ。
「まずい!?」
ドレイクは瞬時に姿を消し直撃を回避した。
「新庄さーん!!」
ビートとボイスが新庄の元へ駆け付ける。
「フッ……やれやれ……これ以上戦っても無駄だね」
「何っ!?」
ジーグも姿を消す。
「クソッ!」
「それより新庄さんよ!」
「……そうですね……」
ブリッランテとフォルテも新庄の元へ駆け付ける。
「フフフッ……これでまた1人……戦士が死ぬなぁ……これでクインテットストライクは封じた……」
「ゼレーバ!!テメェ!!」
ビートがゼレーバに攻撃を仕掛ける。
「おっと、これ以上相手してられないよ」
ゼレーバも姿を消す。
「クソッ……新庄さん!!」
他の戦士達が新庄の元へ集まりミューズもやって来た。
「お前達……俺は……いい……それより……2人を……」
「は、はい」
フォルテが桃香と海人の縄を解く。
「すまねぇ……俺も……長くは無さそうだ……」
「そんな……新庄さんまで死なないで下さいよ!!」
「それは……出来ねぇ約束だな……桃香……すまない……海人を……頼む……」
「あなた……いや、死なないで!!」
「海人……大きくなって……ママを……守ってくれ……」
「パパ……?」
新庄はゆっくりと目を閉じた。
「新庄さん?新庄さん?」
桃香は泣き崩れてしまった。
そしてミューズも力が抜け膝から崩れ落ちる……。
「ごめんなさい……私のせいで……ごめんなさい……」
また1人、戦士を失ってしまった奏での戦士団……しかし、ノイズとの戦いはまだ続く。
世界の平和と音楽の為に立ち上がってくれ、戦士達。
続く……。
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