第7話「第三次フィーグ爆弾テロ事件①」

「逃げたと思ったけど、また現れるなんて性懲りもない奴だな」

「それはこっちの台詞でもあるな。今回も貴様が出動しているではないか」


 例の場所で武装隊に取り囲まれながらナムゥと対峙しているのは、例によってシャイニングだった。


「なぜこう何度も現れる!こんなことをして意味でもあるのか?」

「愚者め!だから現れる度に説明しているだろう!逃げ惑う人間共を見に来ただけであると。これで三回目だ。いい加減覚えろ。それに、貴様、シャイニングと言ったな?調べれば貴様はヒーローという職業を名乗り悪人退治に勤しむことで、多くの人間からの支持を得ているようだな」

「よく知っているな。今や有名人のナムゥからも知ってもらえるとは光栄だな」

「インターネットというもので人類が迅速に情報交流を行っていることは知っている。我もそれを利用させてもらった。特に『ウィキペディア』というサイトはどこよりも多くの情報がまとめてあり便利であった。我は貴様の情報を得て思った。全人類最強、世界中の人気者である貴様を降伏させることで、我は絶望に堕ちた人間共の顔を拝むことができる、とな」

「そうか。お前にしては安直な計画じゃないか。また返り討ちに遭う気なのか?」

「我が同じ過ちを繰り返すと思うのか?愚者め」

「まあ、それもそうだな。でも……」


 その瞬間、ナムゥの視界からシャイニングが消えた。


「ハッタリという可能性もあるよね。正直言って、お前は前回の二の舞にしかならないと思うけど?」


 一瞬にしてナムゥの背後に回ったシャイニングは前回と全く同様、後ろでナムゥの腕を組み手錠をかけた。


「同じ手か。やめておけ。言っておくが、その手ももう今の我には通用しない」

「そう言われて拘束をやめる馬鹿がどこにいる。それもどうせハッタリなんだろ?詰めが甘いぞ」

「詰めが甘いのは貴様ではないのか、シャイニング。貴様は我を見くびりすぎている。一度我に勝利したことで気が緩んだか、愚者め。言ったであろう。我は自らを破壊し再生することで肉体改造ができると。そして、前回の失態を経て再び我は肉体改造を施した。だから同じ手は通用しないと言っているのだ」

「そうかい。それはご丁寧にどうも。で、どうするんだ?」


 ナムゥの言葉に依然としてシャイニングは涼しい顔をしていた。


「わ、我は忠告したのだぞ?それでも退かないとは、かなり肝が据わっているのだな」

「ああ。いいからさっさとやってくれ。策とやらを」


 このとき、シャイニングは確信していた。ナムゥはハッタリを噛ましていると。


「ああ。な、ならば、やってやろう」


 シャイニングはナムゥが手錠をかけられないように何かしらの肉体改造を施してくると想定していた。だが実際はあっさりと手錠をかけられた。恐らく、ナムゥが何かしらの策を出そうとしたが、シャイニングの速さについていくことができず、何もできないまま手錠をかけられてしまった。そして手錠をかけられたナムゥは言葉の脅しでもってシャイニングがナムゥを掴んでいる手を離そうとしており、シャイニングが離した瞬間にナムゥは策に出る。そうシャイニングは考えた。だからシャイニングはナムゥを全く離さなかった。


 しかし……。


「こうやるのだ」


 ナムゥがそう言い放ったとき、シャイニングは即座に自分の身の危険を察した。


(これは、まずい!)


 そうシャイニングが思った瞬間、ナムゥを爆源としていきなり大爆発が巻き起こった。

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