隠遁主義者宣言
風頓(フートン)
第1講 新時代の隠者は3つの世界を旅する
世の中には2種類の人間がいます。
隠遁生活に憧れる人と、隠遁生活に憧れない人。
人は誰しも一人になりたいと思うときがあります。
仕事や人間関係に疲れてしまったとき。
趣味に没頭したり考え事に集中したいとき。
でも、
そんなこととは関係なく、
一人でいるほうが居心地がいい。
他人のことは気にせず自由にのんびり暮らしたい。
いつもそう考えている人もいます。
私もその一人です。
隠者にあこがれたのはいつのことだったでしょうか。
世俗の雑事に左右されない自由。
自分の好きなことだけやって暮らしたい。
現代の日本でそんなことが可能なのでしょうか?
私は可能だと信じています。
インターネットの発展が人々の暮らしを変えました。
そして、人々の考え方も変えました。
インターネットを使って
就職せずにお金を稼ぐことができます。
インターネットを通じて
他人と深くかかわらずに生きていくこともできます。
インターネットの世界は日々広がっています。
我々はこの現実社会に現実の人間として生きています。
現実の世界や宇宙は無限に広がっています。
しかし、
あなたが今見ているパソコンやスマホの画面の向こう側にも
現実の世界や宇宙と同じ広さの別世界が
無限に広がっています。
そしてそれは日々成長し、拡大しています。
現代人は
この2つの世界を行き来しています。
本当の自分と、ネットの中の自分。
自分が2つに分裂し、
自分を見失う。
いったい本当の自分はどちらなのか。
自分のコントロールができなくなる人もいます。
ふだんはいい人なのに、
ネットでは人格が変わってしまう人もいます。
さて、
我々は、
もう一つの世界に住んでいることを忘れてはいけません。
3つ目の世界です。
それは自分の内面世界です。
あなたの中には、もう一つの世界があります。
精神。
心。
魂。
この世界も、現実世界やインターネット世界と同様に、
無限の広がりを持っています。
自分自身の内側にも、
もう一つの世界があることを忘れてはいけません。
そして、この精神世界こそが
本当の自分自身の世界だと感じる人。
そういう人が隠者です。
古来、世界には
多くの隠者が存在しました。
自分自身を見つめ
自己探求や精神的な向上を目指す。
社会的な成功や名声など無関係。
自己実現を追求し、
自分の思想や哲学を深めることに
喜びを感じる。
昔の隠者は、
社会から離れて静かな環境を求めて、
自然の中に居場所を求めました。
しかし、現代では
そんな生活は無理でしょう。
現代文明の恩恵を十分に享受しつつ
精神的自由、社会的自由をたのしむ。
それが現代の隠者です。
世俗や他人と適度な距離をおきつつ、
自分自身をみつめ
自分自身の幸せを追求する。
今の日本なら、
そういう生活が可能です。
可能だと信じています。
隠遁生活は現実からの逃避ではありません。
新しい人間の生き方を探る挑戦的な試みです。
現実世界と、
インターネット世界と、
自分自身の内面の精神世界。
この3つのバランスがとれる人。
それこそが私の理想とする隠者の姿です。
【参考文献】
・岡田斗司夫『あなたを天才にするスマートノート』文藝春秋、2011年
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