三題噺
GW 井戸 東
季節はGW直前、私は東京に来た。この井戸端に座り、ただ黙って景色を眺める。
ただ、ただ時間が過ぎるのを待っていた。
この井戸は25年ぶりに見たものだった。
私はここで暮らしたわけではないが、自分がここにいたと信じ込んでいた。
そこは、まるで自分の記憶の中にあるように、私を引き込もっていった。
GWの中日には、この場所に多くの人々がやって来る。彼らは笑顔で写真を撮り合う。
人々は短時間にすべてを味わおうとしている。しかし、私はもうすでにこの場所でひと時の幸福を見つけた。ここに来れば、自分が何者であるかを最初から知っていると思え、心の深いところで、この場所が私の根源だと思っていた。
この井戸は水源地である。自分たちが使っている天然水がここから供給規されるのだ。
私はこの原水処理場で働いていた。当時、私は20代の男性で、未経験の仕事で、周りの人々から指導を受けながら、必死に働いていた。
10時間以上働くことは日常茶飯事だった。しかし、そのことが楽しくもあった。
周りはみんな真面目で、スキルを身につけたいという想いがあった。私は彼らと仲良くなり、仕事と人間関係の双方が充実していた。
あの日、井戸に落ちる事故が起こった。私は共同作業の一員で、もう一人の仲間を助けようとした。
しかし、水圧に圧し潰され、意識を失った。
意識を取り戻したとき、はじめて安全のない現実に直面した。死というものを初めて感じ、驚いたような気がした。
私はその後、しばらく職を放棄し、遠く離れた場所で自分に合った仕事を探した。
その過程で、自分自身について大いに考え、現在の自分に決断を下すきっかけをつかんだのだ。
私はその時から、人生を真剣に生きている。
5年後、私は故郷に帰って来た。この井戸端に座り、静かに過去を振り返った。
「過去は去り、僕は今ここにいる」
と、自分に言い聞かせた。そして、次の一手を考えることにした。
了
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