第20話 ハインデルク公爵家
ジークは父親ヴィダの執務室のドアをノックした。
「入れ」
「失礼します」
目の前の執務机から顔を上げて
父親のヴィダが話しかけてくる
「聞いていると思うが、明日の午後には
クラウド公爵家のリーナ令嬢が我が家に来る」
「はい」
二日ほど前からジークの母親のスノーが
高熱出してかなり容態が悪くなっている
今回の話しが決まった時は、多少体調が悪るそうではあったが
一気に体調が悪くなり、咳と高熱が酷くかなり危ない状態だった
お抱えの医者には診せたのだが
症状的に風邪なので特効薬は無く
解熱の薬草を飲ませているが体力的にかなり消耗しているので
体調が回復しないのだ
本来であれば今回の話は断りたかったのだが
あまりにも病代が急変して調整が間にあいそうではなっかたのだ
国内の貴族であればそれでも強引に断ったが
相手が友好国の筆頭公爵で国王からの頼みでもあった為
断るにも時間が取られてしまう
今そんな時間を取られる位なら
向かい入れてしばらくは
ご令嬢にはゆっくりして貰って
自分は母親の看病に専念したかった
事情を話せば理解してくれるだろう
考えたくも無いがもし母に万が一があった場合には
ご令嬢には理由を話してこの件を白紙にして貰うしかない
ご令嬢も居づらいと思うし
妹二人もいたたまれないであろうから
「タイミング悪かったな
もともとスノーの件が無くても
あの悪評に加えてあの容姿では
私は乗り気では無かったがな。
お前とは同じ歳なので、来年の春には同じ学園に通う事になるが
どう思っている?」
ジークはこの問いに対して少し意外だった
父親は優秀でジークとは細かな部分で意見が違っても
あまり見解が大きく異なる事が無かった為だ
容姿に関しては隣国から我が家に送られて来た為
ジークも見たが、痩せれば別だがあそこまで太っていると
美しいと評価は出来ないであろう
だがジークからすればそんな事は些細なことである
ジーク自身は彼女を自分の目で直接見たわけでは無いが
もう答えなど出ているではないか
#あのアーク公爵子息が溺愛している__・__#
それが答え以外の何ものでもない
ジークはなんどかアーク公爵子息に会って話した事もあるが
自惚れでもなんでもなく、
客観的にみても自分自身がかなり優秀だと思う
周りからも歴代の公爵家でも一番だとも言われていた
そんな自分から見てあの男は異質だ
異質としか評価が出来ない
ある問題があったとして彼はいきなり答えに行き着くのだ
ジーク自身も今までの経験や知識で
未来予知にもにた答えが出せる事もある
だがあの男は異質なのだ
原因があってこその結果であるのに
あの男はそんな事は歯牙にもかけずに
結果に辿り着くのだ
その男が溺愛しているなんて
女神の生まれ変わりと言っても疑わない
まあどちらにしてもか・・・
神に愛想を尽かされても
自分にとって家族一番である事に変わりは無いのだから
「別段思う事はありません」
ジークは父親にそう答え母親の看病に戻った。
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