第四章:合同①
第32話:連絡と相談
第32話:連絡と相談
一歩一歩ゆっくりと世界は変わっていく。
真っ先に変化したのは亜人種の扱いについて。
差別的な発言は多少見られたけど、人種であることは変わらない。
だから、まずは戸籍に種族が追加されて、亜人種を守る為の法整備も進み始めている。
僕の周りはというと、正直何も変わっていない。
神族になった瞬間に頭になだれ込んできた膨大な情報では、神族は亜人じゃないし。
とはいえ戸籍上人族のままで大丈夫なのか疑問もあって、両親に相談だけはしておいた。
どうなるかは、まあまだ分からないかな? 出来れば波風は立たないでほしい……。
そんなこんなで、まったりと夏休みを楽しんでいます。
そして、今日は先週できなかった配信をすることになってる。
第四回配信、ギフトも追加されてからは初配信だ。
しかも、今日から全体公開に切り替えるから、ちょっと緊張してる。
「それじゃ、配信始めるから席に着いてくれ」
「うん……」
「はーい」
「お茶とカヌレの準備はできてます」
「よし、そんじゃオンエアーっと」
----
#004 第4回のなめのお茶会
「みなさん……こんにちは……のなめです……」
「こんちわー、ネココだよー」
「こんにちは、E奴だぜ!」
「ごきげんよう、メイドです」
:こんにちはー
:始まったー
:こんにちわわ
:久しぶりー
「先週は……ごめんなさい……配信……できなくて……」
「世界変動があったからな、さすがに配信は控えさせてもらったぜ」
「さすがにねー」
:しょうがないよ
:やってる人居たけどすごく少なかったしな
:やったらやったで絶対見に来てたけど
:こうして配信してくれてるし良し!
「ありがとう……ございます……」
「理解してもらって助かるな」
「……早速で申し訳ございません、本日のお茶請けをご用意致しました。 私が作りました、カヌレでございます」
「まってましたー!」
:俺はチーズケーキ買ってきた
:私はダイエット中だからスルメ
:ピザ味のポテチ!
:俺は霞を食うぜ!
:霞てwww
:買い忘れたんだよ……
「のなめ様はコーラ、E奴様は麦茶、ネココ様はアイスミルクティでございます」
「ありがとー、今日はお花畑カップだねー」
「華やかで……可愛いね……」
:ティーカップでコーラはいまだに慣れないなwww
:麦茶もなwww
:ネココちゃんが異端に見える不思議
:俺は黙って霞を飲むぜ!
:食えるし飲めるし万能だなwww
「最初は……改めて……自己紹介から……」
「初めての全体公開だし、知らない人も居るだろうしな」
「そだねー、だいじよねー」
:初見なので助かります!
:お初です
:はじめましては心を込めて
:はじめましてー
「僕は……のなめです……人族の……声真似系ノッカー……です……」
「俺はサポーターのE奴! 吸血鬼だ!」
「あーしはサポーターのネココー。 猫又のじゅーじんでーす」
「私はサポーターのメイドです。 シルキーでございます」
:濃いなーwww
:へあー猫又なんてあるのかー
:メイドのシルキーとか天職中の天職だな
:のなめ氏だけ人族って逆に違和感すごいな
:亜人種の茶会になりつつあるwww
和やかな雰囲気で始まった配信。
ギフトが解禁されたことを伝えると、早速ギフト爆弾が連投された。
視聴者数の何倍も来る事にみな驚愕を隠せない。
「あの……ほどほどに……」
「あわわわー」
「お財布とちゃんと相談してくれよな? 大丈夫だよな?」
「さすがのなめ様です」
:全然大丈夫、稼いでるから
:少なくて申し訳ない……
:今回は初ギフトだからな、甘んじて受け入れとけ
:そうそう、みんな投げたくてうずうずしてたんだし
:メイドさんに美味いお菓子でも作ってもらいなさい
「あ、ありがとう……ございます……」
「社会人ってすごいなー」
「高額ギフト贈ってくれた視聴者さんは、種族が社会人なのかもな」
「ふふふ……社会人……」
:どうも社会人族です
:僕も社会人族だ
:くっ……社会人族になりたい!
:ニートは社会人族に入りますか?
:入りません、まずは転職しましょう
「ふふふ……転職……」
「のなめがツボってるの初めて見た……」
「どーどー、落ち着いてー」
「のなめ様、コーラのおかわりをどうぞ」
「ふう……ありがとう……」
「落ち着いたか?」
「うん……もう……大丈夫……」
「よし。 今回の雑談は、ちょっとした共有も含めたいから、こっちで話題を用意したぜ」
「そなのー?」
「打ち合わせでも言っただろ? 大事な話だからって」
「そーだったっけー」
「まったく……」
:なんだなんだ?
:告知かなんかか?
:大事な話か、なんだろ
「今日までにDMでコラボ依頼がいくつか来てて、素人さんから企業さんまで色々だ」
「すごい……コラボ……嬉しい……」
:企業までとはすごいな
:もうコラボ依頼来てるのか
:私も依頼出そうかなー
:是非僕ともコラボしてほしいね
「今までコラボについて言及してこなかったから、この場を借りてちゃんと話そう、ってな」
「うん……大事なこと……だね……」
「だから、来ている依頼は一旦、一旦な? 白紙にさせてもらって、話を聞いて大丈夫って人は改めて依頼を送ってほしいんだ」
:なるほど、確かに大事なことだね
:今後のためにも必要かもね
:ご清聴願います
「まず、メイドさん以外全員学生だから遠方のコラボは基本なしでお願いしたい」
「来ていただければ良いですが、行くのは旅程も旅費も厳しいですからね」
「そうだな。 それから、コラボをする時はのなめだけじゃなくて俺たちも一緒にが絶対になる。 のなめの性格的にも一人はちょっとな」
:うん、一人は無理だろうな
:サポーターさんに会えるのも羨ましいな
:生メイドさんに会えるとか裏山
:保護者×3は笑えるwww
「まあ安全面を含めて理解してほしい。 最後に、体を張ったリアクション系やチャレンジ系はNGでお願いしたい。 あくまで声真似系ノッカーだから、その辺はな」
「そうだね……たぶん……無理……」
「たぶんじゃなくてー、絶対ムリだよねーwww」
「依頼は声系、お茶とかお菓子が絡むのを優先したいと思うから、そこんとこ考えてくれよな」
:のなめくんとアフレコやってみたいな
:お喋りするだけでも楽しそうだよね
:お茶会コラボいいな、絶対和む
:声真似しながらテーブルゲームも良さそう
「ってことで、俺ばっか喋っててもつまらないだろうから、リクエストタイムに移るか!」
「うん……」
「おー!」
「お茶追加しますね」
:待ってました!
:何やってもらおうかなー
:声真似のリクエストですか?
:あえて人外をリクエストするのもありか……
リクエストタイムも大盛況だった。
一つやる度にギフトが飛び交い、一日でそうとうな額になったとか。
そして全体公開にした影響がさっそく出たのか、フォロワー数が一気に増えた。
----
「お疲れさん!」
「お疲れ様……」
「おつかれー」
「みなさん、お疲れ様でした」
「さっそくなんだけど、配信中にいくつかコラボ依頼が来てたんだよな」
「そーなんだよねー、ビックリしたー」
「もう……来てたんだ……」
配信の影響ってすごい。
一方的なお願いだったのに、それでもいいって人が居たってことだよね。
ありがたいな、嬉しいな。
「声優から一件、アイドル声優から一件、お菓子メーカーから三件、飲料メーカーから二件、声真似配信者から五件、ってとこだな」
「そんなにー?」
「いっぱい……だね……」
「みなさん可能性を感じてくださったんですね、素晴らしいです」
「さて、どうする? クッキーくん」
「ん……僕は……」
どうしよう、こんなに求めてもらえるだなんて思ってなかった。
すごくすごく嬉しいんだけど、数が多くて悩んじゃうな……。
話題作りも考えないとだし、思い切ってもいい、のかな?
「話題作り……したい……。 だから……声優さんと……」
「そこんとこちゃんと考えてくれたんだな、偉いぜ! 声優とアイドル声優が居るけど、どっちにする?」
「その……内容とかは……?」
「そうだな、声優の方は収録ブースを使って対談を考えてるらしい。 アイドル声優の方は、事務所の一室を使って雑談と一緒に歌いたいらしい」
「細かい内容……来たんだね……」
「コラボを依頼する側が企画提案をするのは、まあよくあることだし、ちゃんとした事務所所属だからその辺しっかりしてるんだろ」
「そっか……ならまずは……声優さんで……」
「分かった、返事して詳細詰めておくな!」
「楽しみー♪」
「本物の声優さんに会えるんですね、アニメ好きとしては非常に楽しみです」
まだ誰とコラボするかは分からないけど、楽しみだな。
どんな配信になるんだろ?
対談……ちゃんとできるかな?
今からちょっとドキドキだよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます