第023話 勲章

「まあ、本件については我々近衛騎士第二部隊で全力で捜査しているから安心してくれ」


「・・・はい!」


そうだよね。メリッサ様たちが真相を追っているならあたしが気にしすぎることはないもんね。


ひとまず、頭の片隅に留めておくだけにしよう。


「さて、それで2つ目だが」


ごくっ


あたしは思わず、つばを飲み込んだ。


1つ目であれなら2つ目は一体何なんだろう。


「ふふっ。そう身構えることはない」


メリッサ様があたしの様子を見て楽しそうに笑う。


「2つ目とは他でもない。今回の件の活躍によりミリーナ・インスパイア見習騎士に勲章が与えられることになった」


「・・・え?」


まさに予想外の言葉にあたしの思考は停止状態になり、思わず間の抜けた声を出してしまった。


「聞こえなかったか?君に勲章を授与することになった」


メリッサ様はあたしの反応が面白くて堪らないといった表情を隠しもせず、再度同じことを言う。


勲章?・・・って何だっけ?あれ?上手く頭が働かない。

国にすごく貢献することでもらえるやつだったような?勲章を貰うことが騎士人生におけるゴールの1つとされていたりするやつだよね??


それをくれるって?


あたしに??


「えーーーー!!!!」


漸く思考が追いついたあたしは思わず大声で叫んでしまうのだった。






「ふふ・・・落ち着いたか?ミリーナ君」


しばらくしてメリッサ様があたしに聞いてくる。


「・・・はい。なんとか」


「まぁ、驚くのも無理はない。騎士学生の身で勲章を賜るなんて前代未聞だからな」


「えーっと、辞退するなんてことは・・・?」


「できると思うかね?」


「で、ですよね~」


あたしもいつかは勲章を貰えるくらいの騎士になりたいと思ってはいたけどまさかこんなに早くなんて予想外もいいところだ。


流石に分不相応なので、辞退できるのならばしてしまいたかったのだが、、、


「君に勲章を与えるかどうかは王都でも議論になってね。意見は二つに割れていた。だが、そんな中、今回の異常性が顕在化したのだ。ヤムイ村の占領がなされていたとしたらどうなっていたか想像もつかない。そのことが決め手になり、ミリーナ君の勲章授与が確定したというわけだ」


「そういうことだったんですね。今回の異常性が私の勲章授与にプラスに働いたとは、、、世の中何がどう転ぶかわかりませんね。それなら、辞退なんて尚更できませんね」


「理解が早くてよろしい。そういう訳だ。近日中には王城にて式があるので連絡があるまで王都を離れないようにな」


「畏まりました」


「よろしい。ああ、あとまだピンときてないようだから付け加えると、ミリーナ君は騎士学生なので見習騎士の位置づけだが、今回の件で階級があがり二級騎士となる。つまり、あと3年の義務は不必要になったため、どこかの騎士団に入ることができる。もちろん、先日誘った通り我が近衛騎士第二部隊に来ることを望むのであれば喜んで迎え入れよう。まだ時間はあるからじっくり考えたまえ」


「そうでしたね・・・。ありがとうございます。考えてみます」


雲の上のことすぎて頭になかったが、勲章授与されたものは一階級地位があがるんだった。


騎士学生は6年間だが、それは見習騎士という階級から二級騎士という階級に上がるためのものだ。


在籍中に二級騎士に上がることがあれば、6年間の義務が無くなるのは当然のことだ。


覚えていてくださっているとは思ってもみなかったが、メリッサ様が二度もあたしを誘ってくださった。


夢の近衛騎士第二部隊に入ることも可能なのだ。



だけど、これはあたしの一存だけで決めないほうが良いと思うので一度家族も交えてじっくり考えてみようと思う。


「では、私はこれで失礼するよ。最後に何か確認しておきたいことはあるかな?」


メリッサ様が椅子から立ち上がりながらあたしにそう尋ねる。


良い機会なのであたしは気になっていたことを確認することにした。


「勲章を授かるのは私だけですか?」


当然、一番相応しいあの男の人も勲章を授かるはずだ。


そうしたら式でまた会える。


「勲章を授かるのは、ミリーナ君とヤマト二級騎士とカミヤ二級騎士の3名だ」


ヤマトさんとカミヤさんは一緒に戦った先輩騎士の名前だ。


「え?一番貢献してくださったあの男の人はどうして人数に入ってないんですか!?」


あたしは未だに名前も知らないあの男の人のことを尋ねる。


「あの方に関しては色々事情があってね。今回の勲章授与対象からは外された」


「・・・そう、なんですか」


メリッサ様からこれ以上答える気はないという意思が伝わってくる。


納得は出来ないが引き下がるしかない。


「では、また式典で会おう」


「はい。よろしくお願いいたします」


そうしてあたしは病室から出ていくメリッサ様を見送るのだった。


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