囚われるなら君がいい〜イケメンだろうがお仕置きには屈しません〜

かれは

第1話 夢を見た

夢を見ているのだろうか。


そこはとても暗い。


暗くて冷たい場所にいる私は何故か安心していた。


真っ暗で怖いはずなのに。


私は1人じゃなかった。


私の上に跨るひとつの体がそこにあった。


ゴツゴツした男らしい体。


だけど私を撫でるその手はとても繊細で女の子のようにも感じられる。


私が手を伸ばすと彼に触れることができた。


私は彼の首の後ろに手を回した。


あらい息遣いが聞こえる。


私も彼を求めていた。


彼の表情は見えない。


彼の顔すらよく覚えていないのに、私は彼を強く求めていた。


彼のおでこと私のおでこがピッタリとくっつく。


そして彼は何かを囁いた。


だけどなんて言ったのかわからなかった。


その声は少し寂しそうだった。


聞き返すことはしなかった。


すぐに彼は私の頭を後ろから支えた。


彼の顔が近づく。


だけど彼の顔には靄がかかっていて見ることができない。


何も思い出せないのに私は彼から離れることができなかった。


私の口と彼の口とがくっつくその瞬間私の夢は覚めた。





そこは室内。


ベッドの上だった。


おはよう。











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