無法な登校。
双葉アヤメは、ロリコンストーカー
――クソ、私の車が巨乳に汚染されてしまう……。
アヤメの胸の谷間にシートベルトが食い込んで、その大きさがより強調されているのだ。
車の振動に合わせ、ぷるんぷるんと揺れている。
「へえ、彼の机が裏庭に?」
思わず笑い出しそうになるのを堪え、
――そういえば、職員会議でそんな話もあったな。
先週の事なのだが、何の興味も抱かず上の空で聴いていたのである。
だが、事情は大いに変わった。
――キララにまとわりつくコバエに相応しい罰だ。
――犯人――いや、素晴らしい英雄にご褒美を与えたいところだが……。
万が一にもキララの処女を奪っていたならば、知り合いの反グレに処分させるつもりだ。
「そぉなんです。こんなに長く休んでるのも、ひょっとしたら、それが原因かもって思ってたんです」
アヤメだけでなく、クラスメイト達も同様に考えていた。
もちろん、誰ひとり心配などしていなかったが――。
――それがまさか、キララちゃんをマインドコントロールして奴隷にしてるなんて……。
頼りになりそう――と勝手に思っている
――BJの犯行現場を押さえてからにしようかな。
そう思い、アヤメは黙っている。
「なるほど、それは心配だったろうね」
後少しで学校に着く。
「で、その犯人に心当たりはあるのかい?――あ、いや私だけの秘密にするから――」
「ごめんなさい。ホントに知らないんです」
アヤメは、申し訳なさそうに首を振った。
クラスメイトに、犯人がいるとは思えない。
彼等が善人だからというより、裏庭に机を捨てるほどの悪さをする度胸を持った人間が見当たらない。
「そうか――少し私も調べてみるよ」
自分の仲間、というより手下として、オサムを追い出す計画に利用したいと考えている。
「はいッ!お願いします」
担任教師とは大違いだと思ったアヤメは、早くも尊敬の念を抱き始めていた。
「あ、ただ、そういえば先生」
「なんだい」
「あんなところで、何をしてたんですか?」
これだから巨乳は鬱陶しいんだ、と
◇
オサムの苦しそうな寝顔を一晩中見詰めていた天王寺キララは、満たされた思いでいっぱいだった。
授業中だが、頭の中はオサム一色である。
――ついに私だけのオサムになったわ……。
オサムは忘れているが、キララはずっと覚えている。
アイドル時代、自分の命を救ってくれたヒーローを――。
そして、オサムがとてつもなく強い事も知っているのだ。
以来、何度も通常のアプローチを試みたのだが、常に忘れ去られてしまう――。
資産家令嬢、トップアイドル、何より自分のルックスには絶対的な自信があった。
誰もが振り向かずにはいられないロリ美少女なのだ。
だが、オサムの記憶には残らない。
もともと異常な執着心を持っていると自覚はしていたが、彼の態度はキララをますます狂わせていった。
――でも、もうこれで終わりよ。オサムきゅん。
キララの手に堕ちた。
――私のエキスって、ホントにヤヴァイのね。
毎晩、自分の身体から滲み出る謎エキス入りの液体を飲ませ、彼の身動きを取れなくしていた。
実験の結果、エキスと例のアレを掛け合わせると、効果が倍増すると分かっている。
ゆえに、大量生産するため、水分を多量摂取していた。
――お肌の調子もいいし、一石二鳥じゃない。
もちろん、ずっと動けないのでは困る。
オサムには、アレやコレを激しくしてもらう必要があるのだ。
彼がその気になるよう、時間を掛けて自分の身体の虜にしていく予定でいた。
――うふふふふ。たっぷり時間があるのよ。キララとオサムきゅん、二人だけの時間が……。
授業などそっちのけで、キララが妖しい笑みを浮かべていると――、
「な、何だ、ありゃ?」
クラスメイトのひとりが窓の外を指差し叫んだ。
それにつられ、多数の生徒が目を向け、同じように騒ぎ始める。
「コラ、お前達。授業中に――」
そう言った教師の言葉も途中で止まった。
「――え?」
何十台もの黒塗りのSUVが、閉ざされている校門をぶち破って校庭に入って来たのだ。
サッカーをしていた生徒達が悲鳴を上げて逃げ始めているが、ゴリラのような男子生徒は轢かれてしまった。
黒塗りのSUV軍団は、轢いたゴリラなど放置して校舎の玄関前で停車した。
すぐに、先頭車両の助手席からボウズ頭の黒人が降り立つ。
何十人も殺していそうな黒人だったが、後部座席に座る男に肩を貸す
黒人の肩を借り、どうにか地面に足をつけたのが、戸塚オサムだった。
知人の手を借り登校したのである。
「その身体で大丈夫か?」
黒人が心配そうな声音で言った。
「ああ――ジョン。だって、ここには――」
オサムの決意は堅い。
「おっぱいが、いっぱいあるんだ」
だが、彼がそう語った時、
――オサムきゅんッ!!
おっぱいの全くないロリ美少女が、教室を飛び出していた。
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