第1話 高校生編

新学期が始まり私、東雲凛(しののめ りん)は高校3年生になった。


家が隣な事もあり恭平とは保育園、小学校、中学校、高校とずっと一緒だ。


なんなら生まれた日も1日しか違わない。


生まれた時から幾度の時間を一緒に過ごしてきた家族みたいなもの。


あの日までは、そう思ってた。


―――――――――


桜が舞っている。真新しい制服を着て門をくぐる。

今日は中学の入学式


『きょうちゃんおはよー!』


「・・・おはよ。」


(返事がそっけない。気のせいかな?)


「ほら二人そこ並んで~」


お母さんが言う。


「恭平、ムスッとした顔してどうした~?」


すかさず恭平のお父さんが言う。


「・・・なんでもないよ。」


(やっぱりおかしい。)


「撮るわよ~、ハイチーズ!」パシャ


校門の前で記念撮影


今日から中学生か。


不安もあるけど、すごく楽しみ。


―――――――――


新入生は各クラスに分かれる。


恭平とは同じクラスみたい。


『きょうちゃんクラス同じだね!』


「ああ。そうだな。」


・・・やっぱりそっけない。


『きょうちゃん、なにか悩み事?いつもと違うよ?』


朝から思ってた事を聞いてみる。


「名前・・・。」


『名前?』


「・・・きょうちゃんって呼び方・・・恥ずかしいからやめてほしい。」


なるほど、そういうことか。

朝からの素っ気無い態度はこれが原因か。


『ならなんて呼んだらいい?きょうくん?』


「恭平でいい。俺も凛って呼ぶから。」


大方、友達にでもからかわれたのだろう。

『りょーかい。恭平今日から同じクラスだしよろしくね~。』


「おう。」


―――――――――――


とある日の昼休み


恭平が他のクラスの男子とじゃれ合ってるのを見つけた。


「そういえば、さっくー幼馴染いんだろー?名前なんだっけ・・・ほら、さっくーと同じクラスの東雲凛!あいつ顔可愛いよなー!抱いてやるから俺に紹介しろよww」


冗談だろうけど、こういう会話はあまり好きじゃない。


「は?ふざけんな。俺の大事な家族だぞ。誰がお前みたいなクズ野郎に渡すかってんだ。」


『・・・///。』


不覚にもときめいてしまった。


そんな風に思ってくれてたのか。


初めて私に対する恭平の気持ちを知れた瞬間だった。

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