07.入学式を終えて
レンによるイケメンサプライズ(ゲリラ)を挟んでから程なくして、先程の男性教師による新入生への軽い挨拶が行われた。
森木ユウゾウ先生というらしい。
学年主任を務めているそうで、なんとも優秀そうな気配が漂っていた。
入学式の大まかな流れを説明し、新入生一同で体育館へと移動する。
ちなみに在校生は登校していない。在校生代表として生徒会の面々が出席しているのみである。
森木先生に先導された我々新入生一同は、体育館の前方に整然と並べられたパイプ椅子へと腰かけていく。
それから少しして保護者一同が続々と入場し、後方の保護者席が埋まっていく。
そして予定通りに入学式が始まった。
全体を通して良い式ではあったのだが特筆すべき点も特になかった為、部分的な見どころ以外は割愛する。
新入生代表挨拶を担当したのは、光のイケメンこと中沢レンである。
首席入学という事はとある筋から前もって聞いていた事なので俺は特に驚かなかったが、同級生の女子達はそれはもう驚いていた。
今日だけでダース単位で惚れされてるだろアイツ。ち〇こもげろ。
なんなら保護者が座ってる席もザワザワしていた位である。ち〇こもげろ。
挨拶の内容は綺麗に纏まっていた。なんならちょっとしたジョークを挟むだけの余裕すらあったので、その辺りは素直に驚いた。ち〇こもげろ。
続いて行われたのは、生徒会長による在校生代表挨拶である。
そこで再び騒めきが広がった。
何故なら、登壇したのがレンに引けを取らないレベルのイケメンであったからだ。
実を言うと、俺はこのイケメンの事も、存在だけは知っていた。とはいえ別に面識はない。
というのも。
現在生徒会長の前にスピーチ原稿とマイクをセッティングしているめちゃかわな人物……生徒会副会長である安城アマネこと、俺の姉から入学式の流れについて前日に色々と聞かされていたが故である。
ちなみに、レンが学年首席で、俺が惜しくも副首席であった事をこっそり教えてくれたのは他でもない姉である。
レンが光のイケメンだとすれば、生徒会長は闇のイケメンとでも言おうか。
いや、闇というより、病み、というべきか。
姉曰く、メンヘラ好きな女子にウケがいいらしい。
イメージとしてはV系バンドのボーカリストが近いだろうか。まぁ、とにかくそういったダウナーな感じの空気を纏っていた。
まぁ、興味はないのでその辺りは割とどうでもいい。姉も興味がないと言っていた。
昔からレン一筋なのは知っているので、まぁそうだろうなと思った。
言ったら蹴られるので黙っていたが。
生徒会長は堂々と在校生代表の言葉を終える。場慣れしているのだろう。
普通にこれからの三年間を頑張ろうと思える良いスピーチだった。
俺の隣の女の子は「この学校に入って良かった……本当に……」と涙を拭っていた。
受験勉強頑張って良かったね。
ちなみに、俺はというと二人の代表挨拶に耳を傾けながら、心の隅っこでずっとち〇こもげろと念じていた。
思想の自由が憲法で保障されている国に生まれて良かった。
かくして、イケメン二人がメインと化した入学式は無事に終わりを迎えた訳である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます