掌中の宇宙
門田秋
かげぼうし
夕方の公園でブランコを漕ぐ。
帰りたくないなあ、と呟くと、長く伸びた影がにゅるりと地面から這い出てきた。
じゃあ、代わりに帰るね。そう言って、影は帰路に着いた。
夕焼けに照らされた電車の中では同じような影たちがひしめき合い、その本体は街のどこかで夜に沈んでいく。
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