j

「どういうことだ!!カイセル!!!」


今までにやついていた、弟領主がキレ出した。


「あまり騒ぐなよ。今は俺の機嫌をとっといたほうがいいぞ。」


カイセルのにやつきが最高潮になる。


「どういうことだ?」


弟領主がカイセルに凄む。


「お前らの屋敷のある街、両方に魔物を忍ばせている。分かるな?」


テイマーのカイセルらしい作戦だな。


「「なっ!?」


二人の領主は同じように驚く。こいつら仲良いな。


「だからな、さっさと宝剣と金を準備しろ。とりあえず30分まで待ってやるよ。」


これは面白くなった。漁夫の利を狙いたくなってきた。


「ジャンヌは俺についてきてくれ。スノウとアリシアはここで待機だ。」


「あれをやるってことでいいの?」


「それでいい。ぐちゃぐちゃにすれば問題ない。」



俺とジャンヌで森周辺にいる魔物達をとにかく集める。矢の先に魔物によく効く興奮剤を塗って、殺さずに掠める。

俺とジャンヌが矢を射った中には、オークリーダーもワイバーンもいたが、お構いない。

とにかく魔物を集めて、挑発させた。

その魔物達を未だに、言い合いをしている奴らにぶつける。魔物が好きな匂い袋を大声でおしゃべりしてる奴らの方向へ投げる。


慌ててる。慌ててる。バカどもめ。


「よし、みんな宝剣を盗みに行くぞ。」


アンセムの街の屋敷には護衛はいない。こんな盗みやすい場所はない。

2年前の慰謝料だ。利子をつけて返してもらおう。


「アリシア、宝剣がどこにあるか分かるか?」


「執務室だと思いますよ。お酒に酔った父が恨みがましくそう言ってましたから。」


「そこに行くか。」


途中、執事とメイドがいたので、軽く1発殴って、執務室の場所を聞き出す。

執務室と思われる重厚な扉のある部屋に入ると、中には1本の剣が飾られていた。かなり、装飾過多な鞘だが、剣を抜いて確かめると、剣の素材はオリハルコンと思われるもので出来ていた。


「すごいな。これ多分本物のオリハルコンだぞ。一度だけ見たことあるし。」


俺たちの武器はミスリルという希少で高価な金属に属性が付与されている。

ミスリルは魔力伝導率が高いため、武器に防具にかなりの需要がある。

全部、大金払って揃えさせたんだが。

そんなミスリルよりも希少で魔力伝導率の高い金属。オリハルコン。そもそも市場に出回らない。

鍛冶屋のジジイに少量だが本物を見せてもらったことがある。これはそれなのだ。


「まさに宝剣だな。よし、お前らこれ持って、さっさと帰るぞ。」


屋敷から、とんずらして帰り道にカイセル達はどうなっているのか気になって見てみると。

カイセルの仲間達とテイムした魔物達VS二つの領主の騎士達の構図になっていた。


「宝剣の手間賃に領主達に味方しとくか。」


俺とジャンヌでありったけの矢を使って、カイセル達を狙撃して殺していく。

少しずつ領主達が優勢になり、1時間もすれば残るはカイセルとドラゴンのコンビのみなっていた。


「またか!!弓野郎!!!」


カイセルがキレてるが、どうでもいい。時間と共にカイセルはどんどん不利になる。ドラゴンに乗って空に逃げようとするが、毎回、弓で邪魔をする。


「勝負ついたな。ジャンヌ最後は任せた。お前の方が弓は強いし。」


「分かってるわよ。」


とうとうカイセルのドラゴンが殺され、残りはカイセルのみになる。

一人の騎士が斬りかかるが、カイセルに剣は届かずに逆に騎士の頭が弾け飛ぶ。


「やっぱり、切り札を持ってたか。姿を隠せるタイプの魔物か。厄介だな。」


しかし、多勢に無勢カイセルは逃げ出すが、テイマーの能力値はレベルが高くても高くないため、騎士に追いつかれは反撃を繰り返し、消耗していく。

ついには、姿の見えない魔物も討伐されて、カイセルのみになる。


「ジャンヌ。」


ジャンヌは最大出力でカイセルの頭を撃ち抜いた。


「あいつ、上級職ってのはやっぱり嘘だったのか。ドラゴンいたし信じちゃったな。よし、これで決着だな。帰るぞみんな。」


それから、数日かけて弟領主の街に戻ってきた。

ところ、どころ崩壊していたが、被害は浅い。どうやらオークの集団が街に侵攻してきたらしいが、冒険者達が撃退したらしい。


「被害が浅くてよかった。凄腕のテイマーと言っても距離がありすぎると、弱い魔物しかテイムできない。調べた通りだな。」


それから、更に数日かけて、海の家に戻った。


「さて、宝剣の性能でも確かめるか。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る