大猿討伐
翌朝
「なんか腹たつわ。子供のあんたに弄ばれるなんて。」
「しょうがないですよ。経験の差ですよ。」
「それが腹たつのよ。子供のくせに。次は勝つわ。」
「勝てればいいですよ。」
ジャンヌの緊張も晴れたところで、今日は絶好の大猿討伐のための雨だ。
「さて、まずはお猿を探しましょう。すぐ見つかると思いますが。」
「そうね。白猿を探せば大猿が勝手に見つかるから。」
3時間ほど森を散策して、簡単に見つけられた。白猿の気配隠蔽ぐらい軽く見破れるぐらいには強くなってるし。
巨大白猿が1匹、白猿が30匹ほどだ。
「それじゃあ、作戦を開始しよう。いつも通りに勝てるさ。」
「そうね。」
スノウは力強く頷いた。
作戦は簡単だ。白猿も巨大な白猿も特徴はすばしっこさ。森の中ではこいつらは持ち前の機敏さでとても厄介になる。草原なら弱いが。
だから、その機敏さを奪う。
雨の日にこいつらに氷魔法をかけて、動きを鈍らせる。それだけだ。森の魔物は基本、弱い火魔法しか使えないので、対策はしづらい。
熱を奪われた動物は当たり前のように鈍くなる。
「まずは、ジャンヌと俺の二人で氷魔法が付与された矢を、巨大白猿に打ち込む。次に、白猿達にスノウが氷魔法で全体に攻撃してくれ。それからは、いつも通りだ。」
氷魔法を増強してくれる杖をスノウに渡してる。今日のスノウは魔法特化だ。
氷魔法が付与されてる矢に物質強化をして、巨大白猿に打ち込む。
「ウギッッ!?」
次に、スノウが白猿全体に氷魔法を打ち込む。
隠れて、別の方向に回って、同じ攻撃を繰り返す。
雨の日に俺達が良くする。ヒットアンドアウェイ作戦だ。
雨の日は、魔物達の鼻が効かなくなり、耳も聞きにくくなる。
汎用性のある作戦だ。
近寄ってきた、白猿は俺が毒矢で殺していき、ジャンヌに巨大白猿を任せる。
この繰り返しだ。
これを7回繰り返すと、生き残りが巨大白猿一匹になった。
白猿なんて、機敏さを封じ込めたらこんなもんなんだ。こいつらは弱い。
巨大白猿は体力があるのか、暴れ回っている。
「スノウ。魔力回復ポーションを飲んで、巨大白猿に攻撃を集中。俺とジャンヌは毒矢に変更だ。」
同様に、ヒットアンドアウェイを繰り返した。
10回も繰り返したら、大猿は沈黙した。
念のため、後5回は矢を打ち込んどいた。
「死んだな。」
「そうね。なんで両親はこんな奴に負けたのかしら?」
「簡単でしょ。」
「そうね。簡単だわ。」
中級職のジャンヌの両親が勝てなかった理由は簡単だ。
狩人仲間が裏切ったから。
レベルアップ目的か私怨かお金目的か知らないけど。全部かもな。
ジャンヌに渡された両親の装備は母親が使っていた予備の弓一つだけ。
安価ではないが高価でもない。そんな弓。それ以外は紛失したらしい。
それに、本来はジャンヌの両親はジャンヌのためにお金を用意してたらしいが、ジャンヌは銀貨13枚と言ってたがもっとあったのかもしれない。
せめてもの選別みたいなものだったのだろう。
「やりましょう。」
「そうね。皆殺しだわ。」
この村の狩人達は、ジャンヌが帰ってきたことを知ってる。
俺たち3人で、
大猿の首を村に持っていくと、狩人達が祝ってくれた。
祝いの席でジャンヌは当時の話を聞いた。
当時の話によると、村にいる狩人5人の内3人が狩りに参加していたらしい。
その3人のうち1人を襲い、拉致したところ面白い話を聞けた。
村の狩人5人全員がジャンヌの両親の武器と金目当てに作戦に参加していたらしい。
村一番の狩人だった、ジャンヌの両親を殺す作戦を。
村に残った狩人2人でジャンヌにバレないように、ジャンヌを人質にしていたらしい。
俺は狩人皆殺しでいいんじゃないかと思ったが、ここで問題が出てきた。
こいつら狩人全員に子供がいることだ。
これにジャンヌは過去の自分を重ねてしまい、狩人を殺すことはやめた。
それから、拉致した狩人を使って、他の狩人達を一人一人さらっていった。
とりあえずジャンヌの両親の装備を返してもらい、有金全部奪っっといた。
ついでにボコボコにして、片腕とちんこと金玉を切っといた。
5人は村に捨てて、前までいた街に近いすこい森の深いところである拠点に戻った。
帰る前、俺の両親の家にゴブリンの死体を投げつけといた。
「これでよかったのよ。この選択をした私をパパもママも褒めてくれるわよ。」
「そうですか。それでいいならいいんですよ。」
「やっとお墓を作ってあげられるわ。」
ジャンヌは泣いてた。アホみたいに泣いてた。俺はただジャンヌのそばにいた。
スノウもなぜか泣いていた。膝に座らせといた。
ーーーーーーステータス
名前 ジン
職業 なし
レベル 55
スキル 魔力操作3 魔力感知3 魔力回復3 火魔法2 風魔法3 水魔法3
土魔法 1 回復魔法2 補助魔法1
身体強化3 物質強化2
体力回復3 弓術3 剣術2
状態異常3
気配察知3 気配隠蔽3
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