奴隷ぃ〜

買った奴隷は、まずはお風呂で洗い汚れを取り、キノコのスープでも食わせといた。

パクパク食って、寝た。すぐ寝た。


「疲れてたんでしょうね。」


「そうですね。」


「ベッド取られたわね。」


「床で大丈夫でしょ。毛皮のマットを敷いてるし。この家土禁ですし。」


「それもそうね。といううかもう少し大きい布団を作って3人で寝ればいいじゃない。」


「明日からそうします。」



翌朝


この奴隷と意思疎通をした結果、こいつは声を出せないらしい。喉を潰されたらしい。

他は健康だと思う。極度の栄養失調以外は。


「横になったままでいいよ。今ご飯作ってるし。」


布団から体を起こせずに、小さく頷いた。

こいつでも食えそうな軽い朝食にしといた。スプーンをこいつの口に運んで食べさせてやった。


「ジン。本当にこの子を買ってよかったの?」


「なんですかその質問は。」


俺がジャンヌに少し睨むと。


「なんでもないわよ。」


そう言って、俺が作った朝食を食ってた。

こいつはいつになったら、ご飯を手伝ってくれるようになるんだろう。


「とりあえず、今日からスノウの体全体に、特に喉に回復魔法をかけていきましょうか。」


「スノウ?」


「この子の名前です。とりあえず喋れるようになれるまではスノウですよ。

髪の毛は白いですし、肌も白いですし。」


「そうね。体質なんでしょうね。それと、この子ジンと同い年くらいでしょう?。」


「そうでしょうね。多分5、6歳だと思います。スノウには料理は手伝ってもらいますからね。掃除も装備の調整も。」


「何よその言い方は、私もたまには手伝うわよ。」


「たまにはそうですね。たまには。」


それから、1月ほどかけて、スノウのリハビリは終わった。

スノウは見た目通り、氷魔法が得意らしい。

前衛ができるように訓練させとこ。後、家事もさせまくろう。


「今更だけど名前ってスノウでいい?」


〜はい。私には、もう名前はありませんから。〜


スノウとは筆談で話をする。よかった日本語が異世界の言語で。

スノウは器用にも空中に氷魔法を使い、氷を使って文字を書く。


「スノウは今何歳?」


〜5歳です〜


「僕と同じだね。僕はレベルが高いから君よりは大きいけどね。スノウにはこれから強くなってもらうけど、頑張ってね。」


〜分かりました。ご主人様のために〜


1月もこいつのリハビリに付き合った甲斐があった。スノウは俺に無茶苦茶懐いている。


「剣と盾のどっちがいい?」


〜剣で。そっちの方が慣れていますから〜


「じゃあ、短剣だね。体の大きさ的に。」


この日から、スノウとジャンヌと3人で訓練をした。スノウのレベル上げのために、狩りには毎回ついてこさせた。

かなり無理させたと思う。夜、寝る時、回復魔法を俺とジャンヌでかけながら、

頭を撫でてやった。


「この子は氷魔法の才能はあるわよ。多分剣の才能も。」


「でしょうね。僕の勘は正しかったでしょう。」


「そうね。さすがジンだわ。」


「これからは、もう一人妹ができたと思ってくださいね。」


「分かってるわよ。」


訓練、相手が一人増えて良かった。家事の時間も減ったし、睡眠時間も訓練時間も地味に増えたし。


「そういえば、盗賊討伐が中途半端に成功したらしいですよ。」


「中途半端に?」


「盗賊のいくつかのグループに逃げられて、そいつらにお宝を持ち逃げられて、冒険者たちが血眼になって探してましたよ。」


「そういえば、殺気だったわね。冒険者の中に裏切り者がいるって話になるんじゃないの?」


「騎士団はそう思っているらしいですね。冒険者ギルド長が領主に頭下げに行ったらしいですね。めんどくさい事件にならなかったらいいですけど。」


「そうね。巻き込まれて死ぬのは割りに合わないわね。」


「冒険者と盗賊の違いはほとんどないですから、当たり前っちゃ当たり前なんですけどね。今回の掃討作戦だって、騎士団には冒険者の監視も任務に入ってたんでしょうね。」


「それはそうだわ。じゃあ、犯人はもう分かってるってこと?」


「いや、分かってないでしょ。狡猾な犯人なんでしょうね。この街の冒険者ギルド長が犯人かもしれませんね。」


「それは、ざまあみろって感じだわ。」


「まあ、でも今は何も分かりませんしね。」


何組かの冒険者が裏切り者が俺たちと思ったらしく、家を襲撃してきたが、

全員罠で返り討ちにしといた。

経験値も金も貰えたし、良かった。


結局、この街の冒険者ギルド長が犯人だった。だろうな。


「今日は、雨が降りそうですし、ハチミツでも取りに行きましょうか。」


「そうね。久しぶりに食べたいわ。」


蜂型の小型の魔物がいる。こいつらは美味しい蜂蜜を作ってくれる。

こいつらは、雨の日は外に出ずにおとなしくしている。

だから、外から巣の入り口と巣の全体を凍らせて、ほっとくと、勝手に中の蜂どもがアホみたいに死んで、レベルも上がるし、ハチミツも手に入る。

森で住んでる俺たちにとって、蜂の巣はいくつも知ってるので、何件も回っとく。


「これは最も効率のいいレベル上げだ。覚えとけよスノウ。」


〜分かりました。ご主人様〜


「スノウ。俺のことはお兄様と呼んで。」


〜分かりました。お兄様〜


「いいね〜。しっくりくる。いつか喉が治ったら、お兄ちゃんと呼ばせような。」


1週間凍った蜂の巣を放置させて、中の蜂どもを皆殺しにさせたのち、

蜂蜜を回収した。


「これは、無茶苦茶美味しいんだ。俺が今日作ったパンに蜂蜜かけて食っていいぞ。」


〜分かりました。お兄様〜


スノウは小さい口でいそいそとパンを蜂蜜をかけて食っていた。


「美味しいか?」


スノウはコクコクと頷いた。


「それは良かった。ジャンヌお姉ちゃんがアホみたいに食うから、食べれるうちに食べた方がいいよ。僕はこの蜂蜜でお酒を作るからいらないけど。」


「あんたもお酒好きね。あんなのの何がいいんだか。」


「子供のジャンヌお姉ちゃんには分かりませんよ。」


「そういうことにしとくわ。程々にしなさいよ。」


「ジャンヌお姉ちゃんもちゃんと歯を磨いてから寝てくださいね。」


「分かってるわよ。」


三人でご飯を食べ、三人で風呂に入り、三人で同じ布団で寝た。

スノウの喉に回復魔法をみんな出かけながら寝た。


それにしても、氷魔法と雨の日は相性がいいな。格上相手でも勝てるかもしれない。

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