参ノ話

閑話

 海鳥の泣き声で目を覚ました彼はまず心臓の鼓動に安堵する。生きている。それだけで価値があった。


「よし、動く動く。なら問題ねぇ」


 潮風に晒され、脆くなった縄がブチブチと切り裂かれる。『強奪』は発動出来ないが、生命体が見つかれば話は別だ。たちまちに意識を奪い、己が手足としよう。


「おっと?なんだコイツは?」


 浜の砂漠で激しく自己主張する金の粒をロロネーは拾い上げた。それが点々と、浜から巨大な遺跡に向けて続いている。一つ拾い、また一つ拾い……、徐々に彼は古い遺跡へと近づいていった。

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