第25話:遊園地へ行こう!④

寝そべり式のコースターでシメを楽しんだ真白を連れて戻ると、藍那が連絡取っていた。


「みんな~おまたせ~♪」


「おま……たせ……」


真白はツヤツヤしているが俺はヘロヘロだ。


「おおぅ……翔、大丈夫?」


「しょー大丈夫ぅ~?」


「あーうん……大丈夫、想定外の形のコースターだったから……少しすれば治るよ……」


「でも凄いよ、あの真白のコースター地獄についてったんだもん!」


「そ~だねぇ~」


「えー!? コースター地獄は酷いよ~」


二人に感心されていると、藍那が戻って来た。


「皆さん~鳴海が、パレードが良く見える場所を取っていてくれてるようです~いきましょ~」


「それは有難い」


「だね」


「そ~だねぇ~」


「なんか悪いですね……」


「気にしないで下さい~」


藍那に誘導されて進んでいく、パレード直前なので人がかなり増えていた。


「人が多いな……皆大丈夫か?」


そう聞くが反応が無い。


(はぐれちゃったかなこれは・・・)


「————しょ~――」


声が聞こえたとこに手を伸ばすと右手に誰かが触れて来たので、引き寄せると蕾だった。


「うへぇ~助かったぁ~」


「他の皆は?」


「わからないよぉ~」


「そうか、とりあえずこの近くだろうし進もうか……」


「わかったぁ~」


少し進むと今度は檸檬と合流した。


「助かったぁ……皆消えちゃうし……」


「そうか、たすけられたのなら良かった」


「ありがとうね、翔♪」


「確かお城の前って言ってたよな……」


そうして進みお城が近くになったタイミングで、真白と合流できた。


「よかったーみんないだぁー!」


半泣きで真白が抱き付いてくる。


「良かった、これで目的地に着けばOKだ……」


はぐれない様に左手に真白、右手に檸檬、腰に蕾という異様な光景で進んでいく。


「あ、翔あそこ」


檸檬が指差す先に藍那と鳴海さんが、心配そうな表情でこちらを探していた。


「翔! 良かった。鳴海、見つけたぞ」


「良かったです、皆様こちらへ」


二人に案内され鳴海さんが取っていたスペースへ潜り込むと、丁度いいタイミングで音楽が流れ始めた。


――――♪♬♫♩♬♫♩♪——


そこからは圧巻の一言だった。


やっぱし昔見たのは違うなぁ……昔からある程度は幻想的だけど今回は見る場所も相まって凄く良く見える。


「ありがとうな藍那」


身長の関係で横に居る藍那に耳打ちする。


「どうした急に?」


「いや、パレードってこんなに綺麗だったんだな」


「私は、初めて見たから分からないが凄く幻想的で良いと思うぞ」


「それは良かった、鳴海さんに感謝だね」


「そうだな」


「そういえば、元の藍那は?」


「人混みがきつ過ぎて、ダウンしているよ」


「そうか……もったいないね」


「まぁ、たまにはいいと思うけどな……(ボソッ」


「ん? 何か言った?」


「いや、皆と……友達と見るのは良いものだなと思ってね」


そう言うと、柔らかく微笑む藍那。


「そっか、なら誘った甲斐があるよ」


◇◆◇◆◇◆◇◆

それからは、早めにドリファンを離脱して藍那家所有の車によって近場のレストランへ向かっていた。


「今日は~お父様が皆様の為に御夕食を用意させていただきました~」


そうパレードが終わった直後に言われたのは驚いた。


そして俺は忘れていた……。


「なぁ、藍那……俺の知ってるレストランじゃない……」


「そうですか~?」


「そうだよ……だって……」


連れて来られた場所を見回して口を開く。


「高層マンション最上階のゲストハウスを貸し切りで、専属シェフが居るなんて、聞いて無いよ!?」


「???」


せめて、ちょっといいとこのレストランかと思ったら。予想のハードルを優に超えてきた。


その証拠に俺と藍那以外の三名は放心してる。


「「「………………」」」


「来てしまったものはしょうがないです、食べましょう♪」


上機嫌な藍那が目の前に用意されたスープを飲む。


「はっ!? 私夢を見てたよ、まさかレストランと言われたのが一軒家で専属シェフなんて……」


「真白……現実だよ……」


「だよねぇ……」


苦笑いしつつ、スープに手を付ける真白。


「ほら檸檬も、蕾も早く食べないと冷めるぞ~」


「はっ!? お箸ってどっちで持つんだっけ!?」


「俺は檸檬のお箸持つ手は知らないけど、少なくともスープにはお箸使わないでしょ」


「そうだった!?」


驚く檸檬。まぁ、高校生でこんな形式の場所へレストランとして連れて来られるなんて想像できないからね、混乱するのはわかる。


「蕾大丈夫か?」


「ぴゃい!?」


流石にお偉いさんとご飯を食べに行ったりしてるだろうから大丈夫かなと思ったんだけど……駄目っぽい。


「皆さん、緊張しないで大丈夫ですわ~プレイベートな空間ですのでマナーなども気にしないで下さいませ」


「藍那、流石にそれは無理だと思う……」


「翔さんは……平然とされてますね?」


「昔、父さんと食事に何度かこういった場所で食べたことあるからね……」


そう言うと真白達は目を輝かせている。


「そうだったのですね~いいお父様ですわね~」


「えぇ……有難いです」


(今世でも父さん達について行ってたりしたのもあるけど。まぁ前世で、何度かこういった飯を食べてたのもあるからね……)


昔の俺と父さんに感謝しつつ何とか恰好はつけれている様で良かった。


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