第364話 明後日は僕の誕生日です!
執務室で絶賛仕事中の僕、
そこへやってきたリア先生からお話の最中である。
「昨日しそこねたスケジュールの再確認だ、
細かい話もあるので憶えるかメモでもしてくれ」
「あっはい、じゃあ、なんとなくは」
そのあたり、近くにあった適当な紙を持って来る。
「ミストのお誕生会にあたり今日明日あたりから友人が集まる」
「誰のですか?」「ミストのだ!」「何人くらい」「百人は超す」
……その場で固まる僕。
「あの、その、学院の友達と幼馴染を合せても、五人しか」
「他にも居るだろう、思い出してみろ」
「ええっと、あっ! 僕、Cクラス扱いになったんだった」
そのクラスメイトか、卒業後の方がまれによく会う。
ひとりひとり思い出せなくもない程度には今も関係が……
うん、後でちゃんと思い出そう。
「他にも世話になった先輩とか居ただろう」
「んー……あ、肉塊オブザデッド様!」
「随分と上の先輩だな、あと大切な先輩を殺すな」「てへ」
何気に誕生日プレゼントが楽しみだ。
「そのあたりは私が側について思い出させる、
おそらくミストがまるっきり覚えていない者も含めてな」
「じゃあ学友中心で」「そうなるな」
ならばあと後輩もかぁ、
でも僕が憶えている後輩って当時だと誰も……
卒業してからのGクラスのみんなは是非、来て欲しいけれど。
「それと観光を兼ね、結婚式まで滞在する貴族もちらほら来る」
「あっ、わかりました、これがあれば」
公爵一覧の小冊子を取り出す、
これもすっかり手垢が付いたけど、
どこまで覚えきれているか、そこまで自信は無い。
(国王陛下のフルネームですら怪しいからなぁ)
「気を付けて欲しいのは挨拶ついでに何かしらの約束を取り付けようとしてくる連中だ」
「あっ、思い出しますね、変な商人とか宗教関係が押し掛けてた時期を」
「だが今回の相手は今のミストと同じ侯爵だったり公爵だったり上位の辺境伯だったりだ」
ひょっとして、全てを僕ひとりで考えて裁けって事か?!
「……基本的には全て断れば良いのですね?」
「そうだがミストの事だ、巨乳専門娼館とか提案されたら断れないだろう」「ぎくっ」
うん、断れる自信が無い。
「そのあたりはボリネー先輩がミストと詰めると言っていたぞ」
「ええっと、それを理由に断れば良いのですね」
「そうだ、ミストシティ、フォレチトンの商売系は全てボリネー先輩の権利だ」
うまいこと転がり込みやがってあの肉のネバーランド先輩!
いやはや僕もすっかり心を奪われてるからね、ほんっと、豪商人だ。
(あの見た目で絶対誤解されるはずなのに、それを逆手に取って上手い事やってるよね、あの肉塊)
このあたりは見習いたいところだ、
僕なんか特に『だめ貴族と見せかけて実は……』みたいな、
いや、だめ貴族の正体はダメ貴族なんだけど、って駄目じゃん!!!
「何か目が泳いでいるようだが」
「あっはい、ちょっと自分の、貴族として成功している姿があまり定まらなくって」
「何を言っている、すでに成功しているではないか」
と言われましても、である。
「リア先生の言いたい事はわかりました、友人であっても、顔見知り貴族であっても油断するなと」
「さすがに警戒すべき貴族が来る時は私だけでなくソフィーかベルルか両方も一緒に迎える」
「あっ、来てくれるんですか」「当然だ、正妻と側室だろう」
とはいえここんところ放置されている、
いや忙しいのはわかっていますからっ!
あと僕にひとりの時間を、独身期間を満喫させてくれているのも!!
「今日明日は来客を、来賓を捌くのが仕事になるんですね」
「そうだ、スペシャルウィーク期間に来る者も多い、あと確認だが」
「はいはいなんでしょ」
少し表情が暗くなるリア先生。
「出禁リストだ、潜り込んで来ないよう注意はする」
「はい、ええっと……こんなに」
「招待状は出してないのに、招待者ヅラで参加したがる連中だ」
一番上がリア先生の両親っていう。
後は大教会聖教会でソフィーさんベルルちゃんと敵対している連中かな?
サリーさんの実家とか入っているのかな、でもあそこって第四公爵家だしなあ。
「前もって言ってはあるが、他の公爵家やミストの自称友人と共に潜り込んでくる可能性がある」
「やっかいですね」
「いざとなったら『不敬』を使え」「ええ殺しは」「追い出すだけだ」
良かった、不敬イコール死罪っていうイメージが僕の中では強い。
「それで誕生日から結婚式までの確認だが……おい、その紙、本当に大丈夫か」
「えっ、メモが何か」
「透けて見えるが確認してみろ」
表を見ると結構大切な書類だった
だめ貴族だもの。 ミスト
「あっぶな! ありがとうございますリア先生」
「まったくもう……サリーを後で呼んできてやる」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
本当にこんなので公爵が勤まるのかしら? トホホ。
~今後の予定~
・今日明日は来客の対応と雑務
・明後日はミストポークレット十六歳のお誕生日会(結婚式6日前)
・コロシアムで春期闘技大会(結婚式5日前)
・コロシアムで年度末オークレース(結婚式4日前)
・合同教会で僕以外の結婚式(結婚式3日前)
・コロシアムで僕に秘密の何か(結婚式2日前)
・コロシアムで大規模演習、リア先生除隊式(結婚式1日前)
そして……運命の結婚式であーる。
「では私は、さくっと処刑してくる」
「はっ、はいいぃぃぃ、お願いしますぅ」
あいかわらず観に行く勇気は無い。
忙しいからねっっ!!
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