第317話 クノイチの覚悟、アサシンの決意

「勝者、エンディス!!」


 うん、なかなかセミファイナルらしい、

 白熱した良い試合を見せてはくれたけれど、

 エンディスさんのあの自動追尾みたいな剣は卑怯すぎる。


(あっ、勝ったのに剣の先をこっちに向けている、リア先生にか)


 そして仕舞うと倒れたダラスの腕を取って起こしてあげている、

 このあたりは紳士的だが負けたダラスさんは悔しそうに払いのけた、

 うん、装備の差で負けたようなものだから、さぞかし納得いかないだろう。


「リア先生、あれと闘う事になれば」

「負けはせぬさ、いくら剣が優れていても持つ者が強くなければな」

「十分強いように見えますが、あ、こっちに歩いてきた!」


 あえて僕らの真下の出入り口から退場するみたいで、

 ずーっとリア先生を睨みながら近づいて、そしてコケて入っていった、

 最後まではしまらなかったねえ、でもまあ来月の予告としては上出来かな。


(あ、審判ドワーフさんが退場していく)


 いよいよ最後だ、観客は半分は埋まったかな?

 まあぎりぎり半分と言えなくもない、うん、見た感じ5割の入り、

 そう言い張ってもおかしくはないという事にしてしまおう、なんとか面目は立った。


「サリーさんのおかげで半分は埋まりました、ありがとう」

「い、いえぇぇ、これくらいは……半分?」「半分です!!」


 その言葉が聞こえたのかどうかチヨマル王子がひとこと


「なんだ、半分も入っておらぬではないか!!」


 いや、あんたの国のために急遽開いたんだから!

 思わず後ろから頭を叩いてやろうかと思ったが子供相手なので止めた。


「それでは皆様、お待たせいたしました! 本日の第九試合、最終戦、メインイベントを行います!!」


 会場は盛り上がる盛り上がる!

 まず最初に出てきたのは、ってソフィーさんとベルルちゃん?!

 動きやすい白い服、あれは戦闘用というより審判服のようだ。


「まずこの試合の審判は主審ソフィー様、副審ベルル様で行います!!」


 教会服の観客が一斉に歓声を上げる!

 僕も思わず『おおおーーー』となってしまった。


「それではまずは完全アウェイで挑みます、遠く遠く東の海の先、

 神秘の国ジッポンからいらっしゃったクノイチ、アサミ様、ムラサメ様の入場です!!」


 僕らの真下から出てきたクノイチふたり、

 黒い網みたいなので全身を身に包んでセクシーだ、

 その姿を見てチヨマル様が身を乗り出して声援を送る!


「アサミー! ムラサメー! 勝つのじゃー! 完全に勝つのじゃーー!!」


 その姿を見て右のクノイチが膝から崩れ落ちた、

 左のクノイチは涙が溢れて止まらない感じでいる、

 しばらくチヨマルを見たあと覚悟を決めたのか二人揃って深く頭を下げた。


「絶対に勝つのじゃー! 負けはゆるさーーーん!!」


 たったひとりの応援団長だからね、

 客席から落ちそうなのをエスタさんベルベットちゃんが抑えてくれている、

 中央のステージへ行っても声援を送り続ける王子、うーん、そろそろうるさい。


「続きましてミスト=ポークレット侯爵自慢のメイド、キリィ様、モリィ様の入場です!」


 アサシンメイドが右サイドのゲートから入ってきた、

 どう紹介するかと思ったら僕のメイドで通すのか、

 まあ元暗部のアサシンって表だって言って良い事じゃないからね、多分。


(ステージの前で僕らに一礼した、綺麗な礼だ)


 でも絶対に勝つぞという決意を感じる、気がした。


「さあ、そしてここで! メイン中央バルコニーをご覧ください、

 このワンマッチのためだけに、アルドライド国王陛下が観覧にいらっしゃいました!!」


 ええっ、と振り返って上を見ると、

 せり出したバルコニーに国王陛下と宰相さんと宰相代理が!

 うんこれは本物だ、忙しい中、このためだけに来てくれたのか。


(見てないだろうけど深々と頭を下げておこう)


 ステージで六人が並んで頭を下げる、

 クノイチふたりの礼は本当に綺麗だなぁ、

 キリィさんモリィさんも負けてないけれども!


「なんだ、あれがこの国の王か!」


 チヨマル様、しーっ、しーーーっ!!

 

「それでは試合開始ですっ!!」


 対峙するクノイチふたりとアサシンふたり、

 キリィさんモリィさんは手ごろな短剣を手にしている、

 これから暗殺しますよっていう感じの持ち方だ、多分そんな感じ。


(一方、クノイチの武器はなんだあれは)


 片方は先に重りがついた鎖、うん、細いのにすごく頑丈そうだ、

 もう片方は本で読んだ事ある、あれ『手裏剣』とかいう十字の投げ武器だ!

 今更だけど、どっちがアサミでムラサメなんだろう?


「アサミー! 鎖で縛ってしまえー! ムラサメも得意の手裏剣で倒すのじゃー!」


 あ、王子、解説ありがとうございます。


(さあさあ、たったいまから、クノイチの覚悟とアサシンの決意が……ぶつかる!)


「……はじめっ!!」


 ソフィーさんの声が響いた瞬間、

 クノイチふたりの姿が……消えた?!


(え、え、えええええ?!)


 次の瞬間、僕はステージ上を見て我が目を疑った!

  だめ貴族の見た光景とは?! ミスト。


「そこまでっ!」「そこまでですわっっ!!」


 ソフィーさんベルルちゃんが意せず揃えた声、

 その結果は……!!!

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