第277話 そして知らされる恐ろしい真実
「ふう、これでとりあえず落ち着いたかな」
新年三日目が終わった夜、
寝るために僕のベッドへ集まったソフィーさんとベルルちゃん。
「色々と片付いたと同時に目途も立ちました」
「そして三か月後にはいよいよ結婚式ですわ」
ついにとうとう、来るべき日が間近に迫ってきた。
「うーん、学院を卒業してから、本当に色々あったよね」
まずはポークレット家を虐げ続けていた叔父や全て知っていた爺ちゃん、
その悪事が判明してみんな処刑されていった、もはや憎き従兄とか従妹とか懐かしい。
「ミストくんとフォレチトンで幸せに暮らすためです」
「するべき当然の事をしたまでですわ、ミスト様のためですわ」
「うん、でもアルドライド最東部エリアの貴族って、そのせいで父さんだけになったんだよね」
それで僕が慌てて準男爵になったと同時にだっけ、
十二英雄、十二英傑のひとり武神ガブリエルさんが来て辺境伯になってくれたの。
「ミストくんだって立派な貴族よ」
「辺境伯、そして侯爵にまで九か月で来られましたわ」
「学院卒業時には、夢にも思っていなかったよ」
そもそも学院の卒業だって最底辺Gクラスをお情けで、だった。
だから準男爵を継ぎ、いつかは夢の男爵になれるかも、くらいは希望を持っていたが、
まさか学院の再テストを受けて辺境伯を目指す事になるとは。
(リア先生、アメリア先生のおかげだよなぁ)
「爵位を上げるためとはいえ、リア先生や女勇者アメリア先生に勉強や剣術を教えて貰えたのは嬉しかったです」
「本当は学院で一緒の三年間で私が教えてあげたかったんだけれども、ごめんね」
「わたくしは学院で一緒になる一年より、ミスト様に嫁いでからの百年の方が大切ですわ」
……そういえばよくよく考えてみたら、
卒業式直後の告白イベントまで、このふたりとの接点はまるっきりなかった、
だからいつ、どうやって僕の事を好きになったのか、不思議でしょうがない。
(ソフィーさんは一年の早い段階で目をつけていたって言ってた気がする)
まあその最大の謎は置いといて。
「冒険者としても活躍したんだよなぁ……僕は何もしていないけど!」
「んもう、ミストくんが中心に居るからこそのポークレットファミリーよ?」
「こちらが落ち着いたら、メランのアンデッドダンジョンですわ、もう日時も指定されておりますの」
いつのまにそんな事に!
最前衛ふたりのうち片方のアメリア先生がリタイアしていて、
本当に大丈夫なのだろうか、後衛にエルフ三人が加わるから何とかなるか。
(ボリネー先輩をスカウト、はやめておこう、高くつきそうだ)
おそらく商売でそれどころじゃないだろうし。
「あと宗教! 僕が自由教なんていう、まったく新しい宗教の教祖になるなんて」
「それは凄く大きな事でした、大教会の魔力と聖教会の魔力の繋ぎ役になれるだなんて」
「そうですわ、魔力的にも、物理的にも、これ程までとは! ミスト様のおかげですわあ」
でも活動は教祖代理と砂漠の民に投げっ放しなんだよなあ、
その罪滅ぼしのためにも合同教会での仕事を頑張ろう、
女神マルシー様もちゃんと見ていてくれると良いなぁ。
(今度、駄目元でアプス神殿まで、会いに行ってみるかぁ)
「あとはそうそう、ミストシティとか、ほんとフォレチトンは栄えたよね」
「まだまだです、今年は観光に力を入れます、隣りの広大な土地を使って」
「あとサキュバス温泉やラミア温泉の視察は事前に言って下さいませですわ」
「あっ、はい」
この感じだと結婚式までは許して貰えるみたいだけど、
そんな暇あるかなあ、まあ一度づつはしっかり楽しみに行きたい。
(そのときは幼馴染や学友も誘わなきゃ)
「ええっとあとは、あとこれまで九か月の思い出といえば」
「ミストくん、ハニートラップに引っかかり過ぎです」
「でもそれで、結果的に良かった事も沢山ありますわ」
なんだか今までのそういうの全部バレてる気がする!
こういうのだって結婚式を終えたら許されなくなるんだろうなぁ。
(お仕置ベッドを本格的に使われるのは嫌だぁ!)
でも逆に言えば結婚式までは……
一度くらいはヴァルキュリア騎士団の更衣室に迷い込んでも良い、かな?
「そうそう、エスリンちゃんを助けてくれてありがとう」
「それはリアさんにですね」
「わたくしどもの、大切な側室仲間ですわ」
ソフィーさんやベルルちゃんに、
いびられるような心配は無さそうかな、
それはそうとあと三か月で、きちんとエリスンちゃんの心を取り戻さなくちゃ。
「最後にやっぱり、ナスタを平和に出来て良かったぁ、って話かな」
「ミストくんのおかげでビッグバンメテオの効果が上がりました、そのおかげです」
「精度もですわ、この強大な魔法はあらゆる国に対し、けん制ができますわ」
それはもちろんアルドライド国王に対してもだ、
それにしても魔法を、ビッグバンメテオを見た時の僕らを捕らえようとした寸劇は何だったんだろう?
(まあ後からリア先生にも気にするなって言われたから、いっか)
ナスタ統一からまだ三日、これからが大変だろう。
「それにしても酷いですよね、レブル王子の受けた呪い」
「婚姻魔法の呪術ですか、あれは本来、互いにかけるべきものです」
「ですわ、一方的に女性の方だけ生き残るような脅しは、許せませんわ」
うん、奥さんが死ぬと旦那も一緒に死ぬけど、
旦那が死んでも奥さんは何ともないって魔法だったんだよな。
「それでも、もし互いが公平だったとしても、そんな恐ろしい魔法、怖くて仕方ないよ」
「あらミストくん、もうかかっていますが」
「そうですうわ、夫婦で片方が死ぬともう片方も亡くなる禁呪魔法、すでに実行済みですわ」
(えええええ?????)
「ちょ、ちょっとそれどういうこと?」
「ミストくん思い出して下さい、告白イベントのとき私が言った事を」
「つきあう条件ですわ、婚姻を前提としたもの、ということ以外ですわ」
ええっとえっとえっと、
確か魔法をかけるとかなんとかだっけ、
どんな魔法かはまだ言えないけど、そ、そうだ!
(王都を出てすぐ、馬車の中でキスされて、その時に体内に流れ込んできた魔法!!)
「あれかーー!!」
「思い出したようですね」
「わたくしも、わたくしの家族が来た時、目の前でしましたわ」
あーはいはいはい、そうだったそうだった!
「それって、そんなあぶない魔法だったの?!」
「詳しく説明すると、魔力の非常に高い聖女は純潔を失うと魔力が減ります」
「その魔力、最大魔力、魔力上限の減り具合は『僅か』から『ほとんど』までの振りがありますわ」
あーその話、確か聞いた覚えが。
「それを防ぐ方法なんだっけ」
「はい、夫婦の命をひとつのものとして合せる事で、魔力を減らさなくさせるのです」
「それは事後、しばらく経ってからでも有効ですわ、現にミスト様から減った分を取り戻しましたわ」
だーからベルルちゃんの家族が慌てふためいたうえで諦めたのか、
僕が死ねばベルルちゃんも死ぬ、そりゃあ結婚を認めざるを得ないのか。
「でもそ、そんな恐ろしい魔法、なんで無断で」
「外部に漏らさないためです、それに言いましたよ、どんな魔法でも受け入れられる方のみプロポーズして下さいと」
「わたくしの場合は、わたくしの決意を家族に見せるためでしたわ、でもミスト様は受け入れて下さいましたわ」
いやいや、そんな怖い魔法って知ってたら断っ……れたかなぁ?
なんだかんだ押し切られそうな僕が居る気がするし、
何よりソフィーさんベルルちゃんは、そんな恐ろしいリスクを背負ってでも結婚したい相手だ。
(こんな僕が、だめ貴族が最高の聖女様を手に入れるためには、こんなリスクすら軽いくらいだ)
よくよく考えたら僕が不要になったら、
例の特製アイテム袋に仕舞っちゃうって方法もあるだろうし。
「あらミストくん、今、ナスタ国のゴスタ城で会った、
ジョベール公爵の奥さんみたいに私達を仕舞えば良いと考えませんでした?」
「ちっ、違うよ、逆だよ、考えてたのはその逆だから!」
「まあ、ではわたくしどもが、ミスト様を仕舞ってしまうと?
そんなこと死んでもしませんわ、まったく酷いですわあ、お仕置ですわ」「ですね」
じりじりとにじり寄ってくるふたり!!
「い、いやっ、ふ、ふたりが僕を邪魔になったりしたらっ」
「ミストくん、愛しています、命を共有する程に」
「ミスト様、わたくしめ、ベルルはミスト様のものですわ、
と同時に、ミスト様はわたくし、このベルルのものですわ」
こっ、怖いっ!
ふたりの愛が、重すぎて怖いいいいぃぃぃ!!!
「なんでっ、なんでそんなに僕の事、好きなのっ?!」
「それを早く当てて下さい、回答権が来てからになりますが」
「早く当てて楽になっていただきたいですわ、でもその前にまずは……ですわあ!」
「そ、そんなお仕置って……うわあああああああ!!!」
(うん、わかった、この二人、魔王というよりは、やっぱり……淫魔だ)
そう思うと普段より興奮する
だめ貴族だもの。 ミスト
衝撃の事実を知って第八章へ続く。
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