第251話 言ってはならない合言葉
お城の中はとりあえず制圧できたものの、
ムスタの都市そのものを掌握しないといけない訳で、
これに関してはとにかく女性を抑え込み男性の首輪解除が中心らしい。
(でも、『なんでこんなことするんだ』って男性もそこそこ居るんだろうな)
ただ、女帝の治めていたナナスータ全体が完全な女尊男卑という訳ではない、
公爵が治めるような主要都市のみがそんな感じで地方は緩いらしいので、
極端に言えばここさえ抑えてしまえば後は時間の問題だとか、詳しい事は知らない。
(いや説明を受けた気はするけど、理解ができなかった……)
僕がわかる範囲で言うと、僕の私兵とアルドライド国王の私兵、
砂漠の国の勇士、メランの私兵が花火の合図で一斉に制圧へと入る、
この花火は実は魔法効果があって敵の攻撃魔法をかなり防げるのだとか。
「ミストくん、お城にとりあえず味方が百人ほど入ったようよ」
「では中庭に転移テントの設置ですわ」
いくら少数精鋭でも外を囲んだうえ中心部からも我が軍が出て来れば、
制圧は容易いだろうという作戦だ、うん、早速設置すると手を入れて合図を送る、
すると兵士がいっぱい出てきた、それぞれの私兵が続々と……ってあれ?!
(なんなんだろう、この巨肉は!)
「デュフフフフ」
「ボリネー肉頭領さんではないですか!」
「奴隷解除はお手の物デュフ」
うん、一万の肉を得た気分だ。
「早速、城の出入り口に検問を作るデュフ」
「あ、話は聞いています」
衛兵役はアルドライド国王の私兵かな、
城の出入り口で行き来する味方をチェックする。
「合言葉は?」「F、K、G、I、J」「よし通れ」
「合言葉は?」「A、U、N、K、O」「通って良し!」
「合言葉は?」「J、O、D、AM!!」「よし行け」
この合言葉、五つ言っているが実は言ってはいけないのは一種類、いや一文字だけだ。
「では、この国の奴隷を解放してくるデュフ」
「お、お気をつけて」
「デュフデュフデュフデュフ……」
お供の奴隷獣人女性をいっぱい引き連れて出て行った、
ボリネー先輩の偉い所は奴隷を従えながら先頭なんだよな、
勢いがつくとゴロゴロ転がるから側溝か何かにハマらないか心配だ。
(直前の訓練では溝にハマって、獣人さんたち八人掛かりで引っ張ってもらっていたからなぁ)
ソフィーさんベルルちゃんは負傷者の治療や奴隷の介抱にてんやわんや、
僕も僕とでふたりの魔力を繋ぎ合わせて上げるために加勢している、いや物理的にも繋ぎ役だ。
(おお、城の外でメランの国王が自ら騎馬に乗っている!)
「よし、四十代くらいの女性が殺意を持って攻撃してきたらすぐ捕縛しろ!
多少、腕や足がもげても構わん、止血して私のアイテム袋へ入れるように!!」
うん必死だ、でもちゃんと護衛はしっかりしている、
いかつい装備のお爺さんも居るな、あれが退役した私兵か。
外から来た兵士も次々と一旦お城に入って身分確認だ。
「合言葉は?」「P、A、N、T、U」「通りたまえ」
「合言葉は?」「M、O、N、G、A」「腰を振るな!」
「合言葉は?」「A、A、A、A、A」「おいコラ楽をするな!!」
面倒だけど変なのが潜り込まないようにね。
「合言葉は?」「B、」「捕らえろおおおおおお!!!」
あ、ヴァルキュリア騎士団かと思った女性が捕まった!!
「変装とはふてぇ女だ!」
「な、なんでわかったのよー! きー!」
うん、言ってはいけない言葉を言ったからね。
(あ、僕のお抱え冒険者パーティー、マジカルリスタートだ!)
でも前衛で元山賊の奴隷ふたりが大怪我してる!
僕は城から出て慌てて駆け寄る、僧侶が回復魔法かけてるが大変そうだ。
「ジンくん、大丈夫か?!」
「あ、領主様、彼らは僕らをかばって」
「ター、ゲー、しっかりしろ!!」
ロックくんの声にもかかわらず意識朦朧だ。
「ソフィーさん、ベルルちゃん!」
「わかりました」「止血ならすぐですわ」
聖女の最上級回復魔法でみるみる怪我が治って行く。
(でも、やっぱり辛そうだ……よし!)
「お城の中で休んで良いよ」
「え、でも」
「いいからいいから! あとソフィーさんベルルちゃん、首もきつそうだから解いてあげて」
「わかりました」「はいですわ」
「えっ?」「えええ??」
戸惑うジンくんロックくんの目の前で、
元山賊ふたりにつけられた『隷属の首輪』をそれぞれ外してあげる!
「あくまで治療だから、さ」
「あ、ありがとうございます!」
ジンくんが丁寧に頭を下げて六人ともお城へ入っていった、
うん、彼らなら顔パスで良いよね、こっちの衛兵も敬礼してるし。
(僕らもお城に戻って治療の続きだ)
入ろうとすると止められた。
「合言葉は?」「ええ、えっと、L、R、B、あっ」「捕らえろおおおおおおお!!!」
(いや僕、領主だから、勇者だから、アルドライドの貴族だからあああああ!!!!!)
普通に捕らえられたのをソフィーさんベルルちゃんリア先生に冷たい目で見られた
だめ貴族だもの。 ミスト
「以後、お気を付け下さい」「あっ、はい」
衛兵さんごめんなさい。
「さあミストくん、中に入って現状の整理と今後の話を」
「ええっと、どこでしようか」
「とりあえず例の控室でいいでしょう」
(うー、まだ何か嫌な予感が残ってるんだようなぁ……何だろう??)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。