第243話 注文の多いムスタ城
(うわ、凄い出迎えだぁ)
ずらーーっと並んだ女性メイド、
オプラス王の家族を軟禁だか監禁だかしてたメイドたちよりも、
随分と服が立派だし、あきらかに強そう、物理的にも、おそらく魔力的にも。
「「「「「「ようこそいらっしゃいました」」」」」」
ひとりひとり丁寧にメイドがお迎えする、
って僕は当然スルーみたいだ、ソフィーさんベルルちゃんが僕をお迎え。
「さ、ミストくん足元に気を付けて」
「せっかくの素敵な衣装が、転んで汚れては台無しですわ」
「う、うん、ありがとう」
ソフィーさんベルルちゃんも立派な聖女服だ、
リア先生はいかにもアルドライド王国騎士団代表みたいな服で、
キリィさんモリィさんは僕のお付きメイドって感じ。
(まずはどこへ案内されるのかな?)
僕が先頭で進もうとするも、
向こうのメイドがこれまた抜群な動きで僕を居ないものとして、
ソフィーさんベルルちゃんリア先生を個別に先導している、なんだこれ、訓練でもされているのか。
「あら、別々になるようですね」
「三方向に誘導されても困りますわ」
「まとめてくれ、そして先頭はミストだ」
メイド達が困っていると一方からお爺さんがやってきた、
隷属の首輪をしていない男性住民はこの領地では初めて見るな。
「えーおっほん、この国、特にこの都市、もっと言えばこの城では男は不浄じゃ」
あんたはどうなんだっていう、でもさすがにそれを言う訳には……
僕が返事に困っているとソフィーさんが話してくれた。
「ミスト=ポークレット辺境伯は不浄などではありません、きちんと来る前に全身を洗ってさしあげました」
「ですわ、頭の先から足の裏まで、隅々までしっかりみんなで綺麗にしてまいりましたわ」
「ちょ、恥ずかしいから」
ご老人が何か唸っている。
「……う~む、少なくともミラー様は城外の男は全て不浄、不敬とみなしておる」
「アルドライドの国王が失礼なものを送りつけたとでも言いたいのですか?」
「それがとても、使いを出した国への対応とは思えませんわ」
「じゃがのう、知らぬとはいえのう、う~む……」
気にせず爺さんが来た方向へ進むリア先生。
「行くぞ、女帝ミラーに会えば終わる話だ」
「ま、待ちなされ! ええい、小僧、奴隷の男! ミラー様に決して失礼の無いようにな!」
「はぁ、まあ」
すっごい適当な返事で進む、
これくらいの仕返しはしてもいいよねっていう。
(あ、メイドが観念したのか、まとめて案内してくれる)
大きな扉を開けると広い控室みたいな所だ、
椅子は五つ、って丁寧に僕の分を弾いてあるのか?!
ぐ、偶然だよね? と思ったら部屋の隅に同じ椅子が三つ立てかけてあった。
(メイド長っぽいのが僕らの前へ、って僕には目を合わさないな)
「アルドライドの皆さまには、ミラー様との面会は歓迎パーティーで行いたいとのことでございます」
「まあ素敵」「嬉しいですわ」「形式ばったものは好まぬ女帝か」
うーん、パーティーって何か盛られる予感しかしない。
「そこでパーティーに相応しい衣装をこちらで用意してあります、早速お着替えを」
ずらーーーっときらびやかな、高級そうな衣装がかけてあるラックが運ばれてきた!
「男性用は別室に用意してあります、そちらのメイドが」
いつのまにか僕らの後ろに立っていた、黒い前髪で目を隠したメイド、
すっごくスタイルが良くて胸も、うん、これは普通の男なら大喜びなんだけれど……
「さあどうぞミスト=ポークレット辺境伯、彼女が全てお世話致しますから」
と告げるメイド長ぽい人の言葉に頷く黒メイド。
(嘘だ、絶対嘘だ、だってこいつ、ものすごい罠臭がする)
「ミストくん、一緒に着替えましょう」
「まずはミスト様の衣装を持ってきていただきたいですわ」
「何なら私が取ってきてやろう、メイド、案内しろ」
リア先生が詰め寄るも微動だにしない黒メイド、
目が隠れている分、ちょっと不気味。
(同じメカクレでも、変態を隠さないサリーさんは偉いよ)
メイド長の表情が険しくなった。
「ミラー様は決して失礼な男性を許しません、
夫でさえもその首を刎ねたお方です、責任持ちませんよ?」
「だからここで着替えさせると言っているだろう、ならばさっさと持ってこい」
「……ご自由になされて下さい、くれぐれも、く・れ・ぐ・れ・も! 失礼の無いように!」
あ、やっと僕を見てくれたと思ったらやっぱり睨まれた!
どんだけ男嫌いなんだよこの城の連中は……出て行っちゃったよメイド長。
「ミストくんだけ、やはり歓迎されていませんね」
「失礼さえ無いようにすれば平気のようですわ?」
「仕方ない、ミストの衣装が届くまで、他の衣装を見よう」
女性用の衣装は本当に豪華、高級でみんなキャッキャ楽しんでいる、
キリィさんモリィさんは補佐というか、こういうのはこう着てはどうですか的にアドバイス、
そうこう楽しんでいるうちに今度は途中で会った爺さんより年上そうなお爺様、
これまた首輪をしていない白髪のご老人がやってきた、男なのに立派な服装だ。
「おい、男奴隷!」
「ぼ、僕っすか?!」
「姫は、いや女王ミラー様は、下品な男が大嫌いだ!」
「は、はぁ」
「よって、帰るか下品な顔、下品な姿、下品な声を晒さぬように、以上!」
それだけ言って去って行った。
(そんな、下ネタでも言う訳じゃあるまいし)
扉の開け閉めは例のメカクレ黒メイドだ。
「う~ん、僕ってそんなに下品かなあ」
「ミストくんはミストくんよ」
「ミスト様はミスト様ですわ」
「ミストはミストだ、気にするな」
「いやそれ、フォローになってますか?!」
ふたりして頷くキリィさんモリィさん。
(うーん、どうすればいいんだ……)
存在が下品ということか
だめ貴族だもの。 ミスト
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