第194話 闘技大会はっじまっるよ~~!
そんな訳でついにやってきた闘技大会当日の朝である、
え? 好きな色? イメージカラー? 昨日戻って早々聞いたよ!
そしたら「白です」「白ですわ」「白だな」「リアお姉様が白なら白で!」
と言われてしまい、無理に四人に色を付けるのも嫌なのであきらめました、はい。
ドーン、ドーン、ドーン!
開門を知らせる花火が打ち上がる、
人の流れが凄い、自由席の人が良い場所を狙っているのだろうか、
警備の騎士団員も大変そうだ、こんな事に巻き込んで申し訳ない。
「っていうか、みんな朝食めっちゃ早くして、どこ行ったんだろう」
そう、朝日が昇ったと同時くらいにみんな食べて、
さっさと出て行ったので今、僕と一緒に居るのはキリィさんとモリィさんだけだ、
え、昨夜のベッドは誰とだって? 枕持ったサリーさんに「まだ早い!」て言って
追い返したから一人で寝ました、まあ一緒に眠るくらいだったらいいんだけれど、
あからさまなランジェリーと「どSの次はどMはいかがですか?」なんて言われたら、ねえ。
(ダンスの練習で疲れてたし)
「奥様方は忙しいようですね」
「朝に到着する方々のお迎えもあったようですから」
「あ、聞いた覚えがある」
昨夜到着の偉い方々のお迎えが忙しくって、
今日の朝はそれどころじゃないから手分けして対応する、
ミストさんが出るとなると相手が絞れないので闘技大会参加を理由に来なくて良いです、と。
(それはそれで寂しい)
でも昨日、公爵家に偵察しに行っただけで捕まってあれだけ時間を取られた、
それを考えると正しい判断なのだろう、などと考えているうちにコロシアムの正門に到着した。
「やあ領主様、お待ちしておりましたよ」
「あ、アイザックさん! どうしてわざわざ」
「来賓のお迎え係ですよ、姉さんは諸事情でできないので」
「えっと、諸事情とは」
「前騎士団長夫妻が観覧に」
あっ、それ気まずい。
「来たわねミスト殿」
「アメリア先生、先生も誰かのお迎え係ですか?」
「ええ、国王陛下のね」
ほんとに来るんだ国王!
「それって僕がお迎えしなくちゃいけないんじゃ」
「闘技の参加者は終わってからでいいのよ、挨拶は」
「そ、そういう物なんですか」
中に入ると真っ先に立派な剣が目に入った!
「うっわ、なにこの突き刺してある剣は」
「これはですね」
「待って、これだけは私に説明させて」
とアイザックさんを遮ってアメリア先生が説明を始めた。
「これはこの闘技場があった一帯にオークダンジョンが群生していた時にね」
「ふむふむ」
「そのオークのボスであるオークエンペラーを、フォレチトンの領主、
冒険者ミスト=ポークレットが倒した時の剣よ」
な、なんだってーーー?!
「えっと、倒したのって確かアメリア先生ですよね?」
「いいえミスト、貴方よ、ねえアイザック?」
「はい、姉さんからもそう聞いております」
ねつ造であーる。
「え、キリィさんもモリィさんも見てたよね?」
「はい、確かにミスト様がとどめを」
「この剣も、その時の剣に間違いありません」
嘘だっ!!
「アメリア先生!」
「他の来客にもし聞かれたら口裏を合わすのよ? いいわね?」
「はい、アメリア先生!」
うん、逆らえない。
「じゃ、後はアイザックに任せたわ」
「はっ、では領主様、こちらへ」
「う、うん、それでは行ってきます」
(にしても、あんな立派な剣いつのまにねつぞ、いや、造ったんだろう?)
ふと最近見なくなったドワーフメイドを思い出す、
ミストシティの鍛冶屋につきっきりらしいけど久々に会いたいな。
「あ、お弁当が売られてる」
例の愛妻弁当か、
ソフィーさんのとベルルちゃんのと、
いつのまにか『リア騎士団長の愛妻弁当』まであるな、女性に人気ありそう。
「やあ領主様」
「モーリィさん! 家族で観に来てくれたんですか」
「ああ、今日は楽しませてもらうよ」
濃い顔の馬車引き、何度もお世話になったお方だ、
奥さんと息子さんと娘さん、遅めの朝食かお弁当を買って行った。
(朝食はもう頂いたから、お昼に買おうかな)
そうして案内されるままコロシアム内部の客席へと降りる、
なんというか、円形だが最前列の一番良い場所に特別席が作られていた。
「ええっと、これ、国王陛下の席ですよね?」
「いえ、国王陛下は全体が見渡せる中ほどに」
「あ、ほんとだ、中二階みたいな所がせり出してる!」
飛び出した個室っぽい、安全面を考えるとああなるか。
「じゃあここでいいのか、テーブルまでついてる」
中央に座ると両隣にキリィさんとモリィさん、
あ、これはアレだ、警備も兼ねてる、なるほど。
「では私は持ち場に戻りますので」
「あっ、アイザックさん、ありがとう」
「いえいえ、ではまた、のちほど」
客席を見回すと一般席がわらわらと埋まってきている、
孤児院の招待席や砂漠の国の招待席はあのへんかな?
開始までまだ時間がありそうで暇になるな、と思っていたら……
「やあ、招待ありがとう」
「あっ、ハイドロン公爵家の皆さん!」
「君も戦うそうじゃないか、お手並み拝見といくよ」
と、御当主にプレッシャーをかけられた、
手短に挨拶を済ませると次に来たのは……
「おーう、酒のつまみを観に来たぞ」
「武神ガブリエル辺境伯! と奥さん! とス……素敵なメイド長さん!」
あぶないあぶない、危うくスケ●メイドとか言う所だったよ。
「美味いつまみになってくれよ? 頼んだぞ? がはははは」
「はいっ、できる限り、頑張ってみますっ!」
(……次は聖教会のお偉方かぁ)
とまあ退屈はしなかった、うん、退屈はね。
そうこうしているうちに開始時間が来たらしい、
前もっての資料で読んだが魔法研究所が製作した
光魔石と土魔石と風魔石を組み合わせたとかいう、
なんでも『音響装置』とかいうのが初披露らしいが、さてはて。
「あー、あー、皆さん聞こえますでしょうか」
「聞こえるでやんすかー」
懐かしい声が闘技場に響く。
「皆様おはようございます、声を拡大して場内に響かせる装置を使っております」
「大きすぎやしたら、ごめんねごめんねごめんね~」
うん、間違いなくガブリエルさんの弟子とその弟分だ。
「今回、実況をこの装置で試みます、冒険者のザッキーと申します、そして」
「タッシバでやんす~、お耳触りの方は耳ではなく乳首を触って欲しいでやんす~」
「感じちゃうだろ!」
あ、一部で笑いが起こってる、こんなのでいいのか。
「そろそろ時間が来たようです、フォレチトン・アメリア・コロシアム、プレオープンです!」
「開幕の宣言はなんと、宰相代理のヒューゴー=フェルナンディー様でやーんす!」
うん、プレオープンだからね、このくらいが丁度良い。
(マンタ爺ちゃんでも良いくらいだ)
「えーオッホン、それでは只今より、コロシアムプレオープンを記念した闘技大会を行う!」
湧く会場、僕も立って拍手だ。
「続きまして国旗と軍旗が掲げられております、せり出した席をご覧ください」
「なんと! 国王陛下が本日のために来てくれておりやすでやんすーでごぜーーーます!」
国王陛下も手を振る、
ていうかタッシバさんあれで気を使った敬語なのか?!
「それではオープニングマッチを執り行います」
「審判はアルドライド王国騎士団長、剣聖リア=アベルクス様でやーーーーんす!」
僕の席の真下から出てきた、
まず国王陛下に向けて一礼、うん、目線は僕じゃないな、
そして中央へ行き四方へおじぎ、それにしても誰と誰が戦うんだろう?
(領主ミスト=ポークレットへ贈る開幕試合、としか書いてないよな)
地味に安く売られている大会パンフレットが僕の机にもあって、
今日のタイムテーブルにもそう書いてある、内容は観客どころか僕も知らない。
「さあお待ちかね、まず登場していただくのは、領主様の正妻予定、ソフィー=ミンスラー様です!」
「本物でやんすよー、皆さん、本当の本物でやんすーー!」
(えっ?)
「続きましての登場は領主様の側室予定、ベルル=ヴェルカーク様です!」
「今度も本物でやんすー、本物と本物の一騎打ち、真剣勝負でやんすよー!!」
(えええええええ?!)
会場は割れんばかりの大歓声だ!!
「えええ、ええ、えええぇぇぇえええ?!?!?!」
奥様予定による、あまりに豪華なオープニングマッチを前もって教えてもらえなかった
だめ亭主予定だもの ミスト。
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