第188話 わらわらと変なのが集まってきた(四人目)
「へ~、じゃあバーナレー大商会に取って変わって国内最大の商団になる勢いなんですか」
「はいぃ、アビタラーナ商団は昔から奴隷売買で有名でしたが、今は方々に手を拡げていましてぇ」
と説明してくれたサリーさんが居るのは今日も僕が昼食をいただいた騎士団長室である、
僕が救出され朝食のあと、例によってコロシアムでアメリア先生による稽古だが、
今日は近くで例の自称婚約者、冒険者ガルボナ=チャイムズベリーと騎士団員べベロンも剣を振っていた。
(べベロンさん昨夜、無料だからってサキュバスダンジョンで大暴れだったらしい)
で、その『無料を超えた分の請求』は後でしっかりお城に請求するとは昼食直前のサリーさん談だった。
「それでボリネー先輩はどうした」
「はいぃ、あっちこっちそっちどっちとお店やお店予定地を見て回ってましたぁ」
「稽古はせずか」
と、ちょっと気になった事を聞く。
「あの、リア先生って元婚約者、いえ、自称婚約者は苗字でなく名前呼びなんですね」
「まあな、ガルボナとべベロンはそう呼べと最初に言ってたからな、まあきちんと呼んだのは卒業後だが」
「肉だ……アビタラーナさんは」
「先輩は別格だ、何せ学院の頃から有名な、そのなんだ、マスコットみたいなものだったからな」
「あぁ納得、すっごい納得」
コン、コン
「失礼致します」
と入ってきたのは美青年、男性騎士団服に身を包んだ切れ長の剣士だ。
「お前は確か」
「はい、ズッソーロ領に勤務しております、ロッソレ=ガレッディエラであります!」
「久しぶりだな、ミスト、彼は私の一学年下だ」
「どうもミスト=ポークレット伯爵です」
「領主様の噂は遠くズッソーロにも聞き及んでおります」
ええっと今度はどこだ、と地図を見ると王都のちょっと北西、意外と近かった。
(まあ王都自体はここからだと遠いからね)
「今日はどうした」
『『きゃあああああああああ!!』』
またかぁ。
「私が行ってくるわ」
と、女勇者アメリア先生が直々に廊下へ、
って目の前のロッソレさんは平気だったのか、
更衣室が開いてても華麗にスルーできるのは男前だ。
「あの、よろしいでしょうか」
「ああロッソレ、発言を許す」
「リア騎士団長が過去の婚約者を集め、リア=アベルクス争奪戦を行うと聞き、参戦に」
「そういえばロッソレも婚約者であったな」
「お忘れでしたか、失礼致しました」
なんというか、声といい動きの作法といい、かっこいいなあ、
ゴツゴツした男っぽさがなく髪も少し長め、
全体的にしなやかというか、肉食女子に好かれそうなタイプだ。
「サリーさんも久しぶりです」
「は、はいぃ」
ちょっと見とれてるっぽいな、このメカクレ。
「私が覚えてないからといって、はいそれではと帰る訳ではあるまい」
「もちろんです、最後まで勝ち残って、この『わたし』がリア騎士団長のパートナーになります」
「……自信はあるのか」「それなりには」
いや、この人ぜっっったい強いって!
「そうかわかった、話は変わるが双子の姉、アラルマはどうした」
「健在ですよ、今は実家の子爵家で花でも愛でている頃でしょう」
「騎士団は辞めたのか」
「いえ、ヴァルキュリア騎士団のテストに落ちて、ショックで休暇を取っているだけです」
「そうか、彼女には悪い事をした、能力的には問題ないのだがな、能力的には」
何か訳ありそうだ、っていうか双子だったのか、性別違いの。
「……思い出したぞ、ロッソレ、訓練で怪我をしたと聞いていたがもう大丈夫か」
「はい、今はリハビリ中……の期間を終え、ピンピンしています、この通り」
「そうか、ならば良い、コロシアムのプレオープンに華を添えてくれ」「はっ」
うん、確かに華って言って良いくらいの美しさだものな、ちょっと中性的かも。
「それでは本日はご挨拶までに、これで失礼致します」
「うむ」
「領主様、当日戦う時はフェアに行きましょう」
「あっはい、もちろん」
握手するのかと思って手を差し出したらぺこりとお辞儀して出て行った、
四人の中で一番まともというか、ちゃんとした対戦相手って感じがする。
「あの、リアお姉様ぁ」
「ああ、わかっている」
「???」
僕が二人の変な会話に頭から?を出していると、
アメリア先生が戻ってきた、やれやれといった感じだ。
「伯母上、いかがでしたか」
「今度はガルボナとかいう冒険者よ、二階の窓から放り投げられていたわ」
「だ、大丈夫なんですか」
「受け身くらい取れるでしょう」
と、まだ開いていた廊下との扉の隙間から声が聞こえる。
「おい、まだ更衣室の扉が空いたままだぞ、恥じらいは無いのか!」
うっわロッソレさん男前!
きっと中を見ないで言ってるんだろうな、
なんとなく自分の片手で両目を塞ぎながら言っていそうだ。
「リア、あの子」
「伯母上、ここは黙っていよう」
「……そうね」
(え、何の事だろう?)
「それはそうとミスト、忙しくなる前に権利を使ったらどうだ」
「え、何のですか」
「ソフィーとベルルがミストを愛する理由、それを答える権利だ」
あー忘れてたていうかタイミング逃してた!
本当なら伯爵就任直後、遅くとも数日後には答えるはずだったんだけれど!!
「私が言えるヒントは伝えた、エスリンからもヒントは聞いたか?」
「え、どうでしたっけ」
(エスリンちゃん何か言ってたような気もするなぁ???)
「来年に延ばしても良いが、選択肢を早めに消すと次まで長く考えらるぞ」
「そうですね、わかりました、では早速今夜にでも」
「ミスト殿、考えはまとまったの?」
「ええっと、今回はその場のインスピレーションで!」
「えっ、領主様、気付いてないんですか? はっ! はわわっ」
サリーさんがリア先生に目で殺された!
気付くって何だ気付くって、何気にヒントが出た気がするぞ?
(よーし、今夜こそ当てるぞー!)
この後、午後の訓練に行こうと廊下に出ると、
僕の姿を確認されてから更衣室の扉が開けっ放しにされた、
なにこのあからさまなハニートラップ! と通りがかり一瞬しか見なかった、一瞬だけね!
ああ、そりゃあ見るさ、見せてくれるんだもの! 見るよ! 見なきゃ失礼でしょうが!
見せてくれたわりには中に四人しかいなかったけど! きらびやかな下着姿でスタイル良かったよ! ええ!
だめ貴族だもの!! ミスト!!!
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