第135話 チェックポイントを作ろう
ヴァルキュリア騎士団の詰所でトイレを済ませサキュバスダンジョンへ戻った、
いや観光温泉施設となったここのダンジョンにもトイレはもちろんあるのだが、
なんとなく清潔感のある方でしたいというか、そんなこんなであらためて再出発。
「これは、あくまでも騎士団員やフォレチトン領の重要人物が使う秘密の移動手段です」
「ですのでミスト様であっても基本的には他言無用でお願い致しますわ」
「うん、怖くて言えない」
敵国にこっそり設置して一気に内部から、とかできるもんな。
「ではこちらのテントの隣にもまた設置しましょう」
「中継地点、いわばチェックポイントですわ」
いいけどなぜ野外なんだろう?
ダンジョンの一室にこっそり作ればいいのに、
と思ったが詰所でも屋上だった事から外でないといけない理由があるのだろう。
「……はい、できました」
「では次の中継地点へ急ぎますわ」
かなり速度で飛ばす馬車、
砂漠までは二泊三日で行けるらしい、
これも一直線の浄化された道のおかげだ。
「フォレチトンが栄えたら、こちらに街を作るのも良いかもしれません」
「それには砂漠を越えた国まで道を通す前提が必要ですわ」
「う、うん、夢のような話だね」
でもそれを言ったら僕の、今の状況こそが夢のようだ。
「一度、車中泊になりますがそれまで何のお話をしましょうか」
「ええっとソフィーさん、何か話したい事でも」
「そうですね、子供の教育方針の話でもしましょうか」
「え、もう赤ちゃんできちゃったの?!」
「まだですね、お腹の大きな状況で結婚式を迎えるのは避けていますから」
避妊魔法とか使えるんだっけ。
「おそらく生まれてくる子供は魔力が良くて私の半分です」
「うん」
「それでも強大な魔力です、大教会から狙われるでしょうね」
「幼い頃から嫌な思いはさせたくないですね」
「そもそも祝福を受けさせないという手もあります」
そうか、魔力を封じ込める方法もあるのか。
「このあたり、どういたしましょう」
「本人の意思に任せたいけれど、でも魔法は使えるにこしたことはないよね」
「物心がつくまでは親の責任です、ミストくんが決めてください」
「う~ん、これは責任重要な」
「その選択によって子の性格が決まる、までありますから」
そんな大切な事、僕に決めさせて良いのだろうか???
「ミスト様、わたくしとの子に関しましては全面的にこのベルルめに任せていただきたいですわ」
「ど、どうするの」
「まずは両親、特に父親を尊敬するように徹底して教育いたしますわ」
「それは、いいのだろうか」
「はいですわ、当然ですわ」
(相手がだめダメ駄目貴族なのにぃ……)
とまあ様々な話をしたり、いちゃついたり、食ったり、寝たり、
たまに降りて安全地帯を拡げたり、トイレしたり、ダンジョンを確認したり、
なんやかんやあって一泊ののち、お昼過ぎにはミストシティと砂漠のほぼ中間にあたる水場に到着した。
「ここが二番目の中継地かぁ」
「ではここで本格的な建物をいくつも建設しましょう」
「すでにご覧の通り、簡易的な作業小屋、宿泊小屋はあるようですわ」
確かこの周りには東西に『美味しい』大型ダンジョンがいくつもあるんだっけ、
だからすでに冒険者の拠点として最低限作ってはあるのだろう、
水場もちゃんと整備されている、とソフィーさんベルルちゃんが簡易小屋の裏手へ。
「ではテントを作りましょう」
「一気にふたつ立ててしまいますわ」
次の場所へのテントも立てるのか、
まずは光魔石を設置して、と色々建築魔法とやらも駆使し、
水場で馬が水を飲み終えて、まったりしているうちに完成した。
「戻りますわあ」
ベルルちゃんが先頭になって先に立てた方のテントへ、
うん、サキュバスダンジョンの裏手だ、その隣りのテントに入ると、
今度もおかしな所へ飛ばされる事もなくフォレチトン、騎士団詰所の屋上テントだ。
「では工事作業員の方を呼んできましょう」
「資材の入ったアイテム袋もお忘れなくですわ」
そうして待つ事三十分、バリバリに建築作業をしてきそうな男性陣がわらわら屋上へ連れられて来た。
「本当にそんなに遠くまで行けるんで?」
親方風のおっさんも半信半疑だ。
「ついてきてください、途中で中継地点がありますから、そこでもテントからテントへ」
ソフィーさん先頭で二十人以上の男が列をなす、
そしてヴァルキュリア騎士団の女性も五人ほど続き、
最後にベルルちゃんが、ってその後に入る僕が最後か。
「すごいすごーい」
サキュバスダンジョン裏手へ来た時点で女性騎士団員が驚いている、
ひょっとしてサキュバス温泉はヴァルキュリア騎士団の皆さんの保養にもなるのかな?
変な事しないで温泉に浸かるだけっていうのも普通にあるだろう、これならオーク温泉より近いし。
(そして中間地点、と)
あっという間に水場へ戻ってきた、
作業員の一人がアイテム袋から次々と資材を出す、
女性騎士団の皆さんは警備か、魔物の心配はもう浄化魔法でいらないはずだけど一応、かな?
「さあミストくん、一日かけて次の設置ポイントで行きましょう」
「あ、はい」
「私は戻ってお風呂に入るわ、引き手も十分したし、いいでしょう?」
「伯母上は齢だからな、次の村で設置が終わったらまた来ていただく」
「じゃあ帰るわね」
というリア先生との会話でアメリア先生がフォレチトンへと帰っていった、
だよね? またサキュバス温泉で領主専用個室に行ってたりしてないよね??
(あ、来てくれた作業員の男性陣もサキュバス温泉をすぐ利用できるのか)
というかテントの秘密ばらしてよかったのだろうか?
騎士団の皆さんはともかく、と思ったがミストシティ建築チームは
王都でお城の補修をしたりもしてるって前に聞いたから大丈夫な人たちなんだろう。
「ミストくーん、馬車、馬車」
「はいはい今すぐに」
こうしてアメリアさん途中抜けの馬車はさらに南下、
中間地点から丸一日かけてついた村は久しぶりのオーガ集落だ。
「オーガさん、冒険者に攻撃とかされなかった?」
「ウガウガ、ガウガウガウ」
「そう、よかったわ」
ちゃんと会話できているのかこれで。
「では村の裏口と、祭壇の洞くつの間に造りましょう」
またもや慣れた手順でテントを設置、
子供オーガが遊びたそうにわらわらやってきているのを、
大人のオーガが何やらガウガウ言い聞かせてくれていた。
「せっかくだから見ていきましょう」
というソフィーさんについていき祭壇へ、
祀られている巨大光魔石があいかわらず眩しい。
「ミストくん、魔石を手に取ってみて」
「え、いいの?」
「ふふ、できればですけど」
ぐいっと近づくと途中で見えない壁に阻まれる、
先は見えるのにはっきりと透明で垂直な障害物が通してくれない。
「あーこれ結界ですか」
「そうよ、冒険者のフリした盗賊が来てもこれで大丈夫なの」
「いつのまにこんなの」
前に来た時の帰りかな?
これで村は平和だし観光としても使えそうだ。
「一応、オーガに喧嘩を売るようなのがいないよう、常時警備をつけましょう」
「そうですわ、冒険者ギルドで注意は受けているはずですが、おかしな人はいますわ」
「それがいい、あといざとなったら入れる子供だけでもテントで逃げてきて欲しい」
ソフィーさんベルルちゃんリア先生も頷いている、
あとわかっているのかどうか不明だが大人のオークも。
「整備されている道の中間地点としてはここが最後です」
「ミスト様、ではいよいよ次は、死の砂漠の玄関ですわ」
「うん、行こう」
(オーガ保護村に僕もこれでいつでも来られるな、うん)
という言い訳でまた途中にあるサキュバス温泉に入りたい
だめ貴族だもの。 ミスト
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