第101話 年上の婚約者
ソフィーさんがお風呂にお湯を入れに行った、
メイドがいない正真正銘ふたりっきりの宿泊みたいだ、
僕はそわそわ落ち着かない、夫婦になるっていうのに。
(観光ガイドみたいなのが置いてある、という事はここは宿か)
そういえばメイドふたりが商業ギルドみたいな所に寄っていた、
あの時に鍵を貰ってソフィーさんにいつのまにか渡していたんだろうか、
とりあえずお茶でも用意しようと部屋から出るとソフィーさんが持ってきてくれた所だった。
「あら、お手洗いはあちらです」
「う、うん、ありがとう」
せっかくなので済ませて戻る、
トイレの部屋が寝泊まりできるくらいの大きさでびっくりしたよ。
「ミストくん座って」
「あっ、はい」
「お茶をどうぞ」
うん、濃いハーブティーだ、
本物のソフィーさんが用意してくれただけはある、美味しい。
「さてミストくん、キリィさんモリィさんを使って何か探っていますね?」
ぎくっ!!
「な、なな、なんのことでしょうか」
「王都の、お城の前で公開お仕置をされたくなければ正直に話してください」
「ええっと、あらためて、そのお仕置って何をされるのかな~?」
あえてすっとぼけてみる。
「それはもちろん裸にして(ピーーーーーーーーーーーーーー)」
「ひいぃぃでもそれってソフィーさんだって恥ずかしいんじゃ」
「あら、私はミストくんと愛し合っている所を皆に見てもらえて嬉しいですけど」
「いやいや騎士団に捕まらない?」
「むしろリアさんアメリアさんが警備に回ってくれるかと」
駄目だ、公開恥辱プレイやる気満々だ。
「ごめんなさい、実は……」
ソフィーさんベルルちゃんにされた禁呪魔法のキスについて調べてもらっていた事、
魔力が高い聖女は純潔を失うと魔力が多かれ少なかれ減るがその禁呪で戻る事、
それに伴ってリスクがお互いないのか、そもそもなぜ禁呪なのか引き続き調べてもらっている事、
洗いざらい全部話すとソフィーさんは怖い笑顔になった。
「どうして直接聞いて下さらなかったのですか?」
「うん、まだ教えたくないみたいだったから」
「だからといって調べられるのは、私のまだ教えたくないという意志に反して……」
「ご、ごめんなさいっ!」
「そうですね、まず、教えたくない理由は、落ち着いてから知った方が良いからです」
穏やかな表情になった、良かった、怒りは少し治まったみたいだ、謝ったからかな?
「その、僕と結ばれて魔力が減るっていうのは本当なんですか?」
「ええ、でも前もって禁呪をしたおかげで一瞬たりとも減りはしませんでした」
「あっ、ベルルちゃんは、その、した後にその禁呪をしたから、取り戻したと」
「そうなりますが、それでも減った魔力はそれ程でもなかったですね、きっと互いの愛情が深かったからでしょう」
「そういうものなんですか?」「そういうことにしておきましょう」
ソフィーさんが僕の隣に座ってきて頬に口付けをしてくれた。
「私の愛情も深いですよ?」
「……許してくれますか」
「許すも何もミストくんは私ともう一緒になるんですからううん、もうすでに」
そう言って僕に重なってきたソフィーさん、
僕はその想いを受け止め、互いに愛し合った……。
「広いお風呂で良かった、ミストくんと一緒に入れて」
「うん、ダンジョンの地下温泉も良かったけど、こうしてちゃんと綺麗なお風呂もいいな」
フォレチトンの新しいお風呂も広いけどふたりだとまだちょっと遠慮する広さだ、
でもここは一度に四、五人は入れる広さだから泳げるくらいだ。
「学院の再テスト、もう大丈夫よね?」
「うん、多分、みんなのおかげで」
「合格したら子爵就任式はすぐですから、色んな方に会っていただきますね、私の両親とか」
うう、そっちの方がテストかも。
「あっ、ソフィーさん」
「なあに?」
「ええっと」
そういえばさっきの話、
禁呪について僕は全部喋らされたけど、
ソフィーさんから具体的な説明はまだない、
これはあえて聞くなという事なんだろうか、
忘れているだけっていうのはソフィーさんに限っては……
「禁呪の事?」
「は、はい、教えてはもらえないのかなと」
「結婚式が終わってから、ミストくんを好きな一番の理由と一緒に教えようって思ってたの」
「そのふたつは、関係あるのですか」
「関係あるといえばあるし、無いといえばないかな」
なんだろうそれ、
これって聞いてはじめてあーなるほどってなるやつでは。
「その、禁呪を破ってまずくはないのですか」
「まずいわね、怒られるわね、でも、もう使っちゃった」
「そんな軽いノリで」
てへぺろみたいな!
「ミストくんとふたりっきりの夜だと何でも喋ってしまいそうになります」
そう言っておみ足を片方、湯船から出して見せる、綺麗だ。
「ソフィーさんに教えて欲しいって言ったら教えてくれますか」
「どうしてもというなら」
「一番好きな理由も?」
「どうしてもというなら」
「つまり、本気で聞けばいつでも教えてくれるんですね」
足を引っ込めて僕に密着してくる。
「本当にミストくんが真実を知りたいと、本気ですがるなら、私は愛する人のお願いに逆らえないわ」
「ソフィーさん」
「でもミストくんが私を愛してくれるなら、私の意志としては、ぎりぎりまで黙っていたい、かな」
ちゃんとソフィーさんは理由と意志があってそうしてくれているんだと思う、なら……
「わかりました、聞きません」
「本当?」
「少なくとも自力で当てるまでは」
「ふふ、子爵就任式の後で、当ててくれる事を待っているわ」
「はい、頑張って当ててみせます」
お風呂でいちゃつきながら考える。
ソフィーさんが僕を好きな理由、一目惚れではない、
そうなると次の候補は『天啓』神様の啓示というやつだ、
でもこれまでの流れや発言からするとそれも違う気がしてくる、
だからって他の案は……あとは『相性』とか?そんなのどうやってわかるのっていう。
「ミストくぅん」
「はいはいソフィーさん」
「……ね?」
せがまれるまま唇を重ね、お風呂で再び愛し合った。
(ふう、お腹空いた)
コトが終わってお風呂から出る、
身体を互いに拭いてバスローブに着替え、
寝室に行くかと思ったら食堂に簡単なサンドイッチが置いてあった、
あとお菓子も!ベルルちゃんだったら大喜びだっただろうな、
と軽く食べている内に日付けが変わった、とたんソフィーさんが衝撃の事実を告げる。
「今日で十六歳になりました!」
「ソフィーさんが?」
「はい、誕生日です」
あ、これでまたソフィーさんが僕の年上になった!
いや年齢は同じな時でもある意味、年上は年上なんだけれども!
「お、おめでとう」
「ありがとう、最初はミストくんに言って欲しかったの」
「……あ!ちょっと待ってて」
そうかそういうことか、とリビングまで戻りアイテムリュックから最後の花束を出す、
そして食堂まで戻ってソフィーさんに渡すと純粋な、満面の笑みになった!
「わあ嬉しい……」
「うん、僕もソフィーさんの誕生日を祝えて嬉しい」
「私、今まで生きてきた中で最高の誕生日、最高の一夜になったわ」
「そんな大げさな」
「ううん、大好きよミストくん、愛してます、だから、嬉しい!」
僕なんかでそんな最高の一夜だなんて!
「ではミストくん、寝室へ行きましょう」
「う、うん、もうさすがに寝ないとね」
「あら、まだ愛し足りないんですけれど」
「え」
「十六歳になって最初の、ね?ミストくん、私の誕生日、祝ってくれるんでしょう?」
そうして寝室で僕はまたソフィーさんと溶け合ったのだった。
(身体、もつかなあ……?)
お姉さん女房には体力で負ける
だめ貴族だもの。 ミスト
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