第88話 それから一か月間のダイジェスト(前編)
ベルルちゃんの御両親らが帰ってから怒涛の追い込みがはじまった、
南部開拓と再テストへの学習、舞闘レッスンみたいなやつと、そして男爵としての仕事と……
では、どのような事があったか一か月間のダイジェストを三回、前編中編後編に渡ってお届けしよう。
「ミストくんミストくん、なかなか面白いダンジョンになってるわよ」
そう言われてソフィーさんに、
三日前に攻略したというダンジョンに連れて行かれる、
すでにボスを倒して浄化済みなので出てくる魔物に危険はないというが……
「あ、サキュバスだ」
「ええ、ミストくんの領地、ここフォレチトンにもサキュバスが生息していたのよ」
チュビニのダンジョンだと僕に見せたくないみたいに速攻で倒してたな。
「階層は八階までしかないんだけれどその八階に、ほらここよ」
「うわあ、広い温泉!そしてサキュバスがいっぱい」
「距離的に日帰りできる距離だし、ここを『サキュバスと混浴できる温泉』として売り出せるわね」
「そ、それは色々と大変な事になるのでは」
「相手は魔物よ、まさか、ねえ、ね?ミストくん?」
なにが、ね?なんだろうか。
「あとついでにサキュバスの繁殖場にもしましょう」
「え、サキュバスって売れるの?」
「凶暴だから本来はティムなんてめったにできないけれど、
浄化したダンジョンでなら可能よ、ティムできた個体は貴重だから高く売れるわね」
新たな名産かあ。
「肉は食べられないの?」
「無理ね、試す物好きとか聞いた事は無いです」
「そうだよね、サキュバスを食べる物好きとかいないよね、あは、あはは」
うん、違う意味でも。
「ちなみにサキュバスって基本、雌だよね、どうやって増えるの」
「方法はみっつ、ひとつはまれにインキュバスって雄が産まれるの、
もちろん逆にインキュバスだらけのダンジョンや両方均等なダンジョンもあるみたいね、
あとふたつめ、サキュバスにも両性具有のタイプが産まれる事があって、
さっきのインキュバスと両方保存してあるから見たいならお見せするわ、あとみっつめは人……」
以下略。
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「お初にお目にかかります、ドモン魔法商会のドナウドと申します」
謁見したい商人が来たというので新領主邸の領主謁見の間で話を聞く、
一人前に領主の椅子に座ってサイドには左にソフィーさんの椅子、
右にはベルルちゃんの椅子を時期尚早と思いながらも用意してあり、
三人で迎えられるようにしてある、ちなみに僕の後ろにはキリィさんが控えており、
来客の横にはモリィさんが、そして今日はついででリア先生がついていた。
「……という事で、ここフォレチトンにおきまして大量に取れる浄化された良質な魔石を、
わたくし共に一手に任せていただければと思います、
ついでに教えていただきたいのがその浄化方法でして、
我々魔石流通業界の間でも不思議に思っておりまして、こちらから流れてくる魔石は、
何せ綺麗すぎるうえ魔力を込めた時の吸収力が高く、日持ちも通常の五倍から十倍に……」
なかなか弁の立つおっさんだが、
もうずっとソフィーさんベルルちゃんにしか話してない、
最初から僕に目を合わせず話を両サイドのふたりに交互にしている感じだ。
「お互いに大きく成長していくために、何卒、このドモン魔法商会に任せていただければと、
この提案、いかがでありましょうか?決して悪い話では無いと思うのですが」
ずーっと黙って話を聞いていたソフィーさんとベルルちゃん、
話が終わってどうかと聞かれたみたいだがソフィーさんは返事をせず、
椅子から身を乗り出して僕の方へ頭を近づけた、撫でて欲しいって感じで。
「どうしたの?……はい、なでなで」
「ふふふ、ミストくん♪」
「ずるいですわ、わたくしもですわ」
今度はベルルちゃんまで、しかも椅子を降りて僕の胸元へ頭をすりすりしてきた!
「はいはい、なでなで、なでなで」
「嬉しいですわあ!」
「あの、ですから魔石の流通を、ここの、こちらの魔石を……」
無視され戸惑う魔石商人のおっさんに声をかけるリア先生。
「という事だ、話は終わった、さっさと帰れ」
「え、まだ何も聞いておりませぬが」
「これが答えだ、さあ、領主の邪魔をするな、さっさと出ていけ」
「な、なぜ、うわなにをするやめ、ミンスラー様、ヴェルカーク様!!」
「モリィ、そのまま外へ追い出せ!暴れるなら騎士団を使っても構わん」
そうして屋敷から蹴出されたおっさん、
うん、何が失敗だったかは僕でもわかる、
最初から僕をまったく見ずに、ソフィーさんベルルちゃんと商取引しようとした事だ。
「今度は私が撫でてさしあげますね」
「あらミスト様の頭をソフィーお姉様に取られてしまいましたわ、ではわたくしはこちらを」
「ちょ、そこは撫でちゃ、く、くすぐったいっ!」
話の内容からしても良い事ばかりをつらつらと並べたが、
ようはウチから出る魔石を浄化技術含め独り占めしたいという話で下手すると良い所だけ取られて、
場合によってはソフィーさんベルルちゃんまで奪おうと考えている、までありえる。
「何だ、いちゃつくのであればベッドへ行こう、私も混ざるぞ」
「リア先生まで何を!」
あと最後にソフィーさんベルルちゃんを家名で呼んだのもなあ、
まあ全てにおいてちゃんと相手を調べて来なかった時点で信頼はできないか、
と考えているうちにベッドへ連行され昼間にも関わらずこのあとめちゃくちゃうんたらかんたら。
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「かなり南へ進んで日帰りが難しくなったので、馬車を三台にする」
リア先生がそう言って新しい馬車を紹介してくれた。
「全然見ない馬車ですね、騎士団の新しい馬車ですか」
「最新鋭の馬車だがこれはポークレット男爵家として購入した新品だ」
「うわ高そう!」
「だが必要なものだ、かなり広くて調整すれば四人同時に寝られる」
「あ、宿泊用でもあるんですか」
馬車の引手を三人揃えてた理由はこれだったか、
てっきりひとりは予備、交代用だと思っていた、
いやそれ以外でもリア先生キリィさんモリィさんもたまに引いていたけれども。
「では早速出発する」
新しい馬車で新しく作った浄化道を南下していく、
こまめに魔石を埋め込んだ道は徒歩ではもう一日では往復できない距離だ、
その中で、新品購入の馬車で僕はテストを二枚受けていた。
「どうかな、一枚目はもう完璧に百点取れるようになったけど」
同じ内容のテストを二種類、
毎日毎日解かされたらさすがの僕でもちゃんと学習できる。
「素晴らしいですわ、二枚とも満点ですの」
「やった!ついにこの日が来た!」
「むしろ遅いくらいよ、だいぶね」
うう、アメリア先生のツッコミが心に痛い。
「あとは毎日満点を出し続ければ完璧ですわ」
「え、次は三枚目のテストとかなのでは」
「この二枚で十分ですわ、では、馬車の引手をモリィさんに交代していただきましょう」
馬車を止めベルルちゃんが前の馬車の一台に入り話すと、
うちの元無表情メイド、モリィさんが出てきて、
今までこっちの馬車を引いていた濃い顔の中年男性モーリィさんと交代する、
今更だけどまぎらわしいな、名前に文句は言えないけれど、あとモリィさんは僕命名だし。
「モーリィさんはモリィさんの乗っていた、ソフィーお姉様の馬車へ入られて」
なぜかの引手交代、僕とベルルちゃんアメリア先生の馬車をモリィさんが引き、、
これで他の馬車は一台がソフィーさんとリア先生とモーリィさんが乗ることとなって、
もう一台はキリィさんとジゼルさんが乗っている、
ちなみに僕の馬車以外の、他二台を引いているのはもちろん例の新人騎士団員ふたりだ。
「なぜわざわざ交代したんですか?」
「それはもちろん、着くまでご褒美のためですわ」
「えっここで」
「そうよ、気分的に嫌でしょう?男性が引いてる馬車の中でするの」
「そりゃあまあ、そこまで繊細って訳ではないですが、確かにその方が」
色々と片し、ソファーをずらし色々と動かしたらベッドになった、最新馬車すげえ。
「ではミスト様、新しい馬車で移動中、どれだけ暴れても大丈夫かのテストもいたしましょう」
「テストって、暴れるって!」
「大丈夫よ、暴れるのは私とベルルで、ミストはされるがままでいいから」
こうして馬車の耐久性や音漏れ(声漏れ)を最先端に着くまでめちゃくちゃテストした。
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「今日はお休みかあ」
一日中そこそこ強い雨が降っており、
テストも朝食後に受けるとさらっと二枚とも満点だったため、
庭でのアメリア先生のレッスンもなく寝室でぼーっとしていた、
ちなみにソフィーさんベルルちゃんは魔法研究所へ、嫉妬はしてない、
リア先生アメリア先生は騎士団の方へ、メイド四人は絶賛家事中だ。
(ひとりでこうやって、まったりできる日中もいいなあ)
とはいえ暇なのでリア先生に覚えさせられているステップを練習する。
「ええっと途中から、右左右右左左、上へとんで下へしゃがんでA、
Aはこの構えだっけ、そして身体を斜めに構えてBのポーズ、そして後ろへ下がって
上上下下左右左右BAそののち……」
コンコンッ
「失礼いたしますぅ」
と言って入ってきたメイド服の女性、
聞いた声だが知ったメイドではない、
そしてメイドではないが知った顔、いや、メカクレだ。
「サリーさんどうしたんですかその格好」
我がフォレチトンの財務担当であり僕が出ている間の領主代行、
リア先生に学院生徒時代あらゆる意味で可愛がってもらっていた、
背の低い赤髪メカクレのサリーさんだ。
「そ、その今日はお休みで、あの、リア先輩とお話ししてたら、こういう流れに」
「どういう流れ?!」
「わ、わたしなんかでも、ミスト様を、誘惑できるかどうか、あわわ言ってしまいましたあ」
なんだそれは。
「誘惑しに来たの?」
「はい、その、お好きになさってください」
「え、しないといけないの?」
「よ、横になっていますから、どうぞ、お召しになってください」
「お召しって、いやいや何を」
ベッドでメイド服のまま横になるサリーさん、
そんな事言われてもなあ、リア先生に言われてって事は一応、側室公認か。
「サリーさんはそれでいいの?本当に」
「はい、男性相手は初めてですが、その、何もしませんから好きになさってください」
「いやいやいやそんな、リア先生の命令でだなんて、召し上がれないよ」
メイドなら誰でも手を出す領主になってしまう。
「あぁ、これで純潔を奪われた私サリーは、泣きながらリアお姉様の所へ駈け込んで、
その胸に抱きついて『領主さまに身体を、ずっと護ってきた純潔ををを~~』ってなって、
やさしく私の髪をなでながら『そうかサリー辛かっただろう、酷い目にあったな、よし、
では私が慰めてやろう』と乱れたメイド服や下着を丁寧に脱がしていただいて、
まずは手から唇をあてていただいて、そのあと徐々に徐々に……きゃああああぁぁぁ……」
あ、まずい、自分の世界に入ってめっちゃ早口でつぶやいている!
「産まれたままの姿で寝かされた私はリアお姉様に『痕が残っているではないか、
よし、ではもっと強い痕をつけてわからないように上書きしてやろう』とか言って、
サリーの(ピーーー)をやさしく(ピーーーー)しながら(ピーー)を強く(ピー)して
そしてそのままサリーはリアお姉様に『愛してますう、そうか、どうかサリーの(ピー)を
リアお姉様の(ピーーー)で(ピー)して(ピーーーーーーーーーーーー)ああっ、たまらないっ!!」
なんだこの生きた未成年禁止小説発声メカクレメイド人形は!
「という事でミスト様、ご遠慮なくサリーを乱暴になさってください、跡が沢山ついていると助かりますです、はい」
「帰れ!!!」
そりゃあ来ている女性みんながみんな僕を好きスキ大好きな訳ないよね
だめ貴族だもの。 ミスト
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