第60話 ルポスのマジックダンジョン攻略
「よし、ここで一旦休憩を取ろう」
リア先生の言葉で今回はじめてのダンジョン内休憩、
どこだと思う?と思わず誰かに聞きたくなる、
七十九階と八十階の境目である、そんなばかな。
「はい、みなさんお水です」
「すまないミスト、助かる」
ここまで凄かった、リア先生の統率力はさすが王国騎士団副団長だし、
キリィさんモリィさんはアサシンらしく素早く的確に魔物の急所を突く、
ソフィーさんベルルちゃんも敵が大量の時は魔法で一掃してくれる、楽だ。
「ミストくん疲れたよね、軽くお食事にしましょう」
「ミスト様、ここが折り返し地点くらいのつもりで行きましてよ?」
甲斐甲斐しく世話してくれる聖女ふたり、
魔石や珍しい魔物、肉の美味しい魔物を回収するだけの僕が、
移動とポーターの仕事だけで一番疲れているのかもしれない。
「大丈夫です、ありがとうございます」
ここまで何時間かかっただろうか?
最後に他の冒険者を見たのが五十階手前くらいだったので、
さすがに大丈夫だろうと階段の踊り場で敷物を広げてピクニックである。
「ミスト、まだ潜れそうか」
「リア先生、潜れそうも何も僕はついていっているだけですから」
「ふふ、ミストくんがもういいって言えば私達、すぐ引き返すわよ」
「そうですわ、特にここから先は危険ですから」
「ええっと何があるんだっけ八十階から」
これまでは色んな魔物見学会みたいなものだった、
新しい魔物はリア先生やソフィーさんが解説してくれて勉強になったけど、
どれくらい覚えているかな、別にテストに出る訳じゃ……出ないよね?
「準備が整いました」
敷物を敷く所から食事を並べ終えるまで、全て無表情メイドふたりがやってくれた、
前線で戦っていたキリィさんモリィさんもこういう場面では家の仕事に戻る。
出発前に用意してくれていたであろう、食べやすく美味しそうな料理を前にリア先生のお話だ。
「今までは余裕だったがここからはスピード勝負だ、
最低でもこのダンジョンが何階まであるか調べたい、
よって敵を倒すのに時間はかけていられない、特にミストは頑張ってついてきてくれ」
名指しで釘を刺される、うん、頑張ろう。
「ここから先は人型モンスターに有効なフレイムソードを使う」
「あっ!あの時の」
誰だか名前忘れたけどカジーラの地下牢で、
輝く生命の指輪を作るにあたって人を斬り燃やした剣だ。
「これは強い魔力で敵を燃やし尽くすがチャージが必要でな、
ソフィー、ベルル、階を降りる毎には必ず注入してもらえるか」
「かしこまりました」
「お任せあれですわ」
「私達もフレイムダガーを用意しました」
「こちらの方もお願いします」
キリィさんモリィさんもか、
前衛三人の武器に毎回魔力を注入するとなると、
ソフィーさんベルルちゃんの負担も本格的になりそうだ。
「ミストよ、フレイムソードのおかげで魔石の回収は楽になるが、
先を急ぐので無理して全部拾おうとしなくて良いぞ、ついてこい」
「はい、がんばります」
「では食事にしよう、そしてこれからが本番だ」
食事やモリィさんに見張ってもらいながらのトイレ(失礼)を終え、
ダンジョンを駆け下りていく僕らポークレットファミリー、
ここまでは僕を取り囲むようなフォーメーションだったのが今は最後方だ。
(前で何やってるのか見えないや)
おそらく最前線のリア先生キリィさんモリィさんが敵を武器で焼き払い、
ソフィーさんベルルちゃんがその武器に魔力の補充を的確にやっていて、
無駄なく前へ前へと急いでいる、僕は落ちている魔石拾いで精一杯な状況だ。
「八体か多いな」
「お任せ下さい」
ソフィーさんが無詠唱で焼き払う、
魔力の消費は平気かな?と思いつつも、
八十階以降、僕はまだ一度も敵の姿を目視できていない、
魔石と一回だけアイテムのイヤリングを拾ったくらいだ。
(ちょっと敵を見ちゃおう)
と前を覗きこむも、
ダンジョンの通路を曲がるとすでに倒されていたりする、
うーん、どんな敵なんだろう、聞いてみよう。
「あの、ベルルちゃん」
「はいですの、いかがなさいました?」
「ここの、いま倒してる敵って」
「終わってから教えてさしあげますわ」
「はあ、あっ!」
長い通路に出た時、一瞬だけ見えた!
少し紅い肌の翼が生えた女性型モンスター、
淫魔のサキュバスというやつだ、初めて見た。
「……見てしまいましたか、目に毒なので気にしないでください」
ソフィーさんがほほ笑みながら言った、
確かにあの格好は少しムラッとくるものがあるが、
僕が魔石拾いに集中できるように速攻で倒してくれているのだろうか。
「ミストが魅了魔法にかかって連れ去れらたら終わりだからな、急ぐぞ」
そんな事を心配してくれていたのかリア先生は、
だから姿を確認する前にと、燃費の悪いフレイムソードまで出して……
でもそう言われると尚更、姿を見たい気がしないでもない。
(でも魔物、モンスターだしなあ)
僕が悶々としつつもついていっているうちに、
大きな扉の前についた、なんというかこの扉は別格だ。
「早いな、まだ百二十階だぞ」
「しかし百階以降のダークサキュバス、アイスサキュバスの強さを考えると妥当かと」
「敵の密度から考えても、そろそろだとは思っていました」
前衛三人の会話と状況を推測するにボス部屋っぽい。
「ミストくんは危険だから下がっていてね」
「わたくしたちより前に出てはいけませんわ」
と話しているうちに扉が開かれた!
『よく来たわね、私はこのダンジョンをお……ギャアアアアア!!』
妙に色っぽい声が聞こえたかと思うと途中で悲鳴に変わった、
さらに何かわちゃわちゃやっていたようだがすぐに静かになる。
「……もう良いぞ」
リア先生のその声に中へ入る、
王座がありそこにまだ軽く煙が起ち上る灰が残り、
真ん中には光り輝く宝石みたいな魔石がきらきらしている。
「サキュバスの女王みたいだったぞ」
終わってから教えてくれた、
他にも女王を護る魔物も何人か居たみたいだけれど、
まず最初に女王を仕留めて、あとからまわりを一掃したようだ。
「危なかったですね、かなりセクシーなサキュバスでした」
「ええ、ミスト様なら一目見ただけで、どうにかなりそうなセクシーさでしたわ」
「そ、そんなにですか」
ソフィーさんベルルちゃんの言葉にちょっと、
いや本気で見てみたかったと思ってしまう。
「……ミミックではないようです」
玉座の後ろを調べていたキリィさんが宝箱を見つけた、
促されて僕が開けると綺麗なティアラが出てきた、宝石だらけ。
「ほう、これは高価そうだな」
「さすが女王が隠し持っていただけありますね」
「こちらには風呂がありました」
奥の部屋から戻ってきたモリィさん、
ってあったんだ奥に部屋なんて、と思ってついていくと、
黄金に輝く、寝そべってもまだ余裕のある風呂があった。
「ふむ、これなら持ち運べるな、ミスト、回収だ」
「えっ、これをですか?!」
「ああ、可能だろう?」
言われた通りアイテム袋を向けると吸い込まれてしまった。
「良いですわね、新しい屋敷の、使用人のお風呂にしましょう」
「さあ、あとは金目のものをあさって帰るぞ、これで魔物の氾濫は心配なくなるだろう」
(サキュバスの女王が使っていたお風呂かぁ、入ると特別に気持ち良いのかなぁ……?)
結局、姿すら見せてもらえなかったサキュバスの女王を妄想する
だめ貴族だもの。 ミスト
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