ハイロットトレードは甘い蜜
トレードを始めたばかりの頃,株は損するものというイメージしかなく,こわごわと最少枚数でトレードをしていると,ビギナーズラックもあって,意外と簡単に利益を出せた。
こんなに簡単に利益を出せるのなら,もっと枚数を上げてトレードすれば,さらに大きな利益を得られるんじゃ?と思ったら,最後。そこから地獄のような日々が始まる。
最少枚数でトレードしていたときは,多少ポジションが逆行して評価損になったとしてもさほど大きな評価損ではないため,しばらく耐えていると,いつの間にか利益になっていたりする。トレード界隈では,そのようなトレードのことをアホールドと言ったりする。
しかし,アホールドをしてそれが利益になるかどうかは,単なる運でしかない。
もちろん,ひたすら耐えていても全く利益にならないこともあるけれど,最少枚数でのトレードなので,さほど大きな評価損にはならず,意外と簡単に損切りもできたりする。
そうしながら最少ロットでの利益が積み重なると,自分はトレードがうまいんじゃないかという大いなる錯覚に陥り,ちまちま小さな利益を積み上げてもしょうがない,もっとロットを上げてトレードをしようという退場への道をまっしぐらみたいになる。
しかし,ハイロットトレードを始めてもすぐには痛い目には合わず,なぜか大勝ちし,さらに天狗になる。
「なんだ,トレードって簡単じゃん!」
そして,さらにロットを上げてトレードすることに。
しかし,相場はそんなに甘くはない。相場をなめてはいけない。
ハイロットトレードを始めると,最少枚数でのトレードとはまったく違う世界がそこに広がっていることに嫌というほど気が付かされる。
ハイロットトレードでは,少しでも逆行されると,簡単にものすごい評価損になってしまう。そして,その評価損に驚き,恐怖を感じ,フリーズして何もできない時を過ごすことになる。
これはまずいと思ってもあれだけ簡単にできていた損切りも評価損の額がものすごいので,簡単にはできず,ただひたすら耐え続けることになる。そして,ひたすら評価損がなくなることを祈る,祈る,祈る。
しかし,どんなに祈ってもその願いはなかなか叶わず,地獄のような日々を過ごすことに。少しでも評価損が減っていくことを祈る日々。
現物であれば,そのまま評価損がなくなるまでひたすら待ち続けることもできるけど,制度信用であれば,返済期限があるし,金利や貸株料など,様々な経費が株を持ってるだけでかかってくる。
信用でも現引できれば,ラッキーで,フルレバでポジションを取っていたら,さあ,大変。
評価損が増えていくと,証拠金がもたなくなる可能性も出てくる。
ひたすら祈る日々。
嗚呼,ハイロットトレードなんてしなければよかった。
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