相場に集う愉快なトレーダーたち

いよみきゃん

あんたが投げた「そこ」が「底」

 トレーダーなら,誰もが1度は経験していると思われる,

 あんたが投げた「そこ」が「底」

 慎重に吟味して新規に買いを入れた株がなぜか買ったと同時に下がる。

 「うっ,こんなはずでは…」

と思いながら,多少の下げは我慢,我慢と,しばらく様子見。

 しかし,一向に上がる気配がなく,この時点で何かおかしいとは気づくものの,損切りができず,

「しばらくしたら,きっと上がるさ!」

と強く思い込み,そのままさらに様子見を決め込む。

 その後,上がるどころかさらに下がり続け,もう上がるだろうという期待をあっさりと打ち打ち砕く。

 こんなに株が下がってから損切りするのは

「もう無理!」

とばかりにさらに様子見することに。

 しかし,相場は許してくれず,さらに株は下がり続けるばかり。

 最初に買いをいれてからかなり株価は下がり,かなりの評価損になってしまったが,逆にこれだけ下がったのだから,さすがにここから下はないだろうという思いで,気合いのナンピン買いをいれて,買いの平均値を下げることに。

 もちろん,計画的にナンピン買いをするなら問題はないが,当初の計画にはないナンピンをするのはご法度というのはよく知っている。

 だけど,いまさら後には引けないと,

「えいやっ!」

とばかりにナンピン買い。

 これでもう上がるでしょと思ったら,そこから最後の怒涛の下げが…。

 「ひえ~」

 最初の買いだけでなく,ナンピン買いした分までさらに下に連れていかれ,もう無理とばかりに,買いをすべて投げ,ノーポジに。

 その瞬間,長く苦しみ続けた時間から解放され,

「ああ,やっと楽になった」

と思ったら,そこから火柱のような壮絶なリバ.

 あんたが投げた「そこ」が「底」

 このことばが身にしみて分かる瞬間であった。

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