第20話 突然出現した鎧の戦士 唯一の血族 深紅の瞳

「大変、待って財布さん」

エイルさんがわん子の財布をと先に行くと‥


突然!階段の途中の道から 空中に炎! 円を描きながら

今度は中心に黒い空間が現れて中から 戦士が二人飛び出した。


カッシャーン! 剣が響きあう音

なんだなんだ!


竜の顔をした いかつい身体の戦士と

細身の全身 鎧の戦士が戦ってますワン!


細身の戦士は収縮する槍のようなもので闘う! あ!魔法の炎まで飛び出した!

おっとと素早く財布を拾うワン


凄い!小柄な細身の戦士が

あの竜の顔の戦士の大きな剣を軽々 打ち返してるワンワン!


「ワン子さん! 」「あ!エイルさん 」

騒ぎに驚き ワン子の身を心配して 飛び出し来た来たワンワン!


竜の顔の戦士の顔を見て驚く!

「セルト将軍! どうしたの?貴方はお城にいるはず」 エイル

「えっ! 知り合いですかワン


エイルさんに気がつくと

今度は細身の戦士はエイルさんを羽交いめにした。

細身の戦士にとわられたワン


細身の戦士は呪文を唱え 魔法の炎に包まれると

エイルさんごと 二人は消えたワンワン!


とある民家の中

「エイル、エルトニア」


うっとりする綺麗な優し気な美声、気を失っていたエイルが目を覚ます。

其処には細身の全身を鎧で包まれた戦士


この声は・・まさか?

顔色を変える エイル


鎧は呪文と共に 水銀が溶けだすように 溶けゆく なびく長い艶かな黒の髪

切長の瞳で アーシュと同じ 深紅の瞳

・・

彼女を誰より大切にしてる彼アーシュと同じ瞳


時に光の加減で深みを帯びた深い色合いにも 金色にも

燃えるような赤い色にも見える不思議な瞳の色

そうして姿は白い百合か牡丹の花のように美しい女性が現れたのだった。



彼女は近くに隠していたリュートを手にする

「久しぶりだこと‥可愛いエイル、エルトニア

アーシュ兄様もアルテイシアも二人ともお元気かしら? 」

「きっと 相変わらず アーシュ兄さまは貴方に夢中でしょう」


彼女の冷たい表情、冷めた笑顔

エイルの腕飾り・腕輪を見ている。

「素敵な腕輪‥傷を隠しているのね?」


「その腕輪の下には‥私が刻んであげた印があるのね

私の事、怖い?それとも憎いでしょう」

エイルさんは 彼女を見る。


エイルがゆっくりと優しく話し出す。

「テインタル姫、君は何故 そんな哀しい目をしてるの?

君自身が呪いを受けた囚われの身の上だから?」


「君は本当は‥ 」エイルは言葉を続ける。


「アーシュの‥ 君の兄さんの傍に帰りたいと思ってるはず」


テインタル、リュートの姫君は哀しそうに笑う。

そうして謡いだすように話し出す

「傍にいたい私のお兄様、 唯一残った・・同じ血族 」


「あの戦で皆殺されたわ だからかしら? 」

「恋しくてたまらない」


「エルトニア、貴方が羨ましいわ」


「帰りたい帰れない‥でも‥ 」優しい表情で彼女が言う


「貴方を傷つけた私を許さないでエルトニア」


「兄さまに伝えてこの国や貴方が大事なら

『私を殺しなさい』て‥ 」


「そんな! 」エイルが叫ぶ

エイルの顔に彼女の白く整った指先が触れる


リュートの姫君、テインタルは

その綺麗な指先でエイルの頬や唇触れて

今度は耳元でささやく


「綺麗で可愛いわエルトニア」

「私は貴方の支配者 、刻んだ私の名前は所有の証‥ 」


「次は貴方を殺してしまうかもしれない 」


「私にかけられ呪いは恐ろしいわ  自分自身を止められないの

どんな楽しい残酷な事しましょうか? 」


彼女はため息一つ。


「今日の獲物は 私の支配者達が欲しがった 新しい魔法の武器の地図

城から無事に盗んだ事だし

だから、エイル今日は見逃してあげる」


ぺたりと座りこむエイル


先程の階段のすぐ近くの小さな民家からリュートの姫君は扉を開けて出てゆく 。


石だたみに小さな可愛い野の花が 一生懸命、石の隙間から顔を出している。

可愛いお花さん


おそらくは本来の顔 テインタルは優しい顔になって

踏まないように避けて歩く。


「エイルさんワン!大丈夫ですか!」ワン子

「エルトニア姫、ご無事で何より です」セルト将軍


「セルト将軍、ご心配をおかけしました。ワン子さんも 有難う 」エイル

「私は奴を追いかけます。 姫 奴の顔を見ましたか? 」セルト将軍


「いいえ、僕は夢中で逃げましたから、ごめんなさいセルト将軍 」エイル


「分かりました

エルトニア姫私の部下を呼んで城に帰りますか? 」セルト将軍


「大丈夫です ワン子さんやアーシュといますね」

エイルは天使のような微笑して答える。


「分かりました 

では私はこれで義妹のナーリンにも部下を通じて連絡して おきます」


「有難うございます でも心配するから セルト将軍 今の出来事は言わないで‥

お願い」エイル


「分かりました姫」セルト 竜人のセルト将軍


「ワン子さんも アーシュが水飲み場から戻って来ても 心配するから

内緒だよ 」とワン子に口止めをするエイル

「はいですワン! 」


自分の故郷、外国の言葉で聞かれないように小さな声でつぶやいた。

三人ともアーシュも彼女も私も彼女の呪いがあるかぎり‥


僕も時間が必要だよね‥。

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