第20話 私とヤモリとカエル
お久しぶりな庭の草むしりをしました。少し放置するだけで大きな成長を見せつけられ、やらなければ、やらなければと草に焦らされる今日この頃です。
夫が独身時代に庭一面に除草シートを敷いてくれたのですが、その隙間から自分の棲家を決めてニョキニョキと出てきているのです。
屏と除草シートの間からは、ご立派なドクダミ(お隣の方がドクダミだよと教えてくれました)が花を咲かせて、自分達のエリアを広げていたので引っこ抜くことに。
ドクダミの茎はそこそこ太く、根っこもとてもしっかりしていて抜くのが大変でした。私の父の昔からの教えで『雑草は根っこから引き抜いて。根っこ残すとそっから生えるから』という草むしりのルールはしっかり守ります。茎を折らずに根っこが抜かれ始めると、スルスルスルスル抜けるので気持ちが良かったです。
ドクダミを引っこ抜くことに真剣になっていると、ヌルンと大きなヤモリがこんにちは。根っこかと思いきやまさかのヤモリ(たぶん)だったので、考える前にギャーと大きめの悲鳴をあげました。
「びっくりさせないでよ〜」
「…」
除草シートの上に降り立ったヤモリは無言です。けれども目が語ります。
ヤモリの視線で気づいたのですが、迷惑なのはヤモリの方ですよね。ドクダミの根っこ付近で静かに暮らしていたのに、急に引っこ抜かれてしまったのだから。
「…ごめんね」
思わず謝る私。私が一歩前に出ると、ヤモリはスササササと除草シートの裏に逃げてしまいました。
ヤモリは家守、家を守るから水のない所にいるのはヤモリ。イモリは井守、井戸を守るから水辺にいるのはイモリ。と、どこかで教わったことを頭の中で巡らせながら残りのドクダミを引っこ抜きました。
私の中で、庭の一部を理想の空間にしたい場所があります。それは、洗濯物干し場です。そこだけは除草シートが敷かれていないので、余って庭に落ちているレンガを敷きたいと思っています。砂利にはなっているのですが、レンガを敷いた方が歩きやすいのです。そしてなんだかオシャレになりそうな気がします。
ガニ股でしゃがみ込むと、ボコボコの砂利の地面を直そうと手を触れた瞬間、なんだか嫌な感触が。ヌト?ペト?シトシト?なんと言ったら良いのでしょうか。思わず「うわぁぁぁ」となる手触りのカエルに遭遇しました。カエルも急に触れられたので、必死に飛び跳ねます。それにまたビビる私。プチパニックです。ごめんごめんと言っているうちにカエルはどこかに消えてしまいました。
落ち着きを取り戻し、ふとインコがいる部屋の窓に目をやると、インコはしっかり私を観察していました。飼い主のカッコ悪い姿を見て、インコも幻滅するのでしょうか。たぶん普段目にしない光景で、珍しかっただけだと思うのですが、インコに見られてなんだか恥ずかしくなりました。
気を取り直して細かな草をむしり、腰も痛くなってきたので終了です。室内の時計を見ると12時前。とりあえずお疲れ様のアイスを食べて、自分を労いました。
お家に一日中いても全く飽きない毎日です。やることは作れる(可愛いは作れるのまねです)、がモットーになりつつあります。
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