第13話

 実験に話を戻すと、夫は結果的に粒子αの第二の提供者となった。その決意にいたる出来事がある。夫は事件以来、仕事を休み、町中を歩き回り一人で事件の痕跡を探し、2ヶ月後、川の中にあのレンガを見つけた。警察に回収させ、息子の血液の付着が確認されたが指紋はなかったという調査結果が知らされる。それは事実ではない。レンガは設置したばかりでその際、家族3人で作業しており、少なくとも夫が素手で触れているはずだった。夫は民間の団体に指紋検査を依頼するため、警察にその申し出をするが警察はその証拠品を紛失したと告げた。それを機に懸念していた抑えられないほどの深い憎しみをそのまま、Aの想いとぶつけてみようと決心したのである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る